最終更新日:2026年4月25日
リクガメが動かない時は低温だけでなく、腸閉塞・脱水・感染症も疑い早期受診が重要です。
この記事は、愛知県豊田市の動物病院がリクガメの活動低下や不動状態について専門的な見地からまとめた解説です。主な原因として不適切な温度管理、脱水、異物誤食による腸閉塞などが挙げられており、生理的な反応と重篤な疾患の違いを明確に示しています。飼い主さまがご自宅で確認できる緊急サインのチェックリストに加え、保温などの応急処置や避けるべき誤った対応についても詳しく触れています。早期受診の重要性を強調しながら、日々の体重測定や排泄記録を通じた予防医療の大切さを説く内容です。リクガメの健康維持に必要な環境改善と医療情報の提供を目的とした、実践的なガイドとなっています。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
リクガメの健康と幸福のための旅路へようこそ
リクガメは飼育されていることの多い、素晴らしいペットですが、その飼育には慎重な注意が必要です。
今回は、リクガメが動かないという症状についての重要なポイントについてお伝えしたいと思います。

まず最初に、リクガメが動かないという症状は深刻な問題の兆候となり得ます。これは様々な原因が考えられますが、以下は主な要因とそれに対する対処法です。
温度管理の重要性
リクガメは体温調節が得意ではありません。適切な温度環境が整っていないと、リクガメは活動的でなくなります。保温ランプや加熱マットなどで適切な温度を維持することが必要です。特に冷え込む季節や夜間は注意が必要です。
「寒いから動かない」と病気の違い
ケージ内温度の低下で代謝が落ちると活動低下はありえます。
生理的な低活動なら
- 保温すると動き出す
- 眼の反応はある
- 防御反応がある
- 数時間〜半日で改善する
病的な不動なら
保温しても動かない場合は異常を疑います。
とくに注意:
- 腸閉塞
- 重度脱水
- 尿酸沈着(痛風)
- 敗血症
- 重度寄生虫症
- 卵塞(メス個体)
栄養不足や脱水状態
リクガメはバランスの取れた栄養が必要です。不適切な餌や栄養不足はリクガメの活動性を低下させ、動かなくなる原因となります。十分な水分を摂取することも重要です。定期的な健康診断や栄養バランスの取れた食事が重要です。特にカルシウムなどのサプリメントは重要です。左の写真は十分に水分を摂取しているときの尿です。脱水してくると、お尻のところで尿の成分である尿酸が固まり、右の写真のような結石ができてしまいます。

環境のストレス
リクガメは環境の変化に敏感であり、ストレスを感じると動きが鈍くなります。新しい環境への適応に時間をかけ、安定感のあるケージや水槽を提供することが必要です。
病気や感染症
リクガメはさまざまな病気や感染症にかかりやすいです。動かないという症状が持続する場合は、即座に獣医師の診察を受けるべきです。とくに寄生虫の感染率が高いです。呼吸困難、目の充血、異常な分泌物などの他の症状にも注意深く観察してください。

実は多い「リクガメが動かない」原因ランキング
1. 温度不適切(最も多い)
ホットスポット不足は最頻原因。
2. 脱水
「動かない」の原因として見逃されやすい。
注目ポイント
- 粘稠~チョークのような硬い尿酸
- 沈鬱
- 眼球陥没
3. 異物による腸閉塞
床材誤食は重要鑑別。
- ウッドチップ
- 猫砂様床材
- 小石
- 布片
「急に動かない」はこれを疑う価値あり。

リクガメが動かないときに危険度を見分けるチェックリスト
次の症状がある場合は「様子見」ではなくすぐに受診してください。
緊急性が高いサイン
- 手足や首に力がなくぐったりしている
- 目を閉じたまま反応が鈍い
- 口を開けて呼吸している
- 数日食べず排便もない
- 何度も息んでいる
- 首を伸ばしたまま動かない
- 転倒して起き上がれない
- 四肢や総排泄腔が腫れている
特に「動かない+食べない+排便がない」は消化管閉塞も鑑別。

リクガメが動かない時に自宅でしてよい応急対応
保温
温浴ではなく、まずケージ内を適温へ。
目安(種差あり)
- バスキングホットスポット:32–38℃
- 温域:26–30℃
浅い温浴
軽度脱水なら有用な場合あり。
ぬるま湯で10〜15分程度。
動物病院を探す
かかりつけ医を持つことがとても重要ですが、具合が悪くなってから探されることが多いです。リクガメ診療を担当している獣医師が不在の事もあるので、いつでも受診できる動物病院をチェックしておきましょう。
飼育環境再確認
以下を見直す
- UVB交換時期
- ケージ温度
- 床材誤食リスク
- 最近の食事変更
- 排泄状況
やってはいけない対応
自己判断で強制給餌しない
腸閉塞では危険。
人用整腸剤や下剤を使わない
悪化することがあります。
「冬だから」で放置しない
爬虫類は悪化を隠します。
種類によって原因が違うこともある
ケヅメリクガメ
成長期の栄養関連トラブル、異物誤食。
ヘルマンリクガメ
低温関連・寄生虫。
ヨツユビリクガメ(ロシアリクガメ)
尿酸関連や冬季管理トラブル。

動かないという症状で動物病院で行う検査
- 身体検査
- レントゲン
- 糞便検査
- 血液検査
- 超音波(症例による)
- 飼育環境レビュー
予防:動かなくなる前にできること
- 毎週体重測定
- 排便記録
- 尿酸チェック
- 温度ログ管理
- 年1〜2回健診
「いつもより動きが少ない」は早期サインです。

よくあるご質問
Q1. リクガメが急に動かなくなるのは危険ですか?
A. 保温で改善しない場合、脱水・腸閉塞・感染症など病気の可能性があります。
Q2. 冬は動かなくても正常ですか?
A. 活動低下はありえますが、反応低下や食欲消失が強いなら要注意です。
Q3. 動かないけれど首を引っ込めるなら大丈夫?
A. 防御反応があるのは比較的良い兆候ですが原因確認は必要です。
Q4. リクガメが動かず食べないのはなぜ?
A. 低温、脱水、寄生虫、腸閉塞など複数原因があります。
Q5. 温浴で治りますか?
A. 軽度脱水なら助けになる場合もありますが根本治療ではありません。
Q6. 動かない時に強制給餌してよい?
A. 腸閉塞なら危険なので自己判断は避けるべきです。
Q7. リクガメが動かず、寝ているだけとの違いは?
A. 触って反応・姿勢保持・眼の反応で判断します。
Q8. 床材誤食で動かなくなることはありますか?
A. あります。腸閉塞は重要鑑別に挙げられます。
Q9. 何日動かなければ病院へ?
A. 保温しても半日〜1日以上異常が続き、他症状あれば早急に。
Q10. 動かないのは寿命のサインですか?
A. 多くは寿命ではなく環境要因や疾患です。原因評価が重要です。
これらのポイントに留意して、リクガメの健康を確認してください。もしも動かないという症状が見られた場合は、迅速な対応が重要です。適切な環境や栄養、定期的な健康診断を通して、リクガメとの素晴らしい関係を築いていくことができます。お互いに幸せな時間を過ごせるように、しっかりとお世話してあげてくださいね。

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