最終更新日:2026年5月24日
鳥は症状を隠す生き物です。気になるサインは「様子見」せず、すぐに鳥の診療経験の豊富な動物病院へ。
この資料は、愛知県豊田市にあるアロハオハナ動物病院が、鳥の飼い主さまに向けて発信している緊急受診のガイドラインです。鳥は体調不良を隠す習性があり、目に見える異変に気づいた時には病状が深刻化していることが多いため、著者は早急な受診を強く促しています。記事内では、痙攣や卵詰まりといった数時間以内の処置が必要な重症例から、体重減少や声の変化など数日以内に確認すべきサインまで、緊急度別のチェックリストが詳しくまとめられています。また、受診までの適切な保温方法や安静の保ち方についても具体的なアドバイスが記されており、ご家庭での応急処置を支援する内容です。予約はLINEを通じて行い、迅速な救急対応を可能にするための独自の診療体制についても説明されています。
鳥の健康に異常が見られたら、自己判断で様子を見ず、専門家に相談を
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
次章のような症状が鳥類に見られた時には、様子を見ずにできるだけ早くご予約ください。
※2026年現在、当院初診の小鳥の患者さまは、夜間救急診療の受付をしておりません。日頃から当院をかかりつけとして健康診断に通院していただいている飼い主さまだけにご利用いただけます。ご了承ください。
通常はLINEの事前問診票の記入が必要ですが、最低限の記入で救急救命はご予約していただけます。
あいにく、電話応対はしておりませんので、必ずLINEをしてください。当院の既読が付かなければ、他院にも必ず連絡してもっとも早く受診できる動物病院で診療を受けてください。
※お手数ですが、他院受診時には当院にキャンセルのLINEを入れていただけると助かります。
なぜ鳥は「様子を見てはいけない」のか
犬や猫と違い、鳥は野生での捕食者対策として、体調不良を最後まで隠す習性があります。飼い主さまが「おかしい」と気づいた時点では、すでにかなり病状が進行していることがほとんどです。
また、鳥の体は非常に小さく代謝が速いため、半日〜1日の遅れが予後を大きく左右します。「明日まで様子を見よう」という判断が、取り返しのつかない結果につながることがあります。
さらに、鳥の診察では検査自体が体の負担になるため、緊急時には確定診断よりも対症療法を優先することが多く、「受診しても原因がわからなかった」ということがほとんどです。これは医療の限界でもあり、鳥という動物の特性によるものでもあります。だからこそ早期受診が唯一の選択肢なのです。

鳥類では身体検査で分かることが少なく、すぐには診断できないものがほとんどです。検査の多くは緊急時には負担が大きいために実施困難です。診断が確定しないので、処置は対症療法に留まることが多いために、予後も確定しません。その後症状の推移を見守っていくことになります。ここで「様子を見る」ということになります。ですから、ご自宅で最初から様子を見てしまうと、その分、後手後手に回ってしまうということです。
・吐き戻しを繰り返す
・食欲の突然の停止
・行動の変化
・羽を膨らませてじっとしている
・声の変化
・普段と異なる呼吸
・身体の一部の急な膨らみ
・重度の外傷
・排泄物の変化
・嘴からの分泌物
・鼻の穴からの分泌物
・息んでおり、おしりから卵が見える
・翼、脚、頭の位置の異常
・突然のびっこ
・明らかに毒物と分かるものとの接触・摂取
・痙攣、失神
・運動失調
・麻痺
・お尻から何かが出ている
・目が開けづらそう
・目からの分泌物
・同居鳥の突然死
・液体尿の急激な増加
・急激な飲水量の増加
・体重の変化
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🔴 緊急度:今すぐ受診(数時間以内)
① 痙攣・失神・運動失調 鳥が突然倒れる、ぐるぐる回る、足がもつれるといった症状は、中毒(フッ素加工鍋の煙、アロマ、たばこなど)、脳神経疾患、重度の低血糖などが原因として考えられます。発症から数時間で命に関わることがあるため、発見次第すぐにご連絡ください。ケージを安定した暗い布で覆い、保温した状態(暑すぎないことに注意)でお連れください。
② 息んでいる・お尻から卵が見える(卵詰まり) 特に雌個体の小鳥に起こる緊急事態です。卵が産道に詰まる「卵塞(らんそく)・卵秘(らんぴ)」は、放置すると総排泄腔の壊死や敗血症につながります。お尻がふくらんでいる、床でじっとしている、腹部を触れると固い感触がある場合は要注意です。
③ 重度の外傷(出血・骨折) 他の鳥や猫・犬との接触事故、ガラスへの激突などによる外傷は、肉眼で見えない内出血を伴うことがあります。出血がある場合は清潔なガーゼで軽く押さえ、絶対に消毒液は使用しないでください。骨折が疑われる場合でも、固定しようとせず狭い容器に入れてそのままご来院ください。
④ 明らかな中毒物質との接触・摂取 アボカド、チョコレート、玉ねぎ、カフェイン、アルコール、観葉植物(ポトス・ディフェンバキアなど)はいずれも鳥に有毒です。また、フッ素(テフロン)加工のフライパンを空焚きした際に出るガスは、鳥の肺に致死的なダメージを与えます。接触後は速やかにご連絡ください。接触した物質名をメモしておくと診断に役立ちます。
🟠 緊急度:できるだけ当日受診
⑤ 羽を膨らませてじっとしている 健康な鳥が羽を膨らませるのは、眠いときや短時間のリラックス時だけです。長時間この状態が続く場合、体温を保てないほど体力が落ちているサインです。感染症、肝疾患、腫瘍など多くの重篤な疾患で見られます。保温(30℃前後を目安)しながら、当日中の受診をおすすめします。
⑥ 食欲の突然の停止 鳥は代謝が非常に速く、丸1日食べないだけで低血糖・肝障害のリスクがあります。昨日まで食べていたのに今日まったく食べないという場合は、様子を見ずにご連絡ください。
⑦ 普段と異なる呼吸(開口呼吸・尾羽が上下する) 健康な鳥は呼吸が外から見えません。口を開けて呼吸している、止まり木で尾羽がリズミカルに動いているといった場合は、気嚢炎・肺炎・異物誤飲などが疑われます。呼吸器疾患は急速に悪化するため、早期受診が重要です。
⑧ 液体尿の急激な増加・多飲 水をよく飲む、ケージの底が水っぽいフンだらけになるといった変化は、腎疾患・糖尿病・肝疾患・感染症のサインである可能性があります。一時的な気温変化や食事内容でも増えることがありますが、1日以上続く場合は受診をお勧めします。
⑨ 吐き戻しを繰り返す(嘔吐との違い) 発情行動としての「吐き戻し(求愛給餌)」は頭を上下に振り、内容物をおだやかに出します。一方、病的な嘔吐は突然で、内容物が周囲に飛び散ります。嘴まわりが汚れている、ケージの壁に吐いた跡がある場合は病気の嘔吐を疑ってください。そのう炎、腺胃炎、中毒などが原因として考えられます。
⑩ 翼・脚・頭の位置の異常/突然のびっこ 片脚を上げたまま降ろせない、翼が下がっている、首が傾いている(斜頸)などは、骨折・神経疾患・内耳感染症・ビタミン欠乏が原因のことがあります。斜頸はPBFD(オウム類くちばし羽毛病)やウイルス感染の初期症状として現れることもあり、他の鳥への感染防止の観点からも早期受診をお勧めします。
🟡 緊急度:2〜3日以内に受診
⑪ 体重の変化 鳥は体重の10%以上の減少が起こっても外見ではわかりにくいため、週1回のデジタルスケールでの体重測定を習慣にすることをお勧めします。2週間で5%以上の体重減少があれば受診の目安です。
⑫ 嘴・鼻・目からの分泌物 透明なさらさらした鼻水は一時的な刺激によることもありますが、黄色・緑色・粘性のある分泌物は細菌・真菌感染かもしれません。目の周りが濡れている、結膜が赤い場合も眼科疾患・呼吸器疾患が疑われます。
⑬ 声の変化・発声量の減少 普段よくしゃべる鳥が急に静かになる、声がかすれているといった変化は、気管・気嚢の疾患や全身的な体調不良のサインです。
⑭ 排泄物の変化 正常なフンは固形の緑〜灰色の便部分+白い尿酸部分+ごく少量の液体尿からなります。全体が水っぽい、便が黒い(メレナ)、血が混じっているなどの変化は消化器・肝臓・腎臓疾患を示唆します。
受診前に飼い主さまができること
受診前に以下を行うことで、鳥の体力消耗を最小限に抑えられます。
①保温する 30℃前後を目安に、ヒーターや白熱電球(60W)でケージを温めてください。一時的であればペットボトルにお湯を入れて、近くに置く方法も有効です。
②暗くして安静にする ケージを布で覆い、刺激を減らしてください。鳥は暗い環境で落ち着きます。
③飛ばさない 体調不良の鳥を飛ばすと急激にエネルギーを消耗します。診察室での放鳥もご遠慮ください。
④異物・中毒物の記録 何かを食べた・触れた可能性がある場合は、物質名・量・時間をメモしてください。
⑤フンの状態を記録・保存 受診当日のフンをそのままお持ちいただくと、診断の参考になります。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 羽を膨らませているだけで、ご飯は食べています。受診は必要ですか?
A. 食欲があっても羽を膨らませている状態が続く場合は受診をお勧めします。食欲は最後まで残ることが多く、「食べているから大丈夫」とは言えません。
Q2. 卵を産もうとしているようですが、様子を見てよいですか?
A. お尻から卵が見えている・息んでいる場合は緊急事態です。産卵に時間がかかっているだけでなく、卵が詰まっている可能性があります。すぐにご連絡ください。
Q3. フンが少し水っぽいですが、病院に行くほどですか?
A. 野菜や果物を多く食べた後は一時的に水っぽくなることがあります。ただし、1日以上続く・色が変わっている・量が急に増えたという場合は受診をお勧めします。
Q4. 夜間に症状が出たらどうすればよいですか?
A. まず当院の夜間緊急留守番電話にご連絡ください。対応が難しい場合は、折り返しご連絡します。
Q5. 鳥が嘔吐しています。まず何をすればよいですか?
A. 嘴まわりを清潔な布で優しく拭き、ケージを保温して安静にしてください。中毒が疑われる場合は触れたものの情報とともにすぐにご連絡ください。水や食事を無理に与えないでください。
Q6. セキセイインコですが、足を片方上げています。骨折でしょうか?
A. 骨折のほかに痛風・神経疾患・ビタミン欠乏なども考えられます。自己判断で固定しようとすると悪化することがあるため、そのままの状態でご来院ください。
Q7. 鳥が痙攣しました。落ち着いたように見えますが受診は必要ですか?
A. 痙攣が一度でも起きた場合は、症状が落ち着いていても必ず受診が必要です。痙攣後は一時的に回復したように見えることがありますが、原因が解決したわけではありません。
Q8. 同居の鳥が突然死しました。他の鳥はどうすればよいですか?
A. 伝染性疾患の可能性があります。同居していた鳥は症状がなくても早急に受診することをお勧めします。また、亡くなった鳥のご遺体は、感染状況確認のため、ご希望があれば解剖病理検査をご提案できます。
Q9. 鳥が呼吸が早いように見えます。自宅で酸素を与えてよいですか?
A. 市販の酸素スプレーは濃度が不安定なので、呼吸異常はケージを保温・安静にしながら、すぐにご連絡ください。
Q10. 体重を量ったら先月より減っていました。どのくらいの減少から受診が必要ですか?
A. 体重の5%以上の減少(例:セキセイインコ35gなら約2g以上)が目安です。食欲があっても体重が落ちている場合は、消化吸収に問題がある可能性があります。月1回の定期的な体重記録をお勧めします。
当院は、飼い鳥さんのご来院が多いので、野鳥の診療は行なっておりません。院内感染のリスクが大きいと考えているからです。野鳥を保護、救護されてお困りだと思いますが、お手数ですが、他院にお問い合わせください。
散歩途中でこんな鳩さんを見ました。なぜそこまでして、ここに停まるのか訊いてみたいですね。

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