はじめに
近年、日本でも爬虫類(カメ、トカゲ、ヘビなど)をペットとして飼育する家庭が増えています。一方で、爬虫類が自然に保菌する「サルモネラ菌」が人間に感染し、人獣共通感染症(ズーノーシス)として問題となるケースも少なくありません。とくに乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方は、感染時に重症化するリスクが高く注意が必要です。
本記事では、第2弾として、サルモネラ感染のリスク、症状、予防法について詳しく解説します。
第1弾はこちら

爬虫類とサルモネラの関係
サルモネラとは?
サルモネラ属菌(Salmonella spp.)は、胃腸炎や敗血症などを引き起こす細菌です。感染は主に経口的に起こり、汚染された食物や水を介するだけでなく、動物との接触でも感染します。
爬虫類は無症状の保菌者
爬虫類は外見上健康に見えても、腸内にサルモネラ属菌を自然に保菌しています。健康な個体でも糞便を通じて菌を排出しており、排出量はストレスや環境の変化(温度・湿度・餌)によって増加することが知られています。
アメリカCDC(疾病予防管理センター)によると、市販されている爬虫類の多くがサルモネラを保菌していると報告されており、とくに幼い子供への感染リスクが指摘されています。

感染経路とリスク
サルモネラは、以下のようなルートで人に感染します:
- 爬虫類に直接触れた手で顔や口元を触る
- ケージや床材、器具の掃除後に手洗いをしない
- 飼育水や排泄物の処理が不十分
- 爬虫類をキッチンや食卓に近づける
また、感染者の手指や調理器具を介して家族間で二次感染が起こる場合もあります。特にカメ(特に甲長10cm未満)による感染が米国では大きな問題となり、1975年から小型カメの販売が禁止されています。
間接的な感染経路は、私は、もっとも重要だと思っています。それは、飼い主さまが、それが感染につながるとは思っていないような気がするからです。たとえば、あなたの爬虫類がケージの中で排泄し、その糞の上を歩き、そしてその後に糞便(たとえほんのわずかな乾燥した糞の粒であっても)をカーペットの上に運ぶ場合があります。後になってあなたがそのカーペットに触れ、さらに自分の顔や口に触れてしまうと、感染が起こる可能性があります。

感染時の症状と重篤化の可能性
ヒトにおけるサルモネラ症は、以下のような症状を呈します:
- 軽度~中等度の下痢
- 腹痛
- 発熱
- 時に悪心・嘔吐
健康な成人では自然に軽快することが多いですが、以下のようなハイリスク群では重症化することがあります:
- 5歳未満の子供
- 妊婦および出産直後の母親
- 高齢者
- 免疫抑制状態の人(放射線治療、化学療法、または大量のステロイドを使用している患者、糖尿病、HIV陽性の人など)
重篤化すると、敗血症、骨髄炎、髄膜炎、関節炎などを引き起こすことがあります。
CDCの報告によると、爬虫類由来のサルモネラ感染症患者のうち約45%が5歳以下の小児であり、予防の徹底が急務です。

サルモネラ菌感染の予防法【家庭でできる対策】
基本的な衛生管理
- 爬虫類やそのケージに触れた後は、必ず石鹸と流水で20秒以上手洗い
- 子供・高齢者・免疫力が低下している人が爬虫類に触れるのは避ける
- ケージの掃除はキッチンでは行なわず、専用の洗い場(洗面台や屋外)を使用
- 調理中や食事中に、爬虫類を室内に入れない・近づけない
- ペットにキスをしない・顔を近づけない
動物病院での役割
当院でも、飼い主さまへの正しい情報提供と啓発が不可欠と考えています。実際、Midhaら(2024)の文献では、「飼い主の3割未満しか、爬虫類がサルモネラ菌を排出することを認識していなかった」との調査結果も示されています。

愛知のヘソ豊田市周辺の岡崎市、日進市、安城・刈谷市にお住いの爬虫類の飼い主さまへ、
当院の獣医師はエキゾチックペット、猫、小型犬などの広範な動物種に対する専門的な知識と豊富な経験を有しております。どんなペットにも信頼できるケアを提供いたします。
つまり、あらゆるペットに対応する総合的な診療を行なうことができます。
どんなお悩みもお気軽にご相談ください。多岐にわたるペットの医療に精通した獣医師が、どのペットにも最適な治療を提供いたします。注文は多いけど日本一面倒をよく見てくれる爬虫類動物病院を目指しています。
かもがわ公園小動物クリニックは愛知県豊田市役所高橋出張所前のかもがわ公園の近くにございます。
愛知県豊田市東山町の動物病院はアロハオハナ動物病院
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