最終更新日:2026年5月22日
猫の熱中症は室温管理・水分補給・早期受診の3つで命を守れます。
ネコちゃんも熱中症に気をつけて!
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
猫ちゃんの熱中症を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
まず、室内の温度を快適に保ち、エアコンを適切に使用してください。
また、新鮮な水を常に用意し、日陰や涼しい場所を提供しましょう。
最も大切なのは、異常を感じた場合はすぐにご連絡していただくことです。
1. 猫が熱中症になりやすい理由
猫ちゃんはワンちゃんと違い、体温調節を主にグルーミング(毛づくろい)と行動によって行います。ワンちゃんのようにパンティング(口を開けて呼吸する)は猫にとって非常に苦しい状態になってから起こるため、症状が外から見えにくく発見が遅れがちです。
特に以下の猫は熱中症リスクが高まります。
- 短頭種(ペルシャ・エキゾチックショートヘアなど):気道が短く、熱を逃しにくい
- 高齢猫・子猫:体温調節機能が未発達または低下している
- 肥満猫:体脂肪が断熱材となり体熱がこもりやすい
- 慢性疾患のある猫(心臓病・腎臓病など):臓器への負担が倍増する
- 長毛種:被毛の断熱効果で体内に熱がたまりやすい
2. 猫の熱中症:症状チェックリスト
症状は「軽度→中等度→重度」の3段階で進行します。早期発見が生死を分けます。
【軽度】まだ意識はある段階
- ぐったりして動きたがらない
- いつもより呼吸が速い(正常は1分間に20〜30回)
- 体が熱い、熱感がある
- 水を欲しがる
【中等度】危険なサイン
- 口を開けてあえぐような呼吸(パンティング)
- よだれが多量に出る
- 嘔吐・下痢
- ふらつき・立てない
- 舌や歯茎が赤みの強い鮮紅色になる
【重度】生命の危機
- 意識がない・反応しない
- 痙攣(けいれん)発作
- 舌や歯茎が青白く変色(チアノーゼ)
- 体温が41℃以上
⚠️ 重度の症状が出ている場合は今すぐ動物病院へ。応急処置と並行して電話しながら向かってください。
3. 猫の熱中症:応急処置の正しい手順
Step 1|涼しい場所へ移動させる :エアコンの効いた室内、または風通しのよい日陰にすぐ移動させましょう。
Step 2|体を冷やす(ただしやりすぎ厳禁) ぬるめの水(15〜20℃程度)で体を濡らし、扇風機やうちわで風を当てます。氷水や保冷剤を直接あてると急激な体温低下・ショックを引き起こす危険があります。
Step 3|意識があれば少量の水を与える 無理に飲ませず、自分から飲める場合のみ少量ずつ与えてください。意識がない場合は誤嚥(ごえん)の危険があるため絶対に与えないでください。
Step 4|動物病院に連絡・搬送 応急処置をしながら動物病院に電話し、指示を仰ぎながら移動してください。見た目に回復したように見えても、内臓ダメージが隠れていることがあるため必ず受診してください。
❌ やってはいけないこと
- 氷水・保冷剤を直接皮膚に当てる
- 水を無理やり飲ませる(意識がない場合)
- 応急処置だけで病院受診をしないで様子をみる
4. 猫の熱中症が起きやすい「危険な状況」
① 締め切った室内・車の中 夏の車内温度は、外気温30℃でも30分後に50℃を超えることがあります。「エンジンを切って少しだけ」は絶対にやめてください。
② エアコンをつけずに外出 「窓を少し開ければ大丈夫」は誤解です。猫が自分で逃げ場を選べる場合でも、真夏の室温は40℃以上になることがあります。
③ 直射日光が当たる場所で昼寝 窓際で日向ぼっこを好む猫は、気づかないうちに体が過熱することがあります。レースカーテンでも赤外線は透過します。
④ キャリーケースの中 通院中や移動中のキャリーケース内は通気性が低く、熱がこもりやすい環境です。保冷剤をタオルで包んでケースの外側に固定するとよいでしょう。
⑤ 水が切れた状態 脱水は熱中症を急速に悪化させます。外出時は必ず複数の水皿を用意し、帰宅後に水の量を確認する習慣をつけましょう。
5. 猫の熱中症を防ぐ日常的な予防対策
室温・湿度の管理 猫が快適に過ごせる室温は24〜26℃、湿度50〜60%が目安です。エアコンは外出中も28℃以下に設定し、タイマーで切れないようにしてください。
水分摂取を増やす工夫
- 水飲み場を複数箇所に設置する
- 循環式の「ウォーターファウンテン(自動給水器)」を使うと飲水量が増えやすい
- ウェットフードを取り入れる
- 氷を浮かべた水を試してみる(好みに合えば飲水量が増える)
逃げ場を作る 部屋のドアを1枚開けておくなど、猫ちゃんが自分で涼しい場所に移動できる環境を整えましょう。ただし、熱中症リスクの高い個体は自力で回避できない場合もあります。
グルーミングのサポート 長毛種はブラッシングで死毛を除去すると通気性が上がり、体温調節を助けます。ただし、夏のサマーカットについては被毛が紫外線から皮膚を守っている側面もあるため、獣医師に相談しながら判断しましょう。
6. 動物病院ではどんな治療をするの?
動物病院に搬送されると、まず体温・心拍・血圧・血液検査などで臓器への障害度を評価します。治療の中心は以下のとおりです。
- 点滴(静脈内輸液):脱水の補正と臓器の保護
- 酸素吸入:重度の場合は酸素室に入ることも
- 体温管理:冷却しすぎないよう慎重にコントロール
- 臓器保護薬:腎臓・肝臓・脳へのダメージを最小限にする
見た目が回復しても腎不全・DIC(播種性血管内凝固症候群)・脳障害など深刻な合併症が後から現れることがあります。入院管理が必要なケースも多いです。
❓ よくある質問(Q&A)
Q1. 猫の熱中症はどんな症状が出ますか?
A. ぐったりする・口を開けた呼吸(パンティング)・よだれ・嘔吐・ふらつきなどが主な症状です。重症になると痙攣や意識消失が起こります。少しでも異常を感じたらすぐに動物病院に連絡してください。
Q2. 猫の熱中症の応急処置はどうすればいいですか?
A. まず涼しい場所に移動させ、ぬるめの水(約15〜20℃)で体を濡らして扇風機で風を当てます。氷水は厳禁です。意識がある場合は少量の水を自分から飲ませ、すぐに動物病院へ向かいましょう。
Q3. 猫は室内でも熱中症になりますか?
A. はい、なります。エアコンなしで締め切った室内は夏場に40℃以上になることがあります。外出中もエアコンは28℃以下でつけたままにしておくことを推奨します。
Q4. 猫の熱中症になりやすい気温・室温は何度ですか?
A. 室温が28℃を超え始めると注意が必要で、32℃以上は危険域です。湿度が高いと体感温度がさらに上がるため、温度だけでなく湿度管理(50〜60%)も重要です。
Q5. 猫が熱中症で死ぬことはありますか?
A. あります。特に重症例(体温41℃以上・意識消失・痙攣)では多臓器不全や脳障害を引き起こし、死亡することがあります。早期発見と迅速な受診が命を救います。
Q6. 熱中症と熱射病は違いますか?
A. 熱射病は熱中症の最重症型です。体温が急上昇して脳・肝臓・腎臓などに広範な障害が起こる状態を指します。動物医療では両者を区別しながらも、どちらも緊急疾患として扱います。
Q7. 短頭種の猫は特に熱中症リスクが高いですか?
A. はい。ペルシャ・エキゾチックショートヘア・ヒマラヤンなどの短頭種は気道が狭く呼吸による体温調節が苦手です。一般の猫ちゃんより低い室温でも熱中症になる場合があるため、特に注意してください。
Q8. 猫の熱中症は夜でも起きますか?
A. 起きます。日本の夏は夜間でも気温が下がりにくく、熱帯夜が続く日はエアコンなしの室内でも夜中に体温が上昇することがあります。24時間の室温管理が必要です。
Q9. 熱中症の猫に水を飲ませてもいいですか?
A. 意識があり自力で飲める場合は少量ずつ与えて構いません。ただし意識がない・ぐったりしている場合は誤嚥(気管への液体流入)の危険があるため水を与えてはいけません。
Q10. 猫の熱中症、病院に行くべきタイミングはいつですか?
A. 「パンティングをしている」「嘔吐やふらつきがある」「ぐったりして動かない」のいずれかがあればすぐに受診してください。応急処置後に回復したように見えても内臓ダメージが残っている可能性があるため、必ず診てもらうことをお勧めします。
以下の資料も絵があって分かりやすいので、活用してくださいね。ねこのきもち様より資料を頂きました。

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