――エキゾチックアニマルにつよい病院として私たちにできること
「あなたの笑顔が、ペットにとって一番のおくすりです。そして、あなた自身にも」
アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

1. 弘前大学発、幼少期のポジティブな経験が自殺関連行動に及ぼす複合的な影響を調査
- ASD・ADHD特性が強いほど自殺念慮が高い。両方の特性が重なるとリスクはさらに上昇。
- 幼少期のポジティブな体験(PCEs)が多いほど自殺念慮は低下。特にADHD特性が高い若者で保護効果が顕著。
- PCEsがASD/ADHD特性と自殺リスクの関連を弱めることが統計的に確認された(β値が約半減)。
2. どんな「ポジティブ体験」を用意すればよいか?
体験 | 具体例 | 期待される効果 |
---|---|---|
① 家族と気持ちを話せる経験 | 「今日はどんな気分だった?」と子どもが安心して話せる時間を作る | 情緒調整力・自己開示力の向上 |
② 困難時に家族が味方でいてくれた経験 | 失敗したときに叱責より伴走的サポート | 「自分は大切にされている」という自己肯定感 |
③ 友人からの継続的サポート | 放課後やオンラインでの定期交流を家族が後押し | 孤立感の軽減・帰属意識の向上 |
④ 学校や地域での帰属感 | 部活動、地域行事、ボランティアへの参加 | 「居場所がある」という安心感 |
⑤ 親以外の信頼できる大人が2人以上いる | 祖父母、習い事の先生、医療専門職など | 多層的サポートネットワークの形成 |
※出典:Bethell らが提唱する7項目PCEs 尺度より抜粋 (cahmi.org)

3. 当院だからこそ提供できる “動物を通じた” ポジティブ体験 2案
体験プログラム | 内容 | 子どもにもたらすメリット |
---|---|---|
A. ふれあい教室 | 猫、チンチラ、カメレオンなどおとなしい動物の抱っこ・給餌を獣医師・看護師が安全に指導。少人数予約制。 | ◆ 共感性を育む◆ “自分は動物に好かれた” という成功体験 → 自信UP |
B. ジュニア獣医ワークショップ | 小中学生が白衣を着て身体検査や顕微鏡観察を体験。カルテ風レポートを持ち帰り。 | ◆ “役に立てた” 効力感◆ 科学への興味 → 将来の進路選択の幅を拡大 |
ポイント
- PCEs の「コミュニティ参加」「信頼できる大人と出会う」という2項目を、動物病院という安心・非日常の場で同時に満たす。
- ASD/ADHD児は感覚刺激に敏感な場合があります。精神科医と協同で、事前カウンセリングを行ない、動物種や音・光環境を調整し、安心して参加できる設計を目指す。

4. ブログ読者へのメッセージ
自閉スペクトラム症やADHD傾向を持つお子さんが 「早くからポジティブな体験を重ねること」 が、自殺リスクを下げる重要な鍵であることが最新研究で裏づけられました。
当院では “動物と触れ合う温かな記憶” を通じ、子どもたちが
- 自分を信じられること
- 周囲を信頼できること
- 社会に居場所があること
を体感できるプログラムを用意できればいいなと思っています。今はまだ構想段階ですが、移動動物園主催者、小児精神科医、地域ボランティアの方々と一緒に活動できれば、素敵な社会が広がっていきそうな予感がします!

小さな成功体験が、未来のレジリエンスをつくります。
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