最終更新日:2025年11月24日
高温多湿の日本だからこそ知っておきたい愛猫の“体温リスク管理”
猫は体表全体で汗がかけず、湿度の高い日本の環境では熱中症になりやすいため、その初期症状を見逃さず、早期対応と適切な冷却が重要です。不調を感じたら、応急処置(涼しい場所への移動、濡れタオル冷却、水分補給)後、すぐ動物病院へ。重症化した場合は点滴や酸素療法が必要で、高齢猫や短頭種などは特に注意が必要です。
こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
家内の実家ではお義父さんが、猫の部屋の陽射し対策を施工してくれました。
別の記事で、ワンちゃんでは、お散歩に注意と書きました。しかし、室内で過ごしているからといって、猫ちゃんにも熱中症の注意は怠りなく。ちょっと、お出かけしている間にも、陽射しの向きによっては、室内の温度が急上昇なんてことも。お部屋を自由に移動できれば、それほど心配はいりませんが、留守中は、ケージの中という場合には、エアコンが必要でしょう。
もう1つは、移動時のキャリーです。今は完全予約制ですが、以前、夏季に車内で待機中に高体温になってしまった猫ちゃんがいました。キャリーに通気口はありますが、意外と熱がこもります。
猫は体温調節が苦手で、高温多湿の環境では熱中症のリスクが高まります。初期症状の早期発見と迅速な対処が命を分けることもあり、日常の環境管理と応急対応が非常に重要です。本記事では飼い主さまがすぐに役立てられる知識を、専門的視点を交えてわかりやすく解説します。

猫の熱中症とは
熱中症ってなに?
猫の熱中症は、高温・多湿な環境で身体が過熱し、水分不足(脱水)や循環不良が起こることで、臓器障害やショックに至ることもある緊急疾患です。獣医師の診断・治療が必要なケースが多く、放置は非常に危険です。
なぜ猫は熱中症になりやすいのか?
- 体温調節が苦手:猫は汗腺が限られており(たとえば肉球などにしかない)、人のように全身で発汗して熱を逃がすことができません。
- 品種によるリスク:ペルシャやエキゾチックショートヘアなどの短頭種は、呼吸が苦しく体温を下げにくい構造を持っています。
- 高齢・子猫・持病のある猫:体温調節や水分補給が難しい場合があり、脱水に陥りやすい。

熱中症の症状 — 注意すべきサイン
初期(軽度)のサイン
- 口を開けて呼吸(パンティング)や発汗代わりの呼吸の異常
- よだれが増えたり、粘膜(口や目)が赤くなる
- 落ち着きがなくなったり、ぐったりして元気がない
中〜重度のサイン
- 体温が非常に高く(例:40℃以上になる可能性あり)
- 嘔吐・下痢、筋肉の震えや脱力が見られる
- 意識混濁、失神、けいれん、チアノーゼ(舌や唇が青みを帯びる)などの症状が出る可能性も。
潜在リスク・後遺症
熱中症が治っても、臓器(腎臓・肝臓など)にダメージが残る可能性があります。重症例では再発リスクや多臓器不全を考慮したフォローが必要です。

応急処置(ご自宅でできる対処)
- 涼しい場所へ移動
まずは冷房の効いた部屋、風通しの良い日陰など、安全な涼しい場所へ猫を移します。 - 体を優しく冷やす
濡らしたタオルを首・脇・お腹など血管が多い部分に当て、扇風機などで風を当てて蒸発冷却を図る。 - 水分補給
意識がはっきりしていて自力で飲める場合は、少量ずつ冷たい(しかし氷ではない)水を与える。 - 直接氷水を当てない
氷水や冷凍アイテムを直接当てると、血管が収縮してかえって内部熱が抜けにくくなるので避けるべきです。 - すぐに獣医師に連絡
応急処置は命綱ですが、それだけでは不十分。すぐ動物病院へ連れていき、診察を受けてください。
獣医師が行う治療
- 身体検査・血液検査:体温、脱水状態、腎臓や肝臓の状態、電解質異常などをチェックします。
- 輸液(点滴):脱水を補正し、循環を安定させる。
- 酸素療法:呼吸困難がある場合、酸素を補助的に吸入。
- 慎重な冷却:過度な冷却を避けながら体温を下げる。
- 薬物療法:抗けいれん薬、抗炎症薬、必要に応じて入院集中治療も。

予防策 — 日常生活でできる熱中症対策
室内環境の整備
- 室温を 25~27℃、湿度を 40〜60% に保つのが理想。
- 複数の部屋を「暑い場所」「涼しい場所」に分けて、猫が自由に移動できるようにする。
- キャットタワーや高低差を活かし、猫が涼しいスポットへ移動しやすくする。
水分補給の工夫
- 清潔な水を家中に複数設置。
- 自動給水器(流水型)を活用して飲水を促す。
- 夏季はウェットフードや水分を多く含む食事を取り入れて水分摂取をサポート。
屋外・お留守番時の注意
- 外に出る時間を制限:特に正午~午後は危険。
- 日陰や風通しの良い場所、水飲み場を確保する。
- 車内放置は絶対に避ける。
リスクの高い猫への配慮
- 短頭種・高齢・子猫・持病のある猫は特に注意が必要。
- 夏前に動物病院でチェックを受けておく。
- クールマットや冷感グッズを用意しておく。

回復後・アフターケア
- 熱中症から回復した後も、定期的な血液検査で腎臓・肝臓などの臓器機能を評価が望ましい。
- 特に重症例やリスクの高い猫は、次の夏に向けて予防計画(環境調整・観察ポイント)を獣医師と立てる。
- 飼い主さまご自身が、呼吸パターン・よだれ・食欲・行動などの変化を日常的に観察する習慣を持つ。
飼い主さまとしての気づき
熱中症は、まさに「目に見えない氷山」のようなものです。表に出てくる症状はほんの一部で、内部では脱水や臓器障害が進んでいる可能性があります。だからこそ、日頃から環境を整え、猫ちゃんの様子に敏感であることが命を守る第一歩です。
また、熱中症対策を機に飼い主さまが観察力を高めることは、他の病気(腎疾患、呼吸器疾患など)の早期発見にもつながります。健康管理の習慣を作ることで、かかりつけ動物病院との信頼も深まるはずです。
行動喚起:あなたにできる3つの具体的プラン
- 夏の前に「熱中症予防チェック」を受ける
動物病院で健康診断をお願いし、室温管理や水分摂取のアドバイスを含めた予防プランを立てましょう。 - 家の中に“涼しいマップ”を作る
温湿度計を使って家の各所(寝室、リビング、キャットタワー下など)の温度・湿度を測り、猫が逃げ込める快適スポットを可視化。 - 観察日記を始める
呼吸の速さ、よだれの量、食欲などをスマホやノートに記録。異常を感じたらすぐにご相談ください。

よくある質問(Q&A)
以下、読者(飼い主さま)がよく疑問に思う質問を想定し、簡潔にお答えします。
- Q:猫は本当に熱中症になるの?
A:はい。猫も高温・多湿環境では熱中症にかかります。特に湿度が高いと体温が上がりやすいため、油断は禁物です。 - Q:パンティング(口で呼吸)を始めたらどうすればいい?
A:すぐに涼しい場所に移し、濡れタオルで優しく冷やしながら動物病院に連絡してください。 心臓病でもパンティングをしますので、必ず受診を! - Q:冷却に保冷剤は使ってもいい?
A:保冷剤はタオルで包んで当てるのは可ですが、直接氷や冷凍物を当てるのは避けた方が安全です。 - Q:点滴や酸素治療はどんな場合に必要?
A:脱水がひどかったり、呼吸困難がある場合には輸液(点滴)や酸素吸入が必要になることがあります。 - Q:熱中症の後遺症ってあるの?
A:はい。腎臓や肝臓など臓器にダメージが残る可能性があるため、回復後も定期的な検査が望ましいです。
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