フトアゴヒゲトカゲの理想の環境とは

獣医師とフトアゴヒゲトカゲ

フトアゴヒゲトカゲの飼育環境について、獣医学的な観点からお話しさせていただきます。

ベストを目指すより、ベターを目指す感じです。

こちらの飼育ケージについて見てみましょう。

サイズは少し小さめですね。もう少し大きい方がいいです。しかし、重いので、掃除が大変です。

床材はどうでしょう?

これはペットシーツですね。毎日交換できるのでいいですね。掘って中身が出ないように、使用開始時は注意が必要ですね。

新聞紙は?

とても経済的ですが、インクで汚れるかも?

じゃあ、人工芝は?

足元が安定しますが、きちんと汚れが取れません。

上記3種がベターな気がします。

野生の棲息環境を模していないので、味気ないですか?

その場合には、石板を敷いてもいいと思います。重くて掃除が大変で、ガラスが割れてしまうかも?

お勧めしないのは、「口に入るもの」。土、砂、細かな砂利、ペレット。食べても大丈夫と書いてあっても、お勧めできません。

誤飲事故が多いことと、衛生状態が保てないからです。

この写真の個体は、クルミサンド(胡桃砂)を床材に敷いていました。鑷子給餌でせっかく留意して飼育されていても、このように口に入っているのが見えます。しかも、寄生虫もいましたので、再感染を繰り返していたことでしょう。

ここで注意していただきたいのは、しっかり検便をしてあるかどうかということです。寄生虫がいる場合には、環境、とくに、排泄物が付着する床材は感染源になります。もし、こまめに取り替えられないものを採用してしまうと、次から次へと寄生虫が増えてしまう恐れがあります。これを濃厚感染といいます。少数であれば症状が出ないかもしれませんが、濃厚感染すると重症化してしまいます。

検便の重要性については、別のブログでお話しさせていただいていますので、そちらをご参照ください。

爬虫類の検便手順について

検便、検便、検便!

フトアゴヒゲトカゲの軟便

こんな感じで岩陰に隠れているかも。

では、シェルターがあった方がいいですね。中に入ったり、上に登ったり。

水はどうやって飲んでいますか?

昆虫食中心になってしまうと、脱水していることが多いようです。体が浸れるくらいのバットがあるといいかも。

お尻の穴から水分を吸収することもできます。

脱皮対策として、流木や岩石があるとよさそうです。

保温器具はとても大事です。ケージ内空気を暖めるのがいいと思います。ライトを使って、その照射野を暖めるのもいいです。

爬虫類の寒さ対策

床に置くパネルヒーターはどうでしょう?

保温には力不足で、場所によっては低温火傷を負います。

この写真はヘビの腹部の低温火傷です。

フトアゴヒゲトカゲは比較的、物に登ることが多いので、天井からのライトの位置を誤ると、接触して火傷するかもしれません。

ライトの真下は完全なホットスポット。石板をおいて、それが温まるので、上からも下からも温まることができます。しかも、しばらく居ると、自分の陰で、温度も下がると思います。

温度湿度計も寒暖のある2カ所に設置することをお勧めします。口に入らないサイズを用意しましょう。

このカエルは温度計を食べてしまっています。

ベストはありません、ベターを目指しましょう。

問題です!

一番上の飼育ケージの写真、改善ポイントを考えてみてくださいね。

P.S.爬虫類が動物病院を受診するときには、温度管理をしてお連れください。

爬虫類の受診について

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