【獣医師監修】猫の歯石除去のすべて|処置の流れ~ホームケアまで徹底解説!

歯周病の猫を抱いて心配している飼い主さま

処置の流れ・麻酔の安全性・術後ケア・再発防止のホームケアまで丁寧に解説します。


【猫の歯石除去とは?】お口の健康を守る大切な処置とホームケアのすすめ

こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
今回は、**猫ちゃんの歯のクリーニング(スケーリング)**についてお話しします。
「最近、うちの子のお口が臭う」「ごはんを食べにくそうにしている」「なんか体調が悪そう」と感じている飼い主さま、もしかしたら歯石が原因かもしれません。


■ 歯石とは? そのまま放置していいの?

猫ちゃんの歯にこびりつく**歯石(しせき)**は、食べかすや細菌が固まってできたものです。
見た目は茶色や黄色の硬いかたまりで、**歯ぐきに炎症を起こし、歯周病(ししゅうびょう)**へと進行していきます。

歯石を放置すると…

  • 歯ぐきから出血・腫れ
  • 強い口臭
  • 歯がぐらぐらする(最終的に抜け落ちる)
  • 顎の骨が溶ける(重度の歯周病)
  • 内臓(心臓や腎臓など)への影響も

これらはすべてQOL(生活の質)に大きく関わる問題です。
歯石の除去は単なる「見た目の問題」ではなく、健康寿命を延ばす重要な獣医療行為なんです。


■ どんな猫に歯石除去が必要?

動物病院での歯石除去が適応になるのは、以下のようなケースです。

  • 歯の表面に歯石が付着している(目で見て分かる)
  • 歯ぐきの炎症・赤みがある(歯肉炎)
  • 口臭がある
  • ごはんを食べるのを嫌がる
  • くしゃみや鼻水がある(上顎の炎症が副鼻腔に波及)
  • よだれが多い、口を気にする動作が多い

なお、3歳以上の猫の約70%がすでに歯周病を持っているというデータ(AAHA 2020)もあり、症状がなくても定期的な歯科検診をおすすめします。


■ 実際の歯石除去の処置とは?

皆さまは歯医者さんでスケーリングを受けたことがありますか?チクチクしますが、局所麻酔なしでも我慢できない痛みではないですよね。しかし、猫ちゃんの歯石除去は、全身麻酔下で行ないます。これは、動いてしまう猫に安全かつ正確に処置をするために必要なステップです。

【処置の流れ】

  1. 術前血液検査と身体検査:麻酔の安全性を確認します。場合によりX線検査なども追加します。
  2. 麻酔導入・気管挿管:安全な酸素供給と吸入麻酔を実施。
  3. 口腔内の精査:歯のぐらつき・ポケット・炎症・破折などを確認。
  4. スケーリング(超音波+ハンドスケーラー):歯の表面と歯肉縁下の歯石を除去。
  5. ルートプレーニング・キュレッタージ:外からは見えない歯と歯茎をきれいにします。
  6. ポリッシング(研磨):処置後の歯面をツルツルにして再付着を防止。
  7. 必要に応じて抜歯:重度の歯周病歯は抜歯の対象になります。
  8. 痛み止め・抗生剤・静脈点滴の投与
  9. 術後モニタリングと退院説明

■ 処置後の予後と注意点

多くの猫は1~2日で普段の生活に戻れます。抜歯をした場合も、柔らかいフードに切り替えれば、数日で問題なく食事を再開できます。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 麻酔後は半日~1日くらいおとなしくなることがあります。
  • 抜歯した場合には、しばらく歯磨きはお休みしてください。
  • 処方薬(痛み止めや抗生物質)はきちんと飲ませてください。
  • 「また歯石がつかないようにする」ためのホームケアの開始が重要です。

■ 歯石の再付着を防ぐホームケアとは?

歯石の再発を防ぐためには、ご家庭でのデンタルケアがとても大切です。

▼ 歯みがき(ベスト)

  • 毎日、専用の歯ブラシで優しく磨くのが理想。
  • 猫専用の歯みがきジェルやペーストを使用。
  • 最初は「口元を触るだけ」から慣らしていきましょう。

▼ デンタルおやつやガム(補助的)

  • 効果の証明された製品(VOHC認証マーク)を選びましょう。
  • 歯垢や細菌バイオフィルムを抑える成分入りのものが推奨。

▼ フードの見直し

  • 歯垢コントロール用のドライフード(粒が大きく、摩擦効果あり)
  • ウェットフードだけだと歯石がつきやすい傾向があります。

■ 最後に

猫ちゃんの歯科疾患は、見逃されやすく、進行しやすいのが特徴です。
しかし、きちんとケアすれば、お口も体も元気に長生きできるようになります。

当院では、猫ちゃんの歯科処置について、事前のカウンセリングや麻酔の不安解消のご相談も受け付けております。お気軽にお声をかけてくださいね。


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