ヒョウモントカゲモドキは乾燥地帯に棲息し、しっとりしたねぐらで休息しているのでは?
こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。今回はヒョウモントカゲモドキの皮膚トラブルについてお話しさせていただきますね。
ヒョウモントカゲモドキは、そのユニークな模様と飼いやすさから、世界中で人気のあるペットトカゲの一種です。しかし、適切な飼育環境が整えられていない場合、さまざまな皮膚トラブルを引き起こすことがあります。とくに湿度管理や温度調整が重要で、これらの要因が皮膚疾患の発生に大きく影響していると考えています。
本記事では、ヒョウモントカゲモドキに見られる皮膚疾患の概要、それらの原因、飼育環境との関連性、治療方法、そして予防策について詳しく解説します。
1. ヒョウモントカゲモドキの皮膚疾患の概要
ヒョウモントカゲモドキの皮膚疾患は、主に以下のような症状で現れることが多いです。
- 皮膚の剥離:不適切な湿度や温度管理が原因で、正常な脱皮ができないことがあり、皮膚が残ったり、剥離不全が生じます。
- 潰瘍や感染症:ケージの不衛生や外傷が原因で、皮膚が細菌や真菌(カビ)に感染し、潰瘍(ただれ)が形成されることがあります。
- 皮膚の変色:ストレスや栄養不足が原因で、皮膚の色が変わることがあります。
2. 飼育管理と皮膚疾患の関連性
2.1. 温度と湿度の管理
ヒョウモントカゲモドキの皮膚疾患の多くは、飼育環境の温度や湿度が不適切であることに起因しています。理想的な環境条件は次の通りです:
- 温度:ヒョウモントカゲモドキは変温動物であるため、適切な温度勾配が必要です。ケージ内の暖かい場所は28~32℃、低い場所は22~26℃が推奨されます。不適切な温度は脱皮不全を引き起こしやすく、皮膚疾患の原因となります。そして、さらに低温は免疫低下のとても大きな原因です。
- 湿度:湿度が高すぎると、皮膚が湿りすぎて真菌や細菌の繁殖を助長します。湿度は40~50%に保つのが理想的です。とくに日本では、湿度が高い夏季には結露や湿気が問題となり、湿度過多による皮膚炎が頻繁に見られる印象があります。下記のようにケージの壁面に結露していたり、ウェットシェルターがカビている状態は、このように、プラケースの蓋をして密閉している環境でよく見られます。
2.2. ケージの清掃と衛生管理
ヒョウモントカゲモドキは地面を歩く動物であるため、ケージ内の床材や周囲の汚れが皮膚に直接触れやすいです。不衛生な環境では、細菌や真菌の繁殖が進み、感染症が引き起こされるリスクが高まります。また、寄生虫の駆除が済んでいなければ、重度の再感染を来してしまいます。以下の点に注意してケージを管理することが重要です。
- 定期的な清掃:排泄物や散らかった食餌を毎日取り除き、床材は毎日交換します。
- 適切な床材の選択:下記のような砂やヤシガラなどの口に入るサイズの細かい床材は消化器系にも影響を及ぼす可能性があり、湿気を溜めやすいため、乾燥したペーパータオルやリザードカーペットなどの使用が推奨されます。
3. 動物病院で見られる皮膚疾患の原因と治療法
実際の診療現場では、ヒョウモントカゲモドキに見られる皮膚疾患の原因として以下のようなケースが一般的です。
3.1. 脱皮不全
症状:脱皮が部分的にしか行われず、とくに指先や尾端に古い皮が残ることがあります。これは循環不全や壊死を引き起こす可能性があります。
原因:シェルター局所の湿度不足が主な原因です。ウェットシェルターの使用が簡易的です。ビタミンやミネラルの不足も十分考えられますが、詳細に関しては分からないことが多いです。
治療法:
- 残った皮をふやかしてから優しく湿らせて取り除く。下記のようにきれいに剥けると達成感はありますが…
- 壊死や化膿している場合には獣医師による外科的除去が必要な場合もあります。
3.2. 細菌感染症
症状:皮膚の潰瘍や赤み、腫れ、膿の分泌が見られることがあります。
原因:外傷やストレス、不衛生な飼育環境が原因で細菌感染が発生します。
治療法:
- 感染部位を洗浄し、抗菌薬を投与
- 局所的な抗生物質の使用
- 重度の場合は、全身的な抗生物質の投与が必要です
3.3. 真菌感染症
症状:皮膚に白い斑点や鱗状の異常が見られ、進行すると潰瘍化することがあります。
原因:湿度が高すぎる場合や、過度なストレスにより真菌が繁殖しやすくなります。
治療法:
- 抗真菌薬の局所塗布
- ケージ内の湿度管理を見直し、適切に調整
- 重症例では、全身的な抗真菌薬の投与が必要です
4. 日本における湿度過多による皮膚疾患
日本では特に湿度管理が難しい季節があり、高湿度が皮膚疾患の一因となることがしばしば見受けられます。湿度が高すぎると皮膚が常に湿った状態になり、細菌や真菌の繁殖を助長します。また、結露が発生するケージ内では、菌が繁殖しやすくなり、皮膚に影響を与える可能性が高まると考えています。「湿らせた環境を用意する」というのが、「びしゃびしゃに濡れている」と勘違いされているケースが散見されます。
4.1. 日本での皮膚炎の一般的な症状
- 皮膚の赤み、茶色くなる
- 皮膚がふやける
- 皮膚の潰瘍化や膿
4.2. 湿度管理の改善方法
- 通気性の良いケージの使用:湿度を適切に管理するために、通気性の良いケージを選びましょう。夏季は天井は金網などにしてみましょう。ケージ用換気扇の使用も必要かもしれません。
- 湿度計の設置:湿度計を使用して、湿度が40~50%の範囲に保たれているかを定期的に確認します。
- 除湿器の使用:特に夏季には、除湿器を使用して室内全体の湿度をコントロールすることも有効かもしれません。
5. 皮膚疾患の予防策
ヒョウモントカゲモドキの皮膚疾患を予防するためには、以下の点に注意して飼育環境を整えることが重要です。
- 適切な湿度と温度の管理:湿度と温度を常に適切に保つことで、脱皮不全や感染症のリスクを軽減できます。
- 定期的なケージの清掃:不衛生な環境は皮膚疾患を引き起こすため、糞や餌の残りかすは早めに取り除き、清潔な状態を保ちましょう。野生のような自然の浄化作用は期待できません。
- ストレスの軽減:過密飼育や頻繁なハンドリングはストレスの原因となり、皮膚疾患を引き起こす可能性があります。適度な環境を整え、ストレスを軽減することが大切です。
ヒョウモントカゲモドキの皮膚と環境との関連についてのお話でしたが、いかがでしたか?とくに当院では、湿度過多が原因で皮膚炎が発生するケースによく遭遇します。湿度や温度の適切な管理、ケージ内の衛生管理を徹底することで、これらの疾患を予防することが可能です。もし皮膚疾患が発生した場合は、早めに当院のエキゾチックアニマル診療科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
_____________________________
愛知のヘソ豊田市周辺の岡崎市、日進市、安城・刈谷市にお住いのヒョウモントカゲモドキの飼い主さまへ
当院の獣医師はエキゾチックペット、猫、小型犬などの広範な動物種に対する専門的な知識と豊富な経験を有しております。どんなペットにも信頼できるケアを提供いたします。
つまり、あらゆるペットに対応する総合的な診療を行なうことができます。
どんなお悩みもお気軽にご相談ください。多岐にわたるペットの医療に精通した獣医師が、どのペットにも最適な治療を提供いたします。注文は多いけど日本一面倒をよく見てくれるトカゲ動物病院を目指しています。
かもがわ公園小動物クリニックは愛知県豊田市役所高橋出張所前のかもがわ公園の近くにございます。
ヒョウモントカゲモドキの病気のことなら、かもがわ公園小動物クリニック
愛知県豊田市東山町の動物病院はアロハオハナ動物病院
#動物病院
#豊田市
#ヒョウモントカゲモドキ
#病気
この記事へのコメントはありません。