爬虫類の床材誤食による危険性と命を守るための選択

ホシガメ

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。今回は、あるあるなケースのお話です。爬虫類飼育をされているかたは十分注意してくださいね。

大切なペットの命を守るために、床材選びは決して軽視できません。木製チップなどの床材を誤って飲み込み、腸閉塞を引き起こし、最悪の場合死亡するケースが後を絶ちません。この問題は、日本だけでなく海外でも多数報告されています。

床材の誤食が引き起こす重大な危険

爬虫類が床材を誤って飲み込むと、以下のような致命的な問題を引き起こす可能性があります。

  • 腸閉塞(消化管閉塞):手術が必要になり、放置すれば死亡することもあります。
  • 消化不良・栄養不良:消化管の機能が低下し、食欲不振から、脱水、栄養不足に陥ることがあります。
  • 急性中毒症状:一部の床材(肥料や殺虫剤入り土壌など)には、爬虫類に有害な物質が含まれていることも。
  • 死亡:手術をしても助からないケースがあり、特に小型の爬虫類ではリスクが高く、カメでは甲羅を切る大がかりな手術となることがあります。

実際に起きた死亡・手術症例

  • フトアゴヒゲトカゲが木製チップを誤食し、腸閉塞を起こして緊急手術。しかし、発見が遅れ助かりませんでした。
  • ボールパイソン床材を飲み込み、レントゲンで異物が確認されるも、開腹手術に。
  • ヒョウモントカゲモドキが細かい砂を長期間摂取し続けた結果、腸内に蓄積し死亡。
  • ヨツユビリクガメが床材の繊維を誤食し、腸内で詰まり緊急手術。飼い主は異変に気づくのが遅れ、術後も回復せず死亡。

このような症例は珍しいものではなく、動物病院では頻繁に相談を受けています。

木製チップやデザートサンドを使いたいと考えている飼い主さまへ

チップや土砂の使用には、以下のようなメリットを感じるかもしれません。

  • 見た目が自然で美しい
  • ニオイを抑えられる
  • 爬虫類にとって快適そうに見える

しかし、誤食のリスクを考えれば、これらのメリットはペットの命と引き換えにする価値があるでしょうか?

「うちの子は大丈夫」と思っていても、爬虫類は意外なものを口にします。食べたくて食べることもあるでしょうし、偶然口に入ってしまうこともあるかもしれません。いずれにしても、床材の誤飲で受診されるケースがあるのは、事実ですし、誤食による腸閉塞は、発見が遅れるとほぼ助かりません。

どうしてもチップや土砂を使用する場合は、必ず以下の対策を行ってください。

  1. 給餌場所を完全に分ける(床材のない場所で給餌する)
  2. ペットが床材を口にしていないか、常に注意深く観察する
  3. 異変があればすぐに動物病院を受診する

安全な代替案のご提案

誤食のリスク対策として、以下のような床材を強く推奨します。

  • キッチンペーパーや新聞紙:誤食の危険が少なく、清潔を保ちやすい。しかも安価。
  • 石板や人工芝:見た目も良く、誤食のリスクを回避。ただし、掃除で完全に綺麗にはならない。
  • ペットシーツ(使い捨て):破らなければ安全ですが、破ってしまえば、吸収成分を食べれば、消化管へのダメージは必至。
  • ペットシーツ(洗濯可能):ワンちゃん用のシーツはいいと思いますが、洗濯が問題で、人と同じ洗濯機を共用するのは、人獣共通感染症の観点からお勧めできません。

最悪の事態を避けるために

「うちの子に限ってそんなことはない」——その油断が命取りになります。

もし誤食が原因で腸閉塞を起こした場合、

  • 手術費用は高額(十数万円~数十万円)
  • 状態が悪ければ、手術することさえできない
  • 手術をしても助からないこともある
  • 痛みや苦しみの末に命を落とすことがある

「家族の一員です。大切な命を守るために、安全な環境を整えてあげてください。」

取り返しのつかない後悔をしないために、安全な床材を選びましょう。

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下記もご覧ください。

カメ獣医師からの提言:リクガメの飼育について

トカゲ獣医師のお勧めのヒョウモントカゲモドキの理想の環境はこれ!

フトアゴヒゲトカゲ

フトアゴヒゲトカゲの理想の環境とは

愛知のヘソ豊田市周辺の岡崎市、日進市、安城・刈谷市にお住いの爬虫類の飼い主さまへ

当院の獣医師はエキゾチックペット、猫、小型犬などの広範な動物種に対する専門的な知識と豊富な経験を有しております。どんなペットにも信頼できるケアを提供いたします。
つまり、あらゆるペットに対応する総合的な診療を行なうことができます。
どんなお悩みもお気軽にご相談ください。多岐にわたるペットの医療に精通した獣医師が、どのペットにも最適な治療を提供いたします。注文は多いけど日本一面倒をよく見てくれる爬虫類動物病院を目指しています。

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