エキゾチックアニマルカフェの是非と、エキゾチックアニマル診療科獣医師としての立場🐾

オオトカゲを診察中の獣医師

最終更新日:2025年11月16日

エキゾチックアニマルカフェを巡る課題と、獣医師として私が守りたい「責任ある飼育文化」

エキゾチックアニマルカフェには、動物福祉の不足や野生個体の取引、生物多様性への影響といった問題があり、動物愛護管理法の改正議論やWWFの提言でもより厳格な管理の必要性が指摘されています。私は専門獣医師として、飼育や展示を一律に否定するのではなく、科学的根拠に基づいた適正な環境と管理が整った場合にのみ容認するという立場で診療と助言を行っています。そして、飼育者・展示施設・獣医師が連携し、動物にとって正しい環境と情報に基づく「責任ある飼育文化」を地域に根付かせていくことが重要だと考えています。


こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
今回は先日、WWFジャパンからも提言が行われたという、動物愛護管理法の改正のタイミングで話題になっている、エキゾチックアニマルの飼育の是非について、私の思うところをお話ししたいと思います。

はじめに

私は、エキゾチックアニマルを主体に診療を行う獣医師として日々多様な動物たちと向き合っています。爬虫類、両生類、鳥類、小型哺乳類――いずれも、飼育下においては「イヌ・ネコとは異なる特有の生理・行動・環境要求」を持っています。そのため、飼育者・展示施設・獣医師が一体となって「動物にとって最良の環境」を作る必要があると考えています。
その中で近年、話題になるのが「エキゾチックアニマルカフェ(アニマルカフェ)」の是非です。日本ではこのブームが海外に比べて急速に拡大しており、専門家として、そして診療を担う立場として、私なりの考えを整理します。


背景:需要と供給、そして保全のジレンマ

飼育者数の増加、展示施設の拡大、そして“かわいい触れ合い体験”の提供。これらは一見、動物と人が近くなる喜ばしい流れに思えます。しかし、欧米のエキゾチックアニマル専門獣医師・保全生物学者の研究によれば、この流れには重大なリスクが伴うと警鐘を鳴らしています。野生由来の個体が取引されることで、野生個体群が減少し、生物多様性が脅かされる事例が報告されています。
日本国内においても、WWFジャパンが 2025年10月に発表した報告書では、野生動物を扱うアニマルカフェにおいて、展示個体のうち約15 %がIUCNレッドリストの絶滅危惧種に該当し、64 %がワシントン条約(CITES)附属書の対象分類群であったというデータが示されています。(出典:WWFジャパンhttps://www.wwf.or.jp/
また、施設の約半数しか事業者標識を掲示しておらず、感染症リスク・人獣共通病原体・利用者との適切な接触説明の欠如も明らかとなっています。
このように、需要があるからといって“飼育または展示が許される”わけではなく、供給経路・飼育環境・生物多様性への影響・動物福祉・安全性という複数の軸を考慮する必要があります。


法制度と今後の流れ:動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)改正の動き

日本では、イヌ・ネコを中心とした飼養・動物取扱業者の規制は進んできましたが、野生動物・エキゾチックアニマルについては制度として整備が十分とは言えません。WWFジャパンは、改正に向けて以下のような要望を提示しています。 (WWFジャパン)

  • 法の目的規定に「生物多様性」の明記と、「動物福祉(animal welfare)」への言及を加えること。
  • 飼育・展示が難しい野生動物種をあらかじめ指定し、それらを取り扱う事業者には高度な基準を課す仕組みを導入すること。
  • 飼養者・事業者に対し、個体識別・由来・トレーサビリティの導入を義務化すること。
  • 両生類を動物取扱業の対象に加えること。
  • 特定動物(危険動物・外来生物)飼養違反時の罰則を強化すること。

こうした動きは、欧米・アジアの多くの国で“ホワイトリスト制度(飼養可能種をあらかじめ定め、それ以外は飼えない)”を導入しつつある潮流と合致しています。オランダでは、ポジティブリストとして下記の30種をあげています。
つまり、今後は日本でも「エキゾチックアニマルカフェ」「野生動物の飼育・販売」に対する制度的な枠組みが大きく変わる可能性が高いのです。


【オランダの哺乳類のポジティブリスト】日本人の私からするとお国事情があるような気がします

・げっ歯目 Rodentia 16種※政府公表の30種は複数のジャービル類を種レベルで全て別カウント
アフリカヤマネ Graphiurus murinus、オオミミメガネヤマネ Eliomys melanurus、ヒメジャービル Gerbillus nanus、パレイドジャービル Gerbillus perpallidus、エジプトジャービル Gerbillus pyramidum、ドワーフジャービル Gerbillus amoenus、ガラマンティスジャービル Gerbillus garamantis、ハリントンジャービル Taterillus harringtoni、モンゴルジャービル(飼育下家畜型)Meriones unguiculatus、チャイニーズハムスター Cricetulus barabensis / griseus / pseudogriseus、ゴールデンハムスター Mesocricetus auratus(家畜型)モルモット Cavia porcellus、ラット(家畜型)Rattus norvegicus、マウス(家畜型)Mus musculus
・食肉目 Carnivora 4種
Canis lupus familiaris、猫 Felis catus、ヨーロッパケナガイタチ Mustela putorius、フェレット Mustela putorius furo
・ウシ目(偶蹄目) Artiodactyla 7種
ウシ(家畜型)Bos taurus、ヤギ Capra hircus、ヒツジ Ovis aries、ブタ(家畜型)Sus scrofa domesticus、水牛 Bubalus bubalis、アルパカ Vicugna pacos、ラマ Lama glama
・ ウマ目(奇蹄目) Perissodactyla 2種
Equus caballus、ロバ Equus asinus
・ウサギ目 Lagomorpha 1種
ウサギ(家兎)Oryctolagus cuniculus domesticus


私の専門家としての立場

私は、エキゾチックアニマル診療科の獣医師として、次のような立場を取っています。

  • 飼育そのものの是非を決めるのではなく、「飼育・展示において適切な環境・知識・管理体制が整っているか」を重視します。
  • 一方で、野生由来個体の安易な流通・不適切なカフェ展示には明確に反対します。
  • 動物福祉・保全・感染症・安全性・逃走・外来種化といった複数のリスクを重ねて評価し、診療・助言を通じて「責任ある飼育文化」の醸成に努めます。

この立場を明確にすることで、飼育者様のみならず、展示施設様・行政・一般市民からも信頼を得ることができ、地域におけるエキゾチックアニマル医療の専門性・公共性を高めることができます。

エキゾチックアニマルカフェの「是非」について

展示・触れ合い型施設(いわゆるアニマルカフェ)には、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 一般市民が普段接することの少ない生物を身近に感じ、関心・理解を深めるきっかけとなる。
  • 繁殖・飼育者教育・研究データの取得といった保全・学術貢献になる可能性がある。
  • こうした施設との連携でエキゾチックアニマルの知見を蓄える機会が得られる。

デメリット/リスク

  • 飼育・展示そのものが、「飼いやすい・かわいい」という誤った認識を助長し、飼育初心者による不適切な飼育を生む可能性。
  • 野生採集個体・違法輸入の流通を助長し、野生個体群の減少・生態系破壊につながる。
  • 施設内の飼育環境が種の行動・生理を満たしておらず、動物福祉上重大な欠陥を抱えていることが報告されている。 (WWFジャパン)
  • 利用者と動物の接触を通じて、傷害・感染症・逃走・外来種化といった安全・公共衛生面のリスクを伴う。 (WWFジャパン)

このように、単に「かわいい」「触れ合える」だけでは、展示・飼育には多くの責任が伴います。私は、エキゾチックアニマルカフェを完全否定はしないものの、適正な飼育・展示条件が整う場合にのみ容認される“条件付き利用”という立場を取っております。


実務的な提案:飼育者・施設・獣医師の三者連携

私の診療科では、以下のような取り組みを推奨・実践しています。

  • 飼育個体の出自・由来(野生・繁殖)・繁殖履歴の確認。
  • 飼育環境チェックリスト(温湿度・照明・隠れ場所・採餌・運動・社会性)を飼育者・施設と共有。
  • 飼育者・施設と定期的な連絡・フォローアップを実施。診療時だけでなく飼育環境改善の相談を受け付け。
  • 飼育者教育:飼育を始める前に、動物福祉・安全・逃走・感染症・法規制について簡単なチェックを実施。
  • 地域・行政・展示施設との情報共有:例えば、飼育個体が逸走した場合の連携・対策。

これらを通じて、動物の健康だけでなく“飼育環境・展示環境・管理体制”の質を高めることで、地域におけるエキゾチックアニマル診療の価値を高められるとよいと思っています。

おわりに

飼育・展示の是非を巡る議論は簡単ではありません。しかし、私たちが目指すべきは「飼ってはいけない」という一律の禁止でも、「誰でも飼える」という不慎な飼育奨励でもありません。
むしろ、「この動物を、どのように飼い・展示し・獣医師として診療・助言し・地域社会として受け入れるか」という 適正なプロセス を築くことこそが、動物に対しても飼育者に対しても、そして地域社会に対しても責任ある姿勢だと私は考えています。
私の動物病院では、この姿勢を持ち続け、飼育者の皆様・施設担当者の皆様・地域の皆様とともに、「責任ある飼育文化」の実現に向けて歩んでいきたいと思います。どうぞお気軽にご相談ください。


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