ウサギに多い病気とその対処法:動物病院で見られるウサギの健康問題とは?🐇

ウサギの診療をする優しい男性獣医師

最終更新日:2025年10月13日

ウサギは飼育環境・食事管理が不適切だと多様な病気にかかりやすく、早期発見と予防が命を守る鍵となる。

このブログでは、動物病院でよく見られるウサギの健康問題として、子宮疾患・胃腸うっ滞・不正咬合・足底潰瘍・熱中症・尿路結石の6つが詳しく解説されています。

多くの病気の根本には、不適切な飼育環境・食事管理・運動不足・ストレスといった日常的な要因があります。特に未避妊の雌ウサギは子宮疾患のリスクが非常に高く、早期の避妊手術が推奨されます。胃腸うっ滞は緊急性が高く、高繊維食(牧草)の継続給与が予防の要です。不正咬合は牧草などによる適切な咀嚼で防ぎ、足底潰瘍は清潔で柔らかい床材で対処します。夏の熱中症対策や、カルシウム過多を避けた尿路結石の予防も重要です。番外編として爪折れによる救急受診も多く、定期的な健康診断での爪切りが一石二鳥と紹介されています。知識を持ち、飼い主さまが「家庭医」として日頃から観察することが、ウサギの健康を守る最大の対策です。

あなたのウサギは大丈夫?子宮疾患から胃腸うっ滞まで、飼育環境が引き起こす病気をウサギ獣医師が解説!

こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。ウサギは、愛らしい見た目とおだやかな性格で人気のペットですが、その繊細な体質と特有の健康問題が多く、とくに飼育環境や食事管理が適切でない場合、様々な病気にかかりやすくなります。ここでは、動物病院でよく見られるウサギの健康問題について説明し、とくに飼育方法に関連する原因や、その対策方法について詳しく述べます。

1. 子宮疾患(Uterine Disease)

ウサギの雌は、非常に高い確率で子宮疾患を発症します。未避妊のウサギでは、4歳以上になると50%以上が何らかの子宮疾患にかかるとされています。最も一般的な子宮疾患は、子宮腺癌です。

原因

子宮疾患は、主にホルモンの不安定な影響が原因となります。未避妊のウサギでは、子宮内膜が長期にわたってホルモンの影響を受けるため、異常な細胞増殖が進行しやすく、腫瘍や感染症の原因となります。

対処法

最も効果的な予防法は、早期の避妊手術です。また、定期的な健康診断によって、早期発見を目指すことが重要です。子宮疾患の初期症状には、食欲不振、元気消失、腹部の膨満、血尿などがあり、これらの症状を見逃さず、早急に動物病院を受診することが求められます。

2. 胃腸うっ滞(Gastrointestinal Stasis;RGIS)

ウサギにとって最も危険で、緊急性の高い問題の一つが胃腸うっ滞です。この状態では、消化管の動きが停滞し、食べ物やガスが溜まってしまい、生命を脅かす結果を引き起こすことがあります。

原因

主な原因は以下の通りです。

  • 繊維質の不足:ウサギの食餌に必要な繊維質が不足すると、消化管の動きが遅くなり、うっ滞が発生します。
  • ストレス:環境の変化や人間との接触、不適切な飼育環境など、ストレス要因がうっ滞の引き金となることがあります。
  • 痛み:他の病気や怪我によって痛みを感じると、食欲が低下し、結果的に消化が停滞します。

対処法

予防には、高繊維質な食餌が不可欠です。良質な牧草(チモシーなど)を常に与えることが、消化管の健康維持に役立ちます。また、ストレスを最小限に抑えるため、安定した環境を提供し、適切なケージの広さや遊び場を確保することも重要です。胃腸うっ滞の兆候には、食欲不振、便が出ない、腹部の膨満などがあり、これらを確認した場合は、早急な診察が必要です。治療は、胃腸の動きを促進する薬物療法や、水分補給が中心です。

3. 不正咬合(Malocclusion)

ウサギの歯は生涯にわたって伸び続けますが、適切な咀嚼が行なわれないと、歯が異常に伸びてしまい、不正咬合や歯根膿瘍などの問題を引き起こします。

原因

  • 硬い食物の不足:うさぎが十分な硬い食物を摂取しない場合、歯が自然に磨耗せず、伸びすぎてしまうことがあります。ここでいう「硬い」とは、奥歯でよくすりつぶさないと飲み込めないようなものを指します。
  • 遺伝的要因:一部のウサギでは、顎や歯の構造に遺伝的な問題があり、咬合不全を引き起こしやすいです。

対処法

不正咬合を予防するためには、ウサギに適切な咀嚼素材を提供することが重要です。牧草や適切な硬さの野草を与えることで、歯が適切に削れます。既に不正咬合が起きている場合は、定期的な歯のトリミングや、場合によっては歯の外科的処置が必要となることがあります。

4. 足底潰瘍(Plantar Ulcers、Sore Hock)

足底潰瘍は、ウサギの足裏に発生する痛みを伴う病変で、重症化すると感染症を引き起こすこともあります。とくに体重オーバーなウサギや、運動不足のウサギに見られます。

原因

  • 硬い床材:ケージの床が硬いワイヤー製である場合、足裏に負担がかかり、潰瘍を引き起こしやすくなります。
  • 不衛生な環境:糞尿で汚れたケージで飼育されていると、足裏の皮膚が軟化し、潰瘍ができやすくなります。
  • 運動不足:ウサギが十分に運動できない環境にいると、体重が足裏局部に集中し、潰瘍のリスクが高まります。

対処法

予防には、ケージの床材を見直すことが重要です。ワイヤー製の床は避け、柔らかい敷物や、適切なベッドを用意しましょう。また、ケージの清潔を保ち、糞尿が足裏に触れないようにすることも大切です。すでに潰瘍が発生している場合は、早急な治療が必要です。抗生物質や消毒剤を使用して感染を防ぎ、潰瘍部の保護と清潔な環境を維持することが求められます。

5. 緊急疾患と重篤な結果を引き起こす病気

ウサギには、いくつかの緊急性の高い疾患があります。以下にその一部を紹介します。

a. 熱中症(Heat Stroke)

ウサギは高温に非常に弱く、とくに湿度が高い日本の夏では、熱中症にかかるリスクが高まります。体温が急上昇し、適切な処置がされないと、命に関わることもあります。

原因

  • 高温多湿の環境:ウサギが直射日光にさらされたり、通風が悪い場所に置かれている場合、熱中症を引き起こしやすいです。

対処法

  • 予防:夏場は風通しの良い場所にケージを置き、エアコンで温度管理を徹底することが大切です。冷却パッドや冷たい水も効果的です。
  • 応急処置:ウサギが熱中症の兆候(体温上昇、呼吸が荒くなる、ぐったりするなど)を示した場合、直ちに冷却を開始し、できるだけ早くお連れください。

b. 尿路結石(Urolithiasis)

尿路結石は、カルシウムが結晶化して尿路に蓄積することで発生し、痛みや血尿を引き起こす深刻な病気です。

原因

カルシウムの過剰摂取や水分不足が原因とされています。ウサギはカルシウムの代謝が特異で、摂取量が多すぎると、尿中に多くのカルシウムが排出され、結晶化しやすくなります。カルシウムというと、健康に必要な栄養素の代表格といえると思いますが、ウサギでは要注意です。

対処法

結石の予防には、カルシウムを適切にコントロールすることが重要です。野菜やペレットの種類に注意し、カルシウムが多い食品を避けるようにしましょう。また、水分をしっかりと摂らせることも重要です。

番外編:爪折れ

重篤ではないのですが、救急受診の多いのが、爪の問題です。なかなかご自宅では爪切りができずに、そうこうしているうちに、カーペットなどに引っ掛けてしまい、爪が折れて出血して搬送されます。爪が剥がれるのって、想像するだけで、ゾワッとしますよね。
当院でもウサギの爪切りは実施していますので、定期的な健康診断の際に、リクエストしてください。おうちで苦労して切る必要もないし、健康診断で病気も早期発見できますので、一石二鳥です!

ウサギによく見られる病気について書いてみましたが、いかがでしたか?知っているのと、いないのとでは雲泥の差があります。これからも、飼い主さまが、一番身近な家庭医として、ウサギさんの健康を守ってあげてくださいね。

Q1. 未避妊の雌ウサギが4歳以上になると、何割以上が子宮疾患にかかるとされていますか?
A. 50%以上とされています。

Q2. 子宮疾患の最も効果的な予防法は何ですか?
A. 早期の避妊手術です。

Q3. 胃腸うっ滞(RGIS)が起きると、体にどんな影響がありますか?
A. 消化管の動きが停滞し、食べ物やガスが溜まり、命に関わることもあります。

Q4. ウサギの胃腸うっ滞に最も大切な予防策とは何ですか?
A. チモシーなどの良質な牧草を常に与えることです。

Q5. ウサギの不正咬合はなぜ起きるのですか?
A. 牧草などのよく咀嚼しなければ飲み込めない食物の不足で、歯が自然に磨耗せず伸びすぎることや、遺伝的な顎・歯の構造の問題が原因です。

Q6. 足底潰瘍を引き起こしやすい床材はどのようなものですか?
A. ワイヤー製の硬い床材です。

Q7. ウサギが熱中症になったときの応急処置は?
A. 直ちに冷却を開始し、できるだけ早く動物病院へ連れて行くことです。

Q8. ウサギの尿路結石の主な原因は何ですか?
A. カルシウムの過剰摂取と水分不足です。

Q9. 爪折れによる救急受診が多い理由はどのようなものですか?
A. ご自宅での爪切りが難しく放置してしまい、カーペットなどに引っ掛けて爪が折れて出血することです。

Q10. ウサギの健康を守るために飼い主ができる最も基本的なことは何ですか?
A. 日頃から観察を怠らず、定期的な健康診断を受けさせ、適切な食餌と飼育環境を整えることです。

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