フェレットの下痢・軟便 ― 食欲があるときも安心できない?原因・検査・治療を徹底解説

フェレットの病気の原因・検査・治療を徹底解説

こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

フェレットは犬や猫に比べて消化管が非常に短く、食べたものが3〜4時間ほどで便として排泄されます。そのため、ちょっとした食事の変化やストレスで「下痢」や「軟便」が出やすい動物です。

「元気も食欲もあるけれど、便が柔らかい」
「時々下痢をするけれど、すぐに治ってしまう」

こうしたケースは軽く見られがちですが、放置してよい場合と、病気が隠れている場合があります。この記事では、フェレットの下痢・軟便の原因・検査・治療の流れを、獣医師の視点で詳しく解説します。


フェレットの下痢・軟便の主な原因5つ

1. 食事性のトラブル

  • 新しいフードに急に切り替えた
  • おやつを与えた(とくに犬猫用や人間用のおやつ)
  • 炭水化物や繊維の多いフードを食べた

フェレットは肉食の体質で、タンパク質と脂肪の消化は得意ですが、炭水化物や繊維は苦手です。そのため、食べものが合わないと軟便や下痢をしやすくなります。


2. 腸内細菌バランスの乱れ(腸内フローラの異常)

腸内の細菌バランスが崩れると、一時的に下痢が起きます。

  • 抗生物質を飲んだあと
  • 急な環境変化やストレス
  • フードの切り替え

こうした要因で「腸内の善玉菌」が減り、悪玉菌(例:Clostridium)が増えると軟便が出ます。


3. 炎症性腸疾患(IBD)

フェレットでもIBD(Inflammatory Bowel Disease)が見られます。初期は「ときどき軟便」程度で元気食欲があるため見過ごされがちですが、進行すると体重減少や慢性的な下痢に進展することがあります。


4. ストレスによる下痢

引っ越し、来客、温度変化、同居動物との関係など、ストレスは腸の動きを変化させ、一過性の下痢につながります。フェレットも実は繊細で環境の変化に敏感なため、ストレス性下痢は珍しくありません。


5. 寄生虫や細菌感染

通常の便検査で見逃される場合もあります。

  • Giardia(ジアルジア):軟便や慢性下痢の原因
  • Cryptosporidium(クリプトスポリジウム):若齢個体で特に注意
  • Helicobacter mustelae(ヘリコバクター):胃炎や消化不良に関与

同居のフェレットが無症状でも感染していることがあるため、繰り返す下痢では必ず精密な便検査が必要です。


飼い主さまが観察すべきポイント

  • 便の状態:頻度・色・形・におい(写真を撮ると診断に役立ちます)
  • 下痢が出るタイミング:食後?ストレス後?同居個体との遊んだ後?
  • 元気・食欲の有無
  • 体重の変化
  • 嘔吐の有無

👉 「元気も食欲もある下痢」は軽度なケースも多いですが、繰り返す・長引く・体重減少があるときは病気の可能性をより強く疑います。


病院で行なう検査の流れ

1. 問診

  • フードの種類
  • おやつや人間の食べ物の有無
  • 最近の環境の変化

2. 便検査

  • 顕微鏡検査(寄生虫、細菌の状態)
  • 浮遊法で寄生虫卵をチェック
  • ELISAやPCRでGiardia・Cryptosporidiumを調べる

3. 血液検査

  • 肝臓・腎臓・膵臓の状態
  • 炎症の有無
  • ビタミンB12や葉酸(吸収不良の確認)

4. 画像検査

  • X線検査(レントゲン):異物の有無
  • 超音波検査(エコー):腸の壁の厚さやリンパ節腫大

5. 内視鏡や生検

慢性化した場合は腸粘膜の組織を調べ、IBDや腫瘍を確認します。


治療の大まかな流れ

食事の見直し

  • フェレット専用の高タンパク・高脂肪フードへ統一
  • 炭水化物や繊維の多いフード、おやつを控える

腸内環境を整える

  • プロバイオティクス(腸に良い菌を補う)を使用

感染症が疑われる場合

  • Giardia → メトロニダゾールやフェンベンダゾール
  • 細菌性 → 短期間の抗生物質

炎症性腸疾患が疑われる場合

  • 消化に優しいフードへの切り替え
  • プレドニゾロンなどステロイドで炎症を抑えることも

フェレットの下痢で受診すべきサイン

  • 下痢が数日以上続く
  • 繰り返し軟便が出る
  • 元気や食欲が落ちてきた
  • 体重が減ってきた
  • 血便や黒色便が出た
  • 嘔吐を伴う

👉 これらの症状があれば、自己判断せず早めに動物病院を受診してください。

  • フェレットは体の構造上、下痢や軟便を起こしやすい
  • 食事・腸内環境・ストレス・感染症・IBDが主な原因
  • 「元気・食欲がある下痢」でも油断できない
  • 病院では便検査・血液検査を中心に診断し、必要なら画像検査や生検を行う
  • 治療は食事の見直しから始まり、必要に応じて薬や駆虫薬を使用

飼い主さまができる最大のサポートは、「便の状態を観察し、早めに病院へ相談すること」です。


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