レプトスピラ症について知り、愛犬を守りましょう

シーズと獣医師

こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。先日はノロノロ台風があり、いたるところに水たまりができていましたね。水たまりといえば、レプトスピラ症です。今回はレプトスピラについてお話しさせていただきます。

レプトスピラ症とは?

レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌が原因で起こる人獣共通感染症です。主にネズミなどの野生動物がレプトスピラを保有しており、その尿中に排泄された細菌が水や土壌を汚染することで感染が広がります。

レプトスピラ症の原因となる病原体

レプトスピラは、らせん状の細菌で、様々な種類が存在します。これらの細菌は、湿気の多い環境や水中で長期間生存することができるため、水に関連して感染が広がりやすいという特徴があります。レプトスピラ

感染経路

犬がレプトスピラに感染する主な経路は次の通りです。

  • 汚染された水源からの飲水: 川や池、水たまりなど、レプトスピラに汚染された水を飲むことで感染します。
  • 汚染された土壌との接触: レプトスピラに汚染された土壌と直接接触することで、皮膚から感染します。ワンちゃんは靴を履いていませんので、感染しやすいです。
  • 感染した動物との接触: 感染した動物の尿や体液と直接接触することで感染します。

犬の症状

レプトスピラ症の症状は、感染したレプトスピラの種類や犬の個体差によってさまざまです。一般的に、以下の症状が見られます。

  • 発熱: 高熱が続くことが多く、食欲不振や倦怠感も伴います。
  • 筋肉痛: とくに後足の筋肉痛が顕著に見られることがあります。
  • 嘔吐や下痢: 消化器症状が現れることもあります。
  • 黄疸: 重症の場合、肝臓が障害され、結膜(白目)が黄色く見えることがあります。
  • 腎臓障害: 腎臓に炎症が起こり、尿量の変化や血尿が見られることがあります。

人の症状

レプトスピラ症は、人にも感染する可能性があります。人の症状は、犬と同様にさまざまですが、以下の症状が見られることがあります。

  • 発熱: 高熱が続き、悪寒、頭痛、筋肉痛を伴います。
  • 結膜充血: 目が充血し、痛みを伴うことがあります。
  • 皮疹: 皮膚に発疹が現れることがあります。
  • 黄疸: 重症の場合、肝臓が障害され、黄疸が出現することがあります。
  • 腎臓障害: 腎臓に炎症が起こり、尿量の変化や血尿が見られることがあります。

疫学

レプトスピラ症は、世界各地で発生していますが、地域ごとの発生状況は、気候、地理、動物相、人々の活動など、さまざまな要因によって大きく異なります。とくに熱帯や亜熱帯地域で多く見られます。日本では、夏から秋に感染例が増加する傾向があります。

日本の状況

日本では、とくに沖縄県鹿児島県といった温暖な地域で発生が多く報告されています。これは、これらの地域が熱帯性のレプトスピラの種類が多く、また、雨季や台風などによる水害が発生しやすく、感染のリスクが高まることが要因として考えられています。

近年では、都市部でも発生例が見られるようになり、都市化が進み、野生動物との接触機会が増えたことが一因と考えられています。ゴミを漁るドブネズミがはびこっているのかもしれません。

海外の状況

海外では、東南アジア南アメリカなどの熱帯・亜熱帯地域で発生が多いことが知られています。とくに、雨季や洪水の後には、感染者が急増することがあります。

発生状況に影響を与える要因

  • 気候: 温暖湿潤な地域では、レプトスピラが生存しやすいため、発生リスクが高まります。
  • 地理: 河川や湖沼が多い地域、水田地帯などでは、感染源となる動物との接触機会が増え、感染リスクが高まります。
  • 動物相: ネズミ、イヌ、ウシなど、レプトスピラを保有している動物が多い地域では、感染リスクが高まります。
  • 人々の活動: 農業従事者、獣医師、カヌーなどのアウトドアレジャーを楽しむ人など、動物との接触機会が多い人や、汚染された水に触れる機会が多い人では、感染リスクが高まります。

レプトスピラ症の発生状況を知る上での注意点

  • 報告漏れ: すべての感染者が報告されているわけではなく、実際の発生数は報告されている数よりも多い可能性があります。
  • 検査の精度: 検査方法によっては、診断が難しい場合があります。
  • 地域差: 地域によって、発生状況や流行するレプトスピラの種類が異なります。

地域ごとの発生状況を調べる方法

  • 国立感染症研究所のホームページ: 国内の発生状況については、国立感染症研究所のホームページに詳しい情報が掲載されています。
  • 保健所への問い合わせ: 住んでいる地域の保健所に問い合わせると、地域の発生状況について情報が得られる場合があります。
  • 獣医師への相談: 愛犬の健康を守るために、獣医師に相談することも重要です。

治療方法

レプトスピラ症の治療には、抗生物質の投与が一般的です。診察早期にレプトスピラを疑えれば、合併症がなく、殺菌できるかもしれません、しかし、症状が重症化している場合や、腎臓・肝臓障害などを併発している場合は、対症療法が必要となることもあります。

予防方法

レプトスピラ症の予防には、以下の方法が有効です。

  • ワクチン接種: レプトスピラワクチンを接種することで、感染を予防することができます。
  • 汚染された水源からの飲水の禁止: 犬が汚染された水を飲まないように注意しましょう。
  • 汚染された場所への立ち入りの制限: レプトスピラに汚染されている可能性のある場所には、犬を連れて行かないようにしましょう。秋に発症が多いのは、台風による増水が影響していると思われます。
  • 早期の受診: 異常を感じたらすぐに受診することで、早期発見・早期治療により、重症化リスクの軽減に繋がります。

レプトスピラワクチンの種類

レプトスピラには様々な種類(血清型)が存在するため、ワクチンも複数の血清型に対応したものがあります。一般的に、5種混合ワクチンに加えてレプトスピラが組み込まれていることが多いですが、レプトスピラ単独のワクチンもあります。抗体価を維持するのに定期的な接種が必要です。

  • 5種混合ワクチン: 犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス(伝染性肝炎、伝染性気管支炎)、犬パラインフルエンザウイルスに対する抗体を産生させます。

ワクチンを選ぶ際のポイント

  • 犬の生活環境: アウトドアで活動することが多い犬、水辺で遊ぶことが多い犬など、生活環境によって必要なワクチンの種類が異なります。お散歩コースによっては、レプトスピラのリスクが少ないこともあり得ます。
  • 地域の流行状況: 住んでいる地域で流行しているレプトスピラの血清型を考慮する必要があります。しかし、地域ごとに調査研究が実施されていないのが現状です。残念ながら、矢作川、加茂川流域での結果は見たことがありません。
  • 獣医師のアドバイス: 獣医師が、愛犬の健康状態や生活環境、そして、同居家族の構成などを総合的に判断し、接種時期や副作用も含め、最適なワクチンをご提案させていただきます。

ワンちゃんの飼い主様へ

今回のレプトスピラに関するお話はいかがでしたか?

ご自身の健康だけでなく、ご家族や愛犬の健康にも関心が高い方が多いと思います。レプトスピラ症は、人にも感染する可能性があるため、愛犬だけでなくご家族の健康を守るためにも、予防対策をしっかりと行なうことが大切です。

愛犬との散歩の際には、水たまりや汚染されている可能性のある場所には近づけないように注意し、定期的なワクチン接種を心がけましょう。また、愛犬が少しでも体調がおかしいと感じたら、すぐに当院を受診するようにしましょう。

レプトスピラ症は、ときにワンちゃんの命を脅かすこともある怖い病気です。しかし、ワクチン接種を行なうことで、感染予防につなげることができます。愛犬の健康を守るために、ぜひレプトスピラ症について正しく理解し、ワクチン接種で予防に努めてください。

もし、レプトスピラ症についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。

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