最終更新日:2026年8月27日
小鳥の息が苦しそう
この資料は、アロハオハナ動物病院の院長獣医師が監修した、鳥類の呼吸器疾患に関する専門的な解説記事です。鳥特有の気嚢(きのう)という身体構造や、感染症・環境要因といった発症原因、さらに尾羽呼吸などの見逃しやすい初期症状について詳しく紹介しています。あわせて、同院でのレントゲンやDNA検査を用いた診断方法や、ネブライザー治療を含む具体的なケアについても記載されています。愛知県豊田市に拠点を置く同院は、エキゾチックアニマルの診療が豊富で、LINEを活用した完全予約制による飼い主さまへのサポート体制も整えています。早期発見が難しい鳥たちの健康を守るため、日頃の観察と環境維持の重要性を説く内容となっています。
こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
当院ではインコやブンチョウなどの鳥類の診療も豊富です。
「うちの子、今日は呼吸が速い気がする……」「肩で息をしているように見える」
そんなとき、鳥の呼吸器疾患が隠れているかもしれません。
本日は、鳥の呼吸器病についての原因、症状、そして当院での対応についてご紹介します。
大切な鳥さんの健康を守るため、ぜひ最後までお読みください。

鳥の呼吸器って、どんな仕組み?
まずは簡単に鳥の呼吸の解剖生理学的特徴をご紹介します。
鳥は哺乳類と違い、肺のほかに“気嚢(きのう)”という空気の袋を体内にいくつも持っています。この気嚢のおかげで、鳥は空気を効率よく流すことができ、高い代謝に対応しています。
しかしこの複雑な構造が、感染や異物、炎症に対してとても繊細でもあるのです。
呼吸器疾患の主な原因とは?
鳥の呼吸器病には、以下のような原因が考えられます:
1. 細菌感染
代表例:Chlamydia psittaci(オウム病)、Mycoplasma spp.、E. coli など
汚れたケージ、換気不足、他の鳥からの感染などが原因になります。
2. 真菌感染
代表例:Aspergillus fumigatus(アスペルギルス症)
空気中のカビが原因で、とくに免疫力の落ちた鳥や、通気性の悪い環境にいる鳥に発生しやすいです。
3. ウイルス感染
代表例:PBFD(オウム嘴羽毛病)ウイルス、ポリオーマウイルス など
免疫抑制や羽毛異常に加え、二次的な呼吸器感染を引き起こすこともあります。
4. 寄生虫感染
代表例:気管開嘴虫やハナダニ(気嚢ダニ)など
カナリアやフィンチでは、気道に寄生し、異常な呼吸音や声の変化を起こします。
5. 物理的な問題
・気道内の異物(種子や砂)
・腫瘍による圧迫
・卵塞(特にメスの小型鳥でよく見られます)
6. 環境要因
・タバコの煙、芳香剤、キッチンの煙など
・乾燥しすぎた空気や換気不良

鳥の呼吸器病で見られる症状とは?
以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院へご相談ください。
- 息が速い・浅い(開口呼吸、肩で息をしているように見える)
- 声が変わった、鳴かない、異常な音
- 鼻水・くしゃみ
- 結膜(目の周り)や顔が腫れる
- 尾羽が呼吸に合わせて上下に揺れる(尾羽呼吸;テイルボビング)
- 開口呼吸をしている
- 頭部を振ったり、ひっかいたりする
- 羽を膨らませて(膨羽)じっとしている(元気消失)
- 食欲不振、体重減少
⚠️鳥は具合が悪くてもそれを隠す習性があるため、症状が現れたときにはすでにかなり進行しているケースも少なくありません。

動物病院ではどうやって診断・治療するの?
当院では以下のようなステップで診療を行なっています:
1. 視診・聴診・触診
まずは触らずに酸素室に入れながら、全身状態を把握し、呼吸音や粘膜の色を確認します。
2. レントゲン検査
肺や気嚢、腹腔内の臓器を確認し、感染・腫瘍・卵塞・異物の有無を調べます。
3. 血液検査
感染の有無、炎症の程度、臓器のダメージを評価します。ただし、緊急時にはハイリスクです。
4. 培養検査やDNA検査
鼻水や糞便、喉のスワブから病原体(クラミジアなど)を特定できることもあります。

治療と予後について
治療内容は原因によって異なります:
- 細菌感染:抗生物質の投与(注射または経口)
- 真菌感染:抗真菌薬の長期投与(例:イトラコナゾールなど)
- 寄生虫感染:駆虫薬の投与
- 環境改善:換気の強化、加湿、刺激物の排除
- 重症例:酸素室管理や強制給餌、点滴などの集中治療
● 予後(治りやすさ)
- 軽度の細菌感染なら予後良好ですが、
- アスペルギルス症やクラミジア感染は長期管理が必要なことも。
- 発見が遅れると呼吸不全で命に関わることもあります。
飼い主さまにできる予防のポイント
- 鳥かごのこまめな掃除(フン受け、止まり木、給餌器など)
- 部屋の換気と適切な湿度管理(40~60%)
- タバコ・アロマ・調理中の煙は鳥のいる空間では使用しない
- 異変があればすぐに動物病院へ相談する習慣

呼吸は命のサイン。早期発見・早期治療がカギ!
鳥は非常に繊細な生き物で、少しの環境変化でも体調を崩してしまうことがあります。
呼吸器の異常は命に関わる重大なサインでもあるため、日頃から観察し、異変にすぐ気づけるようにしてあげましょう。
当院では、鳥類の診療に経験を積んだ獣医師が在籍し、酸素室やレントゲン設備、DNA検査の導入など、専門的な診療を提供しています。
どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
よくあるご質問Q&A
- Q:インコの呼吸がいつもより速く、肩で息をしているように見えるのですが病気でしょうか?
- A: はい、鳥類の呼吸器疾患が隠れている可能性があります。鳥は肺のほかに「気嚢(きのう)」という空気の袋を体内に複数持っており、この複雑な構造が感染や炎症に対して非常に繊細です。息が浅く速い、肩で息をしているように見える、あるいは口を開けて息をする「開口呼吸」が見られる場合は、速やかに動物病院へ相談してください。
- Q:鳥が息をするときに、尾羽が上下に揺れているのは異常ですか?
- A: それは「尾羽呼吸(テイルボビング)」と呼ばれる、呼吸が苦しいときに見られる重大な異常サインです。鳥は具合が悪くてもそれを隠す習性があるため、飼い主さまが尾羽呼吸などの目に見える異変に気づいた段階では、すでに病状がかなり進行しているケースも少なくありません。すぐに動物病院を受診してください。
- Q:インコの声がかすれたり、急に鳴かなくなったりしました。呼吸器の病気と関係ありますか?
- A: 声が変わった、鳴かない、異常な音がするといった変化は、呼吸器病の典型的な症状の一つです。特にカナリアやフィンチなどの小型鳥では、気道に気管開嘴虫やハナダニ(気嚢ダニ)などの寄生虫が感染することによって、声の変化や呼吸器の異常が引き起こされることがあります。
- Q:小鳥が呼吸するときに、変な音が聞こえる原因は何ですか?
- A: 細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫による感染症のほか、気道内に入り込んだ異物(種子や砂)、腫瘍による圧迫、卵塞(特にメスの小型鳥に多い)といった物理的な問題が呼吸の通り道を塞いでいる可能性が考えられます。動物病院ではレントゲン検査などを行い、これらの原因を特定します。
- Q:インコが羽を膨らませてケージの底でじっとしており、息も荒いです。どうすればいいですか?
- A: 羽を膨らませてじっとしている(膨羽・元気消失)のは、体調が非常に悪化している危険な兆候です。鳥はギリギリまで病気を隠すため、この状態はすでに命に関わるほど進行している恐れがあります。すぐに動物病院へ連絡し、酸素室の利用や点滴、強制給餌などの集中治療を含めた措置を獣医師に相談してください。
- Q:鳥の呼吸器病は治療すれば治りますか?
- A: 軽度の細菌感染であれば、適切な抗生物質の投与によって予後は良好(治りやすい)です。しかし、カビが原因のアスペルギルス症(真菌感染)やオウム病(クラミジア感染)などは長期的な管理が必要になります。何よりも発見が遅れると呼吸不全で命を落とす危険があるため、早期発見・早期治療がカギとなります。
- Q:呼吸が苦しそうな小鳥を病院に連れて行くと、どのような検査をされますか?
- A: まずは鳥に負担をかけないよう、酸素室に入れながら視診・聴診・触診を行い、呼吸状態や粘膜の色を確認します。その後、原因を調べるためにレントゲン検査で肺や気嚢などの臓器の状態をチェックしたり、喉のスワブなどから病原体を特定する培養検査やDNA検査を行います。なお、血液検査は有用ですが、呼吸が極度に荒い緊急時にはハイリスクとなる場合があります。
- Q:家でのケージ掃除や温度・湿度管理で、呼吸器病を予防できますか?
- A: 日頃から鳥かごのフン受け、止まり木、給餌器をこまめに掃除して清潔に保ち、部屋の換気と適切な湿度管理(40〜60%)を心がけることが大切です。換気不足や空気の乾燥、ケージの汚れは、細菌や真菌(アスペルギルスなどのカビ)が繁殖して呼吸器に感染する主な原因になります。
- Q:部屋で使うアロマやタバコの煙、キッチンの煙は小鳥の呼吸器に影響しますか?
- A: はい、極めて重大な悪影響を及ぼします。タバコの煙、芳香剤(アロマなど)、調理中の煙は小鳥の呼吸器を直接刺激し、病気を引き起こす環境要因になります。鳥の呼吸器系は非常にデリケートですので、鳥がいる同じ空間ではこれらを絶対に使用しないでください。
- Q:インコがくしゃみや鼻水を出したり、目の周りが赤く腫れたりしています。これは風邪ですか?
- A: 鳥類における鼻水、くしゃみ、結膜(目の周り)や顔の腫れは、重大な呼吸器疾患の代表的な症状です。これらに伴い、頭部を激しく振ったり、顔をひっかいたりする行動を見せることもあります。「少し風邪をひいただけ」と放置せず、早めに動物病院へ相談してください。

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小動物専門・エキゾチック対応のエキゾチックアニマル診療科のある当院では、皆さまのご協力のおかげで完全予約制を維持できております。本来最も時間のかかる問診票を、お時間のあるご自宅でゆったり確実に記入していただいています。そのため、本質的なお話の時間を取ることができています。それでもお話・ご質問があるという場合にも、LINEで完全にフォローさせていただいております。大切なご家族(”Ohana”)のことですから、一人の信頼できる獣医師に診てもらいたいですよね。LINE初診予約、ご相談や健康チェックもお気軽にどうぞ。
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