愛猫の慢性腎臓病を長く穏やかに付き合うための予防と治療ガイド【豊田市・アロハオハナ動物病院】🐈

ネコのCKDの治療ができる動物病院はどこにある?

最終更新日:2025年12月2日

猫の慢性腎臓病とは?高齢猫に多い身近な病気

猫の慢性腎臓病(CKD)はとても一般的な病気であり、特に高齢になるほど発症率が高くなります。 予防としては、腎臓への負担を考えたフード選びと、十分な水分摂取を促す環境づくりが重要です。 好みの水を常に用意し、複数箇所に水飲み場を設置するなど、日常的な飲水量を増やす工夫が必要です。治療に関しては、慢性腎臓病そのものを薬だけで完治させることは難しく、脱水・嘔吐・高血圧・貧血など現れている症状への対症療法が中心になります。 そのうえで、カロリー摂取を確保しつつ腎臓病用療法食へ少しずつ切り替えることが、進行抑制の大切な柱になります。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

猫は私たちの生活に豊かさと喜びをもたらしてくれる素晴らしい存在です。
しかし、最近の研究によれば、慢性腎臓病は猫にとって一般的な疾患であることが分かってきました。

15歳までの猫で20%、15歳以上の猫で80%が慢性腎臓病を患っているとの報告があります。
慢性腎臓病は、ねこちゃんでの有病率が高い印象ですが、ねこちゃんで1.2~3.6%、ワンちゃんでの有病率は0.5~3.74%と、あまり変わらない報告があります。

一説によると、腎臓の中のおしっこを作る装置(これをネフロンといいます)が人で1,000,000、犬で400,000あるものが、猫では200,000ということに由来しているようです。装置の数が少なければ、としを取ってくれば、その装置が壊れてしまい、より早く腎臓が悪くなってくるということのようです。

愛猫の健康を守るために、CKDの予防と治療について理解することが重要です。


予防対策

猫の慢性腎臓病を予防するために今日からできること|IRIS推奨の最新ガイドラインに基づく対策

慢性腎臓病は、一度発症すると完全な治癒が難しい疾患です。しかし、日頃の生活管理や食事内容、早期発見によって進行を大きく遅らせることが可能です。
IRIS(International Renal Interest Society)ガイドラインを踏まえながら、猫のCKDを予防するための実践的なポイントをまとめてみます。

1. 猫のCKD予防で最も重要な「食事管理」

● 腎臓にやさしい食事とは

IRISでは、腎機能が正常な猫でも、リン含有量の少ないバランスの良い食餌が腎臓への負担軽減に寄与するとされています。
特に以下に注意しましょう。

  • 高リン食の継続は腎臓への負担を増やす
  • 動物性タンパク質は質が重要
  • 加工度の高い食餌・おやつは控える

● 食べてくれるかどうかが寿命に直結

猫は嗜好性が高く、「腎臓に良いフードでも食べてくれない」ことが少なくありません。
しかし、食べない → 栄養不足 → 体重減少 → 腎機能悪化の流れは必ず避けなければならないため、予防段階ではとにかく “食べてくれる腎臓に負担の少ない食餌” を優先しましょう。


2. 水分摂取は腎臓の寿命を左右する

● 水分補給はCKD予防の最重要ポイント

IRISは、CKD猫に限らず「十分な水分摂取の確保」を強く推奨しています。
水分が不足すると腎血流量が低下し、長期的に腎臓へのダメージが積み重なります。

● 水を飲ませる工夫

  • 猫が好む水(軟水・常温など)を常に提供
  • 家の複数箇所に水を設置
  • 流水を好む猫にはファウンテンの利用
  • ウェットフードの活用

特に “飲水の機会を増やす” ことがポイントで、器の素材・高さ・形状を変えるだけで摂水量が増える猫ちゃんも多くいます。


3. 早期発見が寿命を左右する|IRISステージングの重要性

● 早期ステージ(IRIS Stage 1〜2)での発見は大きなメリット

早期ステージでは、進行抑制を目標にします。腎臓を長持ちさせてあげる対策が重要と言うことです。IRISでは、血液検査(SDMA/Cre)、尿比重、尿蛋白(UPC)の組み合わせでCKDをステージ分類します。
Stage 1〜2で発見されれば、進行抑制が十分に可能で、寿命を大きく伸ばせます。

● 早期発見のためにすべきこと

  • 7歳以上は年2回の血液検査・尿検査
  • SDMA(腎機能の早期マーカー)は必ずチェック
  • UPC(尿蛋白/クレアチニン比)で腎臓へのダメージを数値化
  • 体重の微減は腎機能悪化のサインとして評価

4. CKDの進行と予後に関わる因子(IRIS基準に基づく)

以下はIRISが重要視する「予後悪化因子」です。
予防段階でも、これらに注目して経過を追うことで、発症リスクを早期に察知できます。

  • 持続する高リン血症
  • 高血圧(収縮期160mmHg以上)
  • 尿中蛋白の増加(UPC上昇)
  • 体重減少
  • 脱水傾向
  • 食欲低下・筋肉量の減少
  • 甲状腺機能亢進症の併発

これらを定期的にチェックすることが、CKDの進行抑制につながります。
下記は、犬と猫の慢性腎臓病の進行・予後因子です。これらに着目しながら経過を追っていきます。

リンリン
FGF-23FGF-23
タンパク尿タンパク尿
高血圧貧血
低BCS(痩せ気味な体格)体重
低MCS(筋肉量低下)尿毒素
Ca×P複合体の増加
尿毒素

5. 今日からできる猫のCKD予防チェックリスト

  • □ 食べてくれる腎臓に優しい食事を選んでいる
  • □ 水飲み場を2か所以上に増やしている
  • □ ウェットフードやスープで水分を補っている
  • □ 定期的にSDMA検査を行っている
  • □ 尿比重・UPCを継続的に記録している
  • □ 血圧の測定をしている
  • □ 体重・筋肉量の変化を毎月チェックしている

CKDは「予防」と「早期発見」で寿命が大きく変わる

猫の慢性腎臓病は、生活管理・食事・水分・検査によって予防できる部分が非常に大きい病気です。
IRISガイドラインに沿ったモニタリングを行いながら、早期から腎臓を守る生活を整えることで、猫の寿命を確実に延ばすことができます。


猫の慢性腎臓病の治療方法

進行ステージ別の対処と食事療法の実際

猫の慢性腎臓病は、進行を遅らせる治療と、生活の質(QOL)を維持するための対処によって、寿命を大きく延ばすことができます。

1. CKD治療の基本方針:根治は困難だが、進行を抑えることは可能

猫のCKDでは、薬物で腎臓の機能を完全に回復させることは現時点では困難です。
そのため治療のメインは、

  • 進行抑制
  • 症状の緩和(対症療法)
  • 生活の質の維持

の3つが中心になります。

特に後期ステージでは、現れる症状に合わせて細やかな治療を組み合わせることが重要となります。

2. 後期ステージで行う主な対症療法

猫がCKDで後期に進行すると、以下の症状がよく見られます。

  • 脱水
  • 嘔吐・食欲低下
  • 高血圧
  • 貧血
  • 低カリウム血症
  • 体重減少

これらに対して、症状ごとに適切な治療を行います。

● 脱水の治療

  • 皮下点滴(在宅輸液を検討する猫ちゃんも多い)
  • ウェットフードの活用
  • 飲水量の管理・補助

● 嘔吐・胃腸障害の管理

  • 制吐剤
  • 胃酸分泌抑制剤
  • 食欲増進剤(必要に応じて)

● 高血圧治療

  • 猫のCKDでは高血圧が進行の大きなリスク
  • 専用降圧薬でコントロール
  • 定期的な血圧測定が必須

● 貧血の治療

  • エリスロポエチン製剤の使用を検討
  • 鉄剤の補給
  • 貧血原因の精査

症状が複数重なることが多いため、総合的に組み合わせて治療することがポイントです。

3. 食事療法はCKD治療の柱|腎臓病用フードへ段階的に切り替える

適切な食餌は治療の一部として非常に重要です。特に腎臓病用フードは、

  • リンの制限
  • 高品質タンパク質の適正化
  • オメガ3脂肪酸の強化

など、CKDの進行を遅らせるうえで臨床的に有効とされています。

しかし、腎臓病用フードは嗜好性が落ちることがあり、いきなり完全切り替えは失敗のもとです。

4. 腎臓病用フードへの成功率を高める切り替えステップ

猫は急な食事変更を嫌うため、徐々に慣らしていくことが推奨されます。

● 初期(1週目)

  • 従来のフード 75%
  • 腎臓病用フード 25%

● 中期(2〜3週目)

  • 徐々に腎臓病用の割合を増やす
  • 猫ちゃんが拒否しないペースで進める

● 完了(4週目)

  • 8〜9割の猫ちゃんは約4週間で切り替えに成功すると報告されています
  • 完全切り替えを目標にしつつ、食べることを最優先に調整

強引に切り替えると「食べない → 栄養不足 → 症状悪化」につながるため、その子のペースに合わせた変更が最重要ポイントです。


猫のCKD治療は「対症療法+食事療法」の両輪で進める

猫の慢性腎臓病は治癒が難しい病気ですが、適切な対症療法と食事管理により、進行を大きく遅らせることが可能です。
特に、脱水・高血圧・嘔吐・貧血などの症状への対応と、腎臓病用フードへの段階的な切り替えは治療の中心となります。


愛猫の健康を守るために、定期的な診察を受け、早期発見・早期治療を講じることが重要です。それがCKDの進行を遅らせることができます。

愛情とケアをもって、愛猫の腎臓の健康を守りましょう。


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