最終更新日:2025年11月24日
はじめに:見過ごされがちな“地面の熱”というリスク
暑い日中にアスファルトの上を散歩するワンちゃんを見かけることがあります。飼い主さまは慣れた散歩道のつもりでも、ワンちゃんにとってはまったく違う世界が広がっています。地面に近い高さで、しかも裸足で歩く犬たちにとって、アスファルトの熱は私たちが想像する以上に強烈です。
真夏の舗装路は、気温が30℃でも表面温度は50℃を超えることがあります。照り返しの熱は犬の体全体を包みこみ、散歩中の数分間で体温は急激に上昇します。それでも犬は「暑いから歩くのをやめよう」と言葉では伝えられません。息が荒くなっても、ときどき立ち止まっても、飼い主の歩調に合わせ続けてしまいます。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
あなたの愛犬が昼間に散歩しているとき、ふと足を止めて苦しそうにパンティングしている姿を見て、「これは本当に安全だろうか?」と不安に感じることはありませんか?

1)熱中症サインと発症の理由
犬の熱中症は、わずかな油断が命取りになることがあります。しかし多くの飼い主さまは「熱中症は気をつけていれば起こらない」と思い込み、安全だと思い込んだまま危険な散歩を続けてしまいます。
犬は全身で汗をかけず、体温調節のほとんどを呼吸(パンティング)に依存しています。つまり、呼吸で熱を逃がせないような環境――高温の地面、湿度の高さ、風の欠如など――に置かれると、体温はすぐに上昇します。
その結果として起こる「熱中症」は、単なる夏バテではありません。
・虚脱
・倒れて立てない
・激しいパンティング
・けいれん
・不整脈
・ショック
・血便や皮下出血
・昏迷や昏睡
これらはすべて、急激な体温上昇によって体内のタンパク質が変性し、臓器が破壊され始めたサインともいえるでしょう。
高齢犬、短頭種(フレブル、パグ)、肥満犬、心臓病のある犬は特に危険です。
しかし、健康な若い犬でも、条件が揃えば10分足らずで重度の熱中症に至ることがあります。
「うちは元気だから大丈夫」という油断こそが、最も危険なのです。

2)熱中症対策とは
では、どうすれば熱中症のリスクを劇的に下げられるのでしょうか。
ポイントは大きく3つです。
■① 散歩の時間帯を“徹底的”に見直す
最も効果のある対策です。
・早朝(5~8時)
・日没後(19時以降)
この時間帯は地面温度も空気温度も若干下がり、熱中症リスクは低下します。
気温ではなくアスファルト温度で判断することが重要です。
目安は「手の甲を3秒つけて、熱くて我慢できないなら散歩はNG」。
■② 地面の種類を選ぶ
できるだけ以下の道を選びます。
・芝生
・土の道
・日陰の多い遊歩道
アスファルトは熱を蓄えやすく、照り返しも強いため危険度が段違い。
同じ30℃でも、芝生とアスファルトでは体感温度が10~15℃違うこともあります。
■③ こまめな水分補給と冷却対策
散歩前、中間休憩、帰宅後、すべて水分補給のタイミングです。
いつでも飲めるように携帯ボトルを持ち歩きましょう。
さらに、
・首元を保冷剤で冷やす
・クールベストの使用
・霧吹きによる被毛へのスプレー
これらは体温の上昇を抑え、熱中症を“未然に防ぐ力”があります。

3)当院を受診した飼い主様の実体験
ここで、当院に実際に来院されたケースをご紹介します。
■ケース1:シニア犬の散歩後の虚脱
14歳の小型犬。昼間に15分ほど散歩した直後、ぐったりして立てなくなり、昼間の時間外診療でご来院されました。体温は41℃以上。舌が紫色になり、呼吸も浅く速い状態でした。
すぐに冷却処置と点滴、酸素投与を使用し、幸い2時間ほどで落ち着きました。しかし肝臓酵素の上昇がみられ、翌日も治療が必要でした。老齢犬はもともと脱水傾向にありますから、水分補給は大事ですね。
飼い主様は「こんな短時間で命にかかわる状態になるなんて…」と驚かれていました。
■ケース2:若い犬でも油断できない
2歳、健康体のミニチュアダックス。
曇りの日で「暑くないと思った」とのことで散歩に出たところ、帰宅後に異常なパンティングが続き来院。
曇り空でもアスファルト温度は50℃に達することがあります。
この子も体温が40℃を超えており、すでに軽度の脱水が見られました。
若い犬でも、とくに足の短い犬種では地面からの熱は避けられません。
■ケース3:短頭種の“危険すぎる”高リスク
フレンチブルドッグ5歳。
車で5分の移動中、車内クーラーが効く前に急激に体温が上昇し、病院に運ばれてきました。
短頭種は呼吸で熱を逃がしにくく、熱中症リスクは通常犬の約3倍。
このケースは幸いなことに早期処置で回復しましたが、あと数分遅ければ命に関わる状態でした。
これらの経験は、「熱中症は誰にでも起こる」という事実を突きつけています。

4)熱中症をわかりやすく例えるなら――
「体の中に火事が起きている状態」です。
・アスファルトの熱
・直射日光
・湿度の高さ
これらはすべて、体の中に“火”を点ける要因です。
そしてその火を消すためには、
・冷却(水風呂・濡れタオル)
・水分補給
・風を当てる
などの「消火活動」が必要になります。
もし消火が遅れれば、火は内臓へ燃え移り、大きなダメージを残します。
だからこそ、熱中症は“時間との勝負”なのです。

5)犬の熱中症を確実に防ぐための5つの最重要ポイント
あなたの愛犬の命を守るために、今日から次の5つを徹底してください。
- 散歩は早朝か日没後に。
- アスファルトの温度を手の甲でチェック。
- 水と携帯ボウルを常に持参。
- 保冷アイテムで首・胸・脇を冷やす。
- 少しでも様子がおかしければすぐ動物病院へ。
熱中症は、正しい知識と日々の気づきで、ほとんどが防げる病気です。
もし「暑さで弱っているかも」と感じたら、迷わず救急診療科のある当院へご相談ください。
あなたの気づきが、愛犬の命を救う第一歩になります。

環境省からは災害時の健康管理ということでいろいろな資料がでていますね。
こちらは「いぬのきもち」からいただきました。
Q1:散歩は何度までなら安全?
A: 一般的に 気温25℃以上+湿度60%以上 で熱中症リスクが急上昇します。
地面温度はさらに高いため、涼しい朝・夜に短時間で行うのが安全です。
Q2:熱中症の初期症状は?
A: 過剰なパンティング、よだれ、落ち着きのなさ、舌の色が赤い/暗い、歩きたがらない。
この段階で対応できれば重症化を防げます。
Q3:短頭種(フレブル・パグ)はなぜ危険?
A: 空気の通り道が狭く、呼吸による熱の放散が苦手なため、健康でも短時間で体温が上がりやすいからです。
Q4:家でできる応急処置は?
A: 涼しい場所へ移動 → 水で体を濡らす → 扇風機で気化冷却 → 少しずつ水を飲ませる。
ただし、軽度でも必ず動物病院へ。
Q5:室内での留守番でも熱中症になる?
A: なります。室温が25〜28℃でも湿度が高いと危険。
留守番時は エアコン24〜26℃設定+除湿 が基本です。
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