最終更新日:2026年5月1日
犬・猫のてんかんとは?|発作・けいれん・意識消失の正体と発作時の行動ガイドについて
てんかん発作は対応を誤ると悪化。受診前の正しい行動が命を守ります。
ペットのてんかん発作に関する包括的な対応ガイドです。犬や猫が突然発作を起こした際、飼い主さまが冷静さを保ち、まず周囲の安全を確保することが最も重要です。そのうえで、発作の持続時間や意識の有無を正確に観察・記録し、可能であれば動画撮影を行うことで、診断精度を大きく高めることができます。一方で、発作中に無理に体へ触れることは咬傷や外傷といった二次被害につながるため、慎重な対応が求められます。
また、本資料では単なる応急対応にとどまらず、獣医療における治療の基本方針についても解説しています。てんかん治療の目的は完治ではなく、抗てんかん薬を用いた長期的な発作コントロールにあり、副作用の管理や生活環境の最適化が不可欠です。特に、5分以上発作が続く場合や意識が回復しない場合など、緊急受診が必要な状態を正しく見極めることが、予後を左右する重要なポイントとなります。
当院では、LINE相談や詳細な問診システムを活用し、発作後の迅速な受診につなげる体制を整えています。専門的な知見に基づき、それぞれのご家庭・症例に応じた個別最適な診療と長期管理を提供し、飼い主さまとともにペットの生活の質を守ることを目指しています。こうした正しい知識と事前の備えが、いざという時の適切な判断と安心につながります。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
てんかんは脳の異常活動によって引き起こされる神経障害です。これは、突然の発作やけいれんを特徴としています。てんかんの原因、症状、患者は様々です。
もし、あなたのペットがてんかんの発作を経験した場合、以下のことを考慮してください:

対策1:冷静さを保つこと
発作中に急いでペットを助けようとすると、思わぬ事故につながります。冷静さを保って行動しましょう。

対策2:安全を確保する
ペットの周りから危険な物品を取り除き、危険な場所から遠ざけましょう。怪我をしないように床や周囲をクッションなどで保護するのもいいでしょう。

対策3:時刻を記録する
発作の始まりと終わりの時刻を記録し、それがどれくらい続いたかを観察します。これは治療の評価に役立ちます。一般的には数分以内です。発作の始まりには前兆があることが多いです。甘える、ソワソワする、隠れるなどの行動がよく見られます。

対策4:ペットを触らない
発作中はペットに触らないようにしましょう。彼らが噛んだり引っ掻いたりすることがあるためです。安全のために距離を保つことが大切です。

対策5:当院に連絡する
発作が終わったら、すぐに連絡し、目撃者本人から状況を説明してください。受診していただき、ペットのてんかん管理のために適切な治療法をご提案します。

対策6:動画を記録する
発作が起きた際、できるだけ症状をビデオで記録することをお勧めします。発作の起こり始め、発作中の進行状況、発作後の暫くの間(見た目がほぼ正常に戻ったら撮影終了)の3点が重要です。抱っこしたり、覆いかぶさらないようにして、患者さんが見えるように撮影してください。場合によって顔の表情や部分的にケイレンが起きている所はズームイン・アウトを駆使していただけるとより有用です。これらは獣医師にとって非常に重要で、より正確な診断と治療計画を立てるのに役立ちます。ただし、動画だけでてんかんと診断できる正解率は3割以下といわれています。問診の重要性や検査が必要になることは言うまでもありません。

対策7:意識の確認
発作中は、意識の有無をチェックしてください。普段ならいつも反応する(言った人の顔を見るなど)言葉をかけながら経過をみてみましょう。例えば、「ごはん!」、「お散歩っ」、「おやつー!!」、「おかえりなさ~い」などがあると思います。
緊急受診が必要なケース
以下の場合はすぐに動物病院へ搬送が必要です。
- 発作が5分以上続く(重積発作)
- 短時間に何度も発作を繰り返す(群発発作)
- 発作後も意識が戻らない
- 呼吸が苦しそう・体温が異常に高い
ご自宅での初期対応
- 無理に口を触らない(咬傷リスク)
- 周囲の危険物をどける
- 暗く静かな環境にする
- 発作時間を記録する(極めて重要)
※可能であれば動画撮影は診断精度を大きく向上させる
【発作の分類と鑑別】
発作のタイプ
- 全般発作(強直間代発作)
- 焦点発作(部分発作)
- 焦点発作→全般化
鑑別疾患
発作様症状=”てんかん”ではない
- 失神(心疾患)
- 低血糖
- 前庭疾患
- 中毒
- 行動異常
→「動画+問診」が極めて重要
抗てんかん薬の具体的運用
長期治療の適応
- 月1回以上の発作
- 群発・重積発作の既往
- 発作頻度の増加
主な薬剤
- フェノバルビタール
- 臭化カリウム
- レベチラセタム
- ゾニサミド
重要な説明
- 完治ではなく「コントロール」が目標
- 急な中止は危険(リバウンド発作)
- 定期的な血中薬物濃度モニタリングが必要
合併症の具体的リスク
主な合併症
- 熱中症(発作時の筋活動増加)
- 誤嚥性肺炎
- 外傷(転倒・衝突)
臨床的に重要な点
特に夏場+室内犬はリスクが高い
→発作後の体温チェックは必須
発作誘発因子の管理:再発予防
以下は発作閾値(発作の起こりやすさ)を低下させる要因:
- ストレス
- 睡眠不足
- 環境変化
- 発情・ホルモン変動
- 高温環境
→基礎疾患や生活管理指導は治療の一部になります
予後のリアルな説明
特発性てんかん
- 約60〜80%は薬でコントロール可能
- 完全消失は稀
→「長く付き合う病気」という認識を共有
てんかん啓発のアニマルパープルデーというサイトがございますので、こちらも覗いてみてください。
二次性てんかん
- 原因(腫瘍・炎症)に依存
- 進行性の場合は予後不良
飼い主さまにやっていただきたい”てんかんノート”
発作日誌の記録項目
- 発作日時
- 持続時間
- 発作の様子
- 前兆・誘因
- 回復までの時間
通院の目安
- 初発発作後は必ず検査
- 発作頻度が増えたらすぐ再診
🐾 ペットのてんかん(けいれん)に関する よくあるQ&A
1. Q: 犬や猫のてんかんって何?どうやってわかるの?
A: てんかんとは、脳内の神経活動が異常になり、反復性の発作(けいれん・意識消失・ふらつきなど)を起こす慢性神経疾患の総称です。診断には、血液検査・神経学的検査・MRIや脳脊髄液検査などを用いることが多く、単発の発作だけでは確定診断になりません。意識消失を伴う反復発作がみられる場合には「てんかん」が強く疑われます。発作が24時間以上空けて2回以上繰り返されていると診断に近づきます。
2. Q: 発作の前兆や典型的な症状ってどんなもの?
A: 発作には前兆があることが多く、落ち着きがなくなる・甘える・隠れる・そわそわするなどの変化がみられることがあります。発作中は全身のけいれん・硬直・泡を吹く・失禁・意識消失などが見られ、持続時間は多くの場合数秒〜数分程度です。ただし 長時間続いたり(例:5分以上)止まらない場合は「てんかん重積状態」と呼ばれる救急状態 で、早急な獣医師対応が必要です。
3. Q: てんかんの原因って何?犬と猫で違うの?
A: 原因は大きく2つに分かれます。
- 特発性てんかん(MRIなどで明らかな脳病変が見つからないケース)
- 構造的てんかん(脳腫瘍・脳炎などが原因で発作が起こるケース)
犬では特発性てんかんが比較的多くみられ、猫は比較的少ないですが、同じく原因の有無で分類します。発作が若年期〜中年期に起こる場合と、高齢で他疾患が関係する場合とで対応が変わることがあります。
4. Q: てんかんは治るの?治療法って何がある?
A: 完治を目指すことは難しい場合が多く、 再発を抑えるための長期的な抗てんかん薬による管理治療が基本 です。薬物療法にはフェノバルビタール、ゾニサミド、レベチラセタムなどが用いられ、発作頻度や副作用の評価を行いながら投薬量を調整します。投薬継続と定期評価が重要で、獣医師との綿密なコミュニケーションが治療成功の鍵になります。
また、生活環境(ストレス、睡眠不足の回避、規則正しい生活リズム)を整えることも発作頻度低下に寄与します。
5. Q: 発作が起きたとき、飼い主さまがすぐやるべき対応は?
A: 発作時は以下ポイントが重要です:
- 冷静に安全を確保する(周囲の危険物を除去)
- 発作の開始・終了時刻を記録する
- むやみに触らず距離を保つ(噛む・引っ掻く可能性があるため)
- 動画を撮影して獣医師に見せる(発作パターンの判別に有用)
- 発作後はすぐに獣医師に連絡・受診につなげる
これらの情報は診断・治療の評価に直結します。冷静な観察と発作時の記録が、治療方針決定に有効です。
てんかんは管理可能な疾患であり、獣医師の指導のもとで適切な治療法を見つけることができます。飼い主さまとして、ペットの安全と健康を最優先に考え、獣医師の助言に従うことが大切です。
【当院の診療方針】
- 神経学的評価+全身評価の両立
- 動画診断の積極活用
- 抗てんかん薬の個別最適化
- 長期フォロー体制(LINE相談など)
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