最終更新日:2026年8月3日
療法食は愛犬・愛猫の健康を守る大切な治療の一つです。病気に合った食事を獣医師と一緒に選びましょう。
この資料は、愛犬や愛猫の病気治療をサポートするために開発された療法食の重要性と正しい活用法について、獣医師が解説したものです。特定の疾患に合わせて栄養バランスが厳密に調整されているため、飼い主さまの自己判断で使用するとかえって健康を損なう恐れがあると警鐘を鳴らしています。適切な食事管理を推進する第三者機関「獣医療法食評価センター(VDEC)」の役割についても触れ、品質基準の整備が進んでいる現状を紹介しています。最終的には、ペットの命を守るために動物病院での診断と継続的な指導に基づいた製品選びを強く推奨する内容となっています。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
診察の中で、お薬と一緒に「今日からこのフードに切り替えてくださいね」とお伝えすることがあります。この「特別なゴハン」のことを療法食と呼びます。今回は、療法食とはそもそも何なのか、そしてなぜ動物病院で相談しながら選ぶ必要があるのかを、一般財団法人 獣医療法食評価センター(VDEC)の情報も参考にしながらお話しします。

療法食とは、栄養で治療をサポートするための特別な食事
療法食は、腎臓病や尿路結石、肥満、アレルギーなど、特定の病気や体調に合わせて栄養バランスを細かく調整した犬猫用のフードです。単なる「ちょっと体に良さそうなフード」ではなく、栄養成分の量や比率を厳密にコントロールしたり、特別な製法で作られたりしていて、獣医師の診断と指導のもとで使うことを前提に設計されています。
この考え方はもともとアメリカで実用化されたもので、日本でも半世紀近い歴史があり、動物病院での診療の中で広く使われてきました。ただし、療法食は一般的な健康維持用のフードとは栄養設計そのものが異なるため、病気に合っていないものを自己判断で長く使い続けると、かえって体に負担をかけてしまうリスクがあります。だからこそ、療法食は「良さそうだから」で選ぶのではなく、獣医師と相談しながら、その子の状態に合ったものを選ぶことがとても大切なのです。

なぜ「動物病院で相談してから」なのか
療法食に関しては、ペットフードに混入する可能性のある有害物質についてのルール(ペットフード安全法)や、フードの表示に関する業界ルールはあるものの、療法食そのものの栄養基準を国が細かく定めた法律は、実は日本にはまだありません。
近年はインターネットで手軽に商品を購入できるようになった一方で、獣医師の診断を受けずに療法食を使い始めたり、体調が改善した後も漫然と使い続けたりすることで、腎不全や尿石症、栄養不足といった健康被害につながった例が報告されています。実際、日本獣医師会が設けた専門委員会の調査でも、こうした不適切な使用の実態が確認され、
- かかりつけの獣医師が使いやすい食事療法の手引きを整えること
- 動物看護師が栄養指導を学べる機会を増やすこと
- 飼い主さまへの啓発を充実させること
といった対策の必要性が提言されています。

VDEC(獣医療法食評価センター)という第三者機関の存在
こうした背景を受けて設立されたのが、一般財団法人 獣医療法食評価センター(VDEC)です。特定のメーカーの利益のためではなく、非営利の第三者機関として、療法食が適正な品質で、適正に使われる社会を目指して活動しています。
主な取り組みは、次の4つに整理できます。
- 療法食の基準づくり ― 海外の先行事例も参考にしながら、療法食としてふさわしい栄養特性の基準を整備する
- 製品の評価と情報公開 ― メーカーから提出された製品情報を基準と照らし合わせ、基準を満たした療法食の情報をホームページで公開する
- 食事療法指導のサポート ― 動物病院の現場で使えるガイダンスやツールを整える
- 飼い主さまへの啓発 ― 獣医師の診断・指導を受けながら療法食を使うことの大切さを、広く知ってもらうための情報発信をする
VDECのサイトでは、基準を満たした登録療法食の一覧(犬用・猫用)も公開されていますので、ご興味のある方はのぞいてみてください。

当院からのお願い
病状によってお薬が変わるように、病気によりますが1~6カ月毎の定期的な受診で、療法食も見直しが必要か獣医師の判断を仰ぎながら、食事・栄養管理をしていきましょう。
療法食は、決してスーパーやネット通販で気軽に買い足すものではありません。同じ「腎臓ケア」「尿路ケア」といった名前の製品でも、その子の病状によって適したものは変わりますし、体調の変化に合わせて内容を見直す必要もあります。
- 療法食は、必ずかかりつけの獣医師と相談のうえで選び、購入しましょう
- 症状が落ち着いても、自己判断で急にやめたり、他のフードに変えたりしないようにしましょう
- 定期的な受診・検査で、今の療法食がその子に合っているかを一緒に確認していきましょう
「このフード、うちの子に合っているのかな?」「食べてくれなくて困っている」など、療法食に関するご相談はいつでもお気軽にどうぞ。
よくある質問(Q&A)
Q1. 療法食と一般的なペットフードは何が違うのですか?
A. 一般的なペットフード(総合栄養食)は健康な子の栄養維持を目的としていますが、療法食は特定の病気や体調に合わせて栄養成分の量・比率を調整した、治療のサポートを目的とするフードです。栄養設計そのものが異なるため、使い方には注意が必要です。
Q2. 療法食はどこで購入すればよいですか?
A. かかりつけの動物病院で、その子の状態に合った製品を選んでもらったうえで購入することをおすすめします。スーパーやネット通販での自己判断の購入・切り替えは避けましょう。
Q3. 症状が良くなったら、療法食はやめてもいいですか?
A. 自己判断でやめたり、他のフードに変えたりせず、必ず獣医師に相談してください。病状によっては継続が必要な場合や、段階的な見直しが必要な場合があります。
Q4. 療法食を食べてくれません。どうすればいいですか?
A. フードの温度を人肌程度に温めたり、ドライからウェットに変えてみたりすると食べてくれることがあります。それでも食べない場合や、猫ちゃんで数日食欲がない場合は、体に負担がかかることがあるため早めに当院へご相談ください。
Q5. VDEC(獣医療法食評価センター)とはどんな機関ですか?
A. 特定のメーカーに偏らない非営利の第三者機関で、療法食の基準づくりや製品評価、飼い主さまへの啓発活動などを行なっています。基準を満たした療法食の情報は、VDECの公式サイトで確認できます。
参考:一般財団法人 獣医療法食評価センター(VDEC) https://www.vdec.or.jp/

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