災害とペット

動物病院におけるペット防災対策

豊田市で「ペット同室避難」はできる?今からできる備えと、私たちの声が未来をつくる

こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

地震や豪雨など、いつどこで起きてもおかしくない日本の災害。
そんなとき、「うちの子(ペット)と一緒に避難できるの?」と不安に思う飼い主さまは少なくありません。

実際、「ペットは大切な家族だからこそ、守りたい」という思いは皆さん同じ。
この記事では、昨日(2025.4.17)、愛護センターで行政の担当者の方とお話する機会がありましたので、それを踏まえて豊田市の現状と今後の展望、そして飼い主さまにできる備えや、市への働きかけについてご紹介します。


■ 現在の豊田市の方針:ペットは「同行避難」が基本

豊田市では、災害時にペットと一緒に避難所へ向かう「同行避難」を原則としています(※環境省の方針に準拠)。
ですが、人とペットが同じスペースで過ごせる「同室避難」までは、まだ制度としては整っていないのが実情です。

2023年12月には、豊田スタジアムで大規模なペットとの避難に関する実証訓練が行われました。私はまったく知りませんでした。これは、実際に市民とペットが避難所に集まり、受付から分離スペースでの生活までを体験する内容でした。参加された飼い主さまは是非お話を聞かせてくださいね。

実際に参加された方からは
「ケージに慣れていたからスムーズに避難できた」
「他の飼い主さんと情報交換できて安心した」
といった声もあったそうです。

ただし、この取り組みは1回限りであり、地域全体に制度として定着しているわけではありません

■「ペット同室避難所」設営訓練について

近年、全国的に「同行避難(飼い主とペットが一緒に避難所へ向かうこと)」の重要性が認識されるようになってきましたが、「避難所でのペットとの同室避難」は、まだ実現が難しい地域も少なくありません。

そんな中、豊田市では2025年(令和7年)3月9日、画期的な訓練が実施されました。これも私は知りませんでした!


✅ 豊田市で実施された訓練内容(※すでに終了)

豊田市は、「ペット同室避難所」をモデル的に設営する訓練を、市職員や地域住民とともに実施しました。

📍 訓練の概要

  • 日時:令和7年3月9日(日曜) 午前10時~正午
  • 会場:崇化館中学校 武道場ほか
  • 内容
     ・飼い主とペットが同室で避難できる空間のモデル設営
     ・段ボール製ハウスやコンテナ型ペット居住ユニットの体験
     ・避難所設営時の課題の洗い出し
  • ※ペットの同伴は無し

このように、行政と地域住民が連携して、ペットと共に避難生活を送るための具体的な仕組みづくりに着手したことは、非常に意義深い取り組みです。


🔎 今後に向けた展望:次は「ペット同伴」の実地訓練へ


今回の訓練では「ペットを実際には連れていかない」形でしたが、今後はぜひ、ペット同伴での避難訓練が実施されることが望まれます。

なぜなら、実際の避難所では、吠え声やアレルギー、他の動物との接触など、想定外の課題が次々と現れるからです。

「本番に近い環境で練習をしておくこと」こそが、本当に安心して避難できる体制づくりに繋がります。

■ 今後の見通し:「同室避難」を実現するには?

ペットとの「同室避難」を広げていくには、行政の整備が不可欠です。
例えば──

  • ペットOKの避難所マップの作成
  • アレルギーや衛生面への配慮を含めたルールの整備
  • 各地域単位での訓練の継続実施
  • 地元動物病院やボランティアとの連携体制づくり

などが必要です。

そのためにも、飼い主さまの声を市に届けることがとても重要です。

🌟 豊田市では、過去の実証訓練を「非常に意義があった」と評価しています。
今後、こうした訓練が各地域単位で行なわれるようになるには、市民からの積極的な要望が力になります


🐾 当院から飼い主さまにしていただきたい日頃からできる6つのこと

こうした取り組みが今後も広がるよう、市や地域に対して「ペット同室避難」の推進を求める声を届けることはとても大切です。

しかし、行政的な整備が必要なことは言うまでもないことですが、飼い主さま側にも、万が一のとき、大切なペットを守るために、「今からできる備え」があります。

飼い主さまとして以下の備えを日常的に心がけておくことで、避難時の混乱を最小限に抑えることができます。

ケージに慣らす・吠え防止などの基本的なしつけ

 ・避難所では吠えない、咬まない、じっとしていられることが求められます。
 ・普段から用意したケージやキャリーに慣れさせておきましょう。

ワクチン接種や寄生虫予防の徹底 ~しつけとともにマナーです~

 ・避難所では他の動物とも接触します。
 ・狂犬病ワクチン、混合ワクチン、ノミ・マダニ・フィラリアなど、健康管理はしっかりと。

迷子札やマイクロチップの装着

 ・迷子になったときに備えて、マイクロチップ、迷子札、最新の写真、ワクチン証明書などをひとまとめに。

避難所生活を想定したフード・トイレ用品・薬などの備蓄

 ・最低3日分、できれば5日分のフード・水・トイレ用品・お薬・リード・タオルなどをセットに。
 ・とくに心臓病などの命に係わる薬は、主治医に「投薬量」を書いていただき、手帳などに記録を残しておき、一緒に管理しておきましょう。 同じ地域にある主治医の動物病院も被災していると、 カルテを見ることができない可能性があります。

「ペット同行避難カード」などの準備

地域の防災訓練や勉強会への積極的な参加



🏥 当院からのお願い

当院では、災害時にも安心してペットと避難できる社会づくりを応援しています。
しつけ・ワクチン接種のご相談もお気軽にどうぞ。
防災を見据えたマイクロチップ登録や健康管理のお手伝いも行なっています。
また、飼い主さまと一緒に地域防災を考える活動にも協力していきたいと考えています。

ぜひお声がけください!

「命を守る備え」は、今日から始められます。災害を「自分ごと」として考え、今できることを一緒に始めていきましょう。一緒に、大切な家族=ペットの未来を守っていきましょう。


📌 豊田市の防災情報はこちら


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