「あなたの笑顔が、ペットにとって一番のおくすりです。そして、あなた自身にも」
アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
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父親としての日々が、健康と幸福感を高める理由とは?
動物たちの家族を支える仕事をしていると、「家族」というキーワードに敏感になることがあります。今回は少し視点を変えて、「人間の父親になることが、どんなふうに心と体に影響を与えるのか」を、近年の心理学・生物学の研究に基づいてご紹介します。

父親になって得られる、心の面での恩恵
父親になると、単なる役割以上に「感情のつながり」が深まることが多いようです。最近の研究では、子どもと過ごす時間の中で、父親たちが充実感や幸福感を強く感じる傾向があることが示されています。
とくに興味深いのは、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いたとき、「オキシトシン」と呼ばれる愛情や絆を強めるホルモンが大きく分泌されるという事実です。また、育児に積極的に関わることで、攻撃性と関連するホルモン「テストステロン」の値が一時的に下がることも分かっています。
これは、脳と心が“協力”や“共感”に向けて切り替わるためだと考えられています。子どもとの関わりを通して、「感謝の気持ち」や「相手を思いやる心」が育ち、それがストレス耐性や幸福感にもつながるのです。

子どもがつなぐ「人との縁」も健康に寄与
子育てをきっかけに、地域の保護者会や学校行事など、新しい人間関係やコミュニティへの参加が増えることも少なくありません。
このような社会的つながりの広がりは、心の健康にとって重要です。孤独感を減らすだけでなく、人生の満足度を高める要素にもなっています。とくに新しい土地での生活が始まったばかりのご家庭にとって、こうした「子どもを通じたつながり」は大きな助けになります。

体にも表れる、ポジティブな影響
父親になると、「この子のために健康でいたい」という気持ちから、タバコやアルコール、薬物の使用を減らす傾向があるとする研究もあります。また、模範を示すために食生活に気を配ったり、子どもと一緒に体を動かすようになったりと、生活スタイルにも良い変化が見られます。
実際に、子どもがいる男性はそうでない男性よりも、長寿である傾向があるという研究結果も報告されています。親になるということは、ただ忙しくなるだけでなく、人生の優先順位を見直す強力なきっかけになるようです。

とはいえ、ストレスもゼロではない
もちろん、父親業には苦労もあります。仕事と育児の両立、パートナーとの時間の不足、将来への責任感などは、心身に大きなプレッシャーを与えることもあります。
だからこそ、「自分自身のケア」もおろそかにしないことが大切です。しっかり眠り、少しでも体を動かす時間を持ち、自分だけのリラックスタイムを意識的に設ける。こうした習慣が、子どもにとってもより良い親になる土台となります。

おわりに:家族との時間が、未来の健康を育てる
当院には、動物たちを通じて家族の絆を感じておられるお父さん、お母さんが多くいらっしゃいます。「命を育てること」は、時に大変で、責任の重いことです。しかしその分、心と体に深い恩恵をもたらしてくれることも事実です。
もし今、子育てに悩んでいる、あるいは父親になることに不安を感じている方がいれば、「その経験そのものが、あなたの人生をより豊かにしてくれる」という科学的な視点を、少しでもお伝えできればと思います。
※このブログは最新の心理学・生物学研究に基づいて構成されていますが、内容は一般的な情報提供を目的としています。専門的なアドバイスを必要とされる場合は、専門機関にご相談ください。
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