こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
新治療法F11:狂犬病ウイルスに打撃、致死を回避
狂犬病の原因である狂犬病ウイルスが脳に侵入して発症してしまうと、通常ほぼ必ず致死的というのが通説です。しかし、アメリカの研究チームが、狂犬病の発症後でも効果的に治療できる方法を開発し、その結果を発表しました。
研究では、モノクローナル抗体F11が、致死量の狂犬病ウイルスからマウスを守ることを示しました。
F11抗体の驚くべき効果:狂犬病ウイルスを逆転させる新治療法の可能性
過去の研究では、F11が狂犬病のウイルスであるリッサウイルスの感染を実験室の培養細胞で防ぐことが示されていました。今回の研究では、ある特定の狂犬病ウイルス株に感染させたマウスにF11を投与した結果、神経疾患の兆候が現れた後でも、F11の1回の投与で死亡を防げることが明らかになりました。
F11はウイルスに結合し、感染を防ぐと考えられていますが、通常、中枢神経系に感染したウイルスを中和することはできません。しかし、F11の単回投与により、中枢神経系に到達したウイルスによる狂犬病の進行を逆転させる効果があり、これには免疫細胞の組成が関与している可能性が示唆されました。
希望の兆し:F11治療法、狂犬病対策で一歩前進
これらの研究結果に基づいて、F11による治療はヒトの狂犬病に対して有効である可能性が高く、特に医療資源が限られた地域で重要な簡便な治療法となる可能性があります。ただし、この治療法はまだ初期段階にあり、次のステップはヒトに投与可能なF11を開発し、臨床試験でその効果を確認することです。 研究者は、マウスで成功したことから他の動物でも有望であると述べています。
狂犬病の沈黙と感染の脅威:予防接種の重要性
日本では、狂犬病が50年くらい発症しておらず、「平和ぼけ」していますが、中国やアメリカなどの大陸には、常在している病気です。本邦の接種率からすると、感染の蔓延が懸念されますが、以前と比べて、野犬は見かけないので、飼い主さまの注意で防げるかもしれません。しかし、しっかり狂犬病ワクチンは毎年接種していきましょう。
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