私は、あの2011年(平成23年)の東日本大震災時には千葉県で動物病院を開業していました。

ちょうどお昼休みに、大型ショッピングセンターの屋外駐車場にいて、無事でした。


動物病院へ戻ってみると、幸い、物が落ちて壊れたり、壁にひび割れができていたりしたくらいで済みました。

一方、ここ豊田では、2000年(平成12年)の東海豪雨時には矢作川が浸水したと聞いていますので、当院の飼い主様のなかには被災し、つらい思い出のある方もいらっしゃるかもしれません。

被災時は、自分や家族を守ることはもちろん、一緒に暮らしているペットのことも気になりますよね。

震災に備え、日頃からできること、やっておきたいことをご提案していきたいと思います。

多くの被災地で「まさか自分が被災するとは思っていなかった」という言葉が聞かれるそうです。

ですから、防災意識はなんとなくは持っていても他人事で、被災するとは思ってないので、防災対策なんてとっていないのではないでしょうか。

ご自身やご家族も被災するだろうという自覚を持つことからまず始めましょう。

このことが、被害を最小限度におさえる減災ができることになります。

普段からできていないことを、災害時に急にやろうとしても、できるはずもありません。

避難訓練は大切な行動だと思います。


南海トラフ巨大地震では否応なしに多くのかたが罹災すると推定されています。

沿岸部の津波被害の深刻さが想定されているので、海のない豊田市では、その心配はありませんね。

しかし、その分、甚大な被害を受けても、人材・資機材の応援が後回しになる可能性が高く、当初の復旧は自分たちでなんとかしなければならないでしょう。

また、より被害の大きい自治体支援の活動拠点を担うという役割も生じているかもしれませんね。

【非常持出品】

避難するときに持ち出す最小限の必需品。

リュックなどに入れ、見える場所に準備。

各人1袋で、男性15㌔、女性10㌔が目安。

【備蓄品】

避難した後に一時的に自宅に戻れた時に、避難所で使ったり、自宅で過ごしたりするときに使う。

最低3日分、国では7日分を推奨。

キッチン、車庫、物置、ベランダなど、取り出しやすい場所に保管。

ワンちゃん猫ちゃんの持ち物はこちら。

まずは、クレートを購入してください。

最低限、キャリーを購入していただき、慣れるために 当院受診時にも、入れてお連れになってくださいね。

さあ、始めてみましょう!

そして、その取り組みを続けていきましょう。

豊田市「防災虎の巻」、「豊田市洪水ハザードマップ」を参照。

災害時、ペットを連れて避難(同行避難)するにはどうしたらよいでしょうか?

東日本大震災で得た教訓をもとに環境省が改定した「人とペットの災害対策ガイドライン」があります。

同行避難を原則とすることになりました。

被災地で取り残されたペットが放浪したり、連れに戻った飼い主が津波に巻き込まれたりした事例があったようです。

そうならないように、避難所や仮設住宅でペットを受け入れるような配慮がなされました。

しかし実際は、各自治体ごとにその運用は任せられており、ここ豊田市では同行避難対策はできていないというのが実情のようです。

同行避難といっても 避難所では、人と動物との生活スペースは隔てられていることが基本のようで、「同伴避難」ではありません。

屋根があるわたり廊下やシートをかけたサッカーゴールの中など屋外でまとめて飼うこともあるようです。

このガイドライン策定後の2016年に起きた熊本地震では、避難所にペットを連れて入ることができない飼い主様がたくさんいらっしゃったようです。

室内に入ることができても、ほかの被災者から「においが気になる」、「鳴き声がうるさい」などと苦情も相次いだとのこと。

内閣府の調査によると、避難した377人に聞いたところ、35%が「ペットを避難所内に入れてほしくない」と回答しています。

アレルギーの心配や「こわい」、「きらい」という声もあったようです。

この現実は、「ペットも家族」と考えている飼い主様にはつらいですね。

しかし、避難所では人への支援が最優先ですから仕方がない面はあります。

指針でも、飼い主ができるだけ自分の力でペットのケアをするよう強調しています。

被災時に、ペットも社会の一員として過ごせるように、キャリーケージに慣れさせるなど、普段からできることを心掛けたいですね。

ペットを連れて避難訓練に参加するなど、まわりの理解が広がるような気持ちをもっていきたいですね。

また、「所有者不明」にならないように、マイクロチップの埋め込みについても積極的にお勧めしています。