1. 多くのペットが初診時にはすでに病気が進行しており、これに憂慮しています。
  2. 精密検査を行なわずとも、視診や触診だけで異常を早期に発見できることがあります。
  3. 定期的な受診で、元気な状態で病院に慣れてもらうことが大切で、これが早期発見と治療につながります。
  4. 当院では予防医学の立場から、早期発見と治療のコストパフォーマンスの面で、健康診断を勧めています。
  5. 統合医療を実践し、現代医療に加え、栄養成分やサプリメントを用いてペットの健康をサポートしています。遺伝子の働きに影響を及ぼす生活習慣や食餌、サプリメントの重要性を強調し、エピジェネティックスの研究に触れています。
  6. 「未病」という言葉を取り上げ、ペットの自覚症状がない状態でも早期に病気を予防できる取り組みの大切さを説明し、飼い主さまに日頃の生活習慣の改善を促しています。

動物病院には病気になって初めて来院するケースが多く、それでは手遅れになっていることが多いことをたいへん憂いに感じています。

血液検査、X線検査、超音波検査などのいわゆる精密検査をしなくても、ちょっとした視診、触診だけでも異常があることに気付くこともあります。

元気なときに足を運んでいただき、病院に慣れていただくことが、病院嫌いになりにくくさせると感じています。

初診で慣れていない場合、緊張のあまり元気がなく見えるのか、本当に元気がないのかの判断は難しいのです。

しかし、子犬のときから通っている子は、しっぽを振って喜んで挨拶してくれるし、子猫のときから顔見知りの子は、のどを鳴らしてすり寄ってきてくれます。

こちらもその子の性格を把握しているので、少しの異常も気づきやすく無駄な検査もしなくて済むという大きなメリットがあります。

このような理由から、日頃からできるだけ当院に足を運んでいただき、定期的な健康診断に重点をおくというスタンスで、予防医学の立場でお話をさせていただくことが多いです。

早期発見により、治療効果の高い時期を長くする、つまりコストパフォーマンスをよくすることは、飼い主さまにも大きなメリットを与えてくれます。

当院では、現代医療に加えて、補完代替医療の中から良質なものを選択して実践しております。

これを「統合医療」といいますが、簡単にいうと、現代医療に追加してサプリメントや栄養成分の吟味された食餌を用いることで、ペットの病気を減らし、寿命を延ばす試みです。

我々もペットも先祖代々から引き継いだ「遺伝子」をもっています。

この遺伝子によって、さまざまな病気が起きたり、寿命を左右したりしていることがよく知られています。

しかし、この遺伝子があることと、実際に遺伝子が働き出すこととは異なるということが分かってきました。

この遺伝子を働かせるスイッチのオン・オフが、生活習慣や食事、サプリメントでできることがあるようです。

この研究分野を「エピジェネティックス」といい、盛んに研究が行なわれています。

病気を起こしやすい遺伝子をもっているからといって、必ずしも病気になるとは限らないということです。

また、東洋医学で使われる言葉に「未病」というものがありますが、ご存知でしょうか?

自覚症状もなく、検査などでも異常が検出されないが、完全な健康状態ではなく、あと何かが起きると、病気になるような状態といったらよいでしょうか。

この未病に対して、人ではさまざまな取り組みがなされていますね。

しかし、動物たちは、口をきくことができないので、自覚症状を訴えることもできません。

人からすると未病ですが、すでに病気になってしまっているというケースも多いでしょう。

当院での適切な獣医療とともに、飼い主さまによるペットへの日頃の生活習慣を良好にすることが、将来において健康的なライフスタイルを構築してくれるのです。

またさらに、病院を離れ、さまざまな立場の動物たちに、医学的、精神的、経済的にもサポートをしていきたいと考えています。

院外の経済的なサポートとしまして、現在はWWF(世界自然保護基金)に寄付を行なっています。