犬と猫の採血は痛い?量は?獣医師が教える検査の必要性と「怖くない」ための工夫🩺

犬と猫の採血法について

最終更新日:2026年3月2日

「かわいそう」を「安心」へ。採血部位の選択から帰宅後に気をつけるべき3つのポイントまで

犬や猫の血液検査について飼い主さま向けに解説したものです。血液検査は内臓機能の評価や病気の早期発見に不可欠な基本検査であり、その目的や具体的な手順が詳しく紹介されています。特に、動物の負担を減らすための「保定」という技術の重要性や、安全に採取できる血液の目安量について丁寧に説明されています。また、絶食の必要性や帰宅後の経過観察といった、飼い主さまがご自宅で注意すべき点にも触れています。全体として、言葉を話せないペットの健康を守るために、定期的な検査がいかに大切であるかを説く内容となっています。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

動物から血液を採取することを、採血と呼んでいます。普段は自分が採血しているので、自分で写真を撮ることができません。他院で撮影させていただいたものを使わせていただきました。


方法・目的・注意点、そしてご自宅で気を付けていただきたいこと

動物病院で行われる検査の中でも、もっとも基本であり、もっとも多くの情報を与えてくれる検査が「採血」です。

「うちの子に注射はかわいそう」
「どれくらい血を取るの?」
「危なくないの?」

そのようなご質問をいただくこともございます。今回は、犬猫の採血について、方法・目的・注意事項、そしてご自宅での注意点まで詳しくご説明いたします。


なぜ採血をするのか? ― 目的について

採血の目的は大きく分けて4つあります。

① 全身状態の把握

赤血球、白血球、血小板の数を調べる血球検査(CBC)により、

  • 貧血の有無
  • 炎症や感染の兆候
  • 出血傾向の有無

などを評価します。

② 内臓機能の評価

生化学検査では、

  • 肝臓(ALT、ASTなど)
  • 腎臓(BUN、クレアチニンなど)
  • 血糖値
  • 電解質バランス

を確認します。症状が出る前に異常を発見できることも多く、特に高齢動物では非常に重要です。

③ ホルモン検査・感染症検査

甲状腺機能、クッシング症候群、猫のFIV・FeLVなど、特定疾患の診断にも血液検査は不可欠です。

④ 麻酔前評価

手術前には、麻酔に耐えられる体の状態かどうかを確認するために必ず血液検査を行います。これは安全確保のための大切なステップです。


どこから血を取るのか? ― 採血部位

採血部位は、個体の性格、体格、必要血液量によって選択します。

犬の場合

  • 前肢の橈側皮静脈
  • 後肢の外側伏在静脈
  • 頸静脈

必要量が多い場合や迅速に確実に採血する必要がある場合は頸静脈を選択することが多いです。

猫の場合

  • 前肢橈側皮静脈
  • 後肢伏在静脈
  • 頸静脈

猫は体が小さいため、できるだけ短時間で、最小限のストレスで終えることが重要です。

首(頚部)の頚静脈↓

前足(前肢)の橈側皮静脈↓

後ろ足(後肢)の上が外側伏在静脈、下が内股静脈↓


保定(ほてい)とは何か?

採血の成功を左右する最重要ポイントはなんといっても「保定」です。

保定とは、動物が安全かつ無理なく検査を受けられるように体を支える技術のことです。単に押さえることではありません。

  • 動物が暴れない
  • 怪我をしない
  • スタッフが安全
  • 最短時間で終了できる

これらをすべて満たす必要があります。

動物看護師の高度な技術と経験が、採血の質を大きく左右します。的確な保定ができれば、針を刺す回数は最小限で済み、採血中の時間も短く、動物のストレスも大きく軽減できます。


どれくらい血を取るの?

健康な犬猫では、体重1kgあたり約1mL程度の採血は安全とされています。

例:

  • 5kgの猫 → 約5mL程度まで安全域
  • 10kgの犬 → 約10mL程度まで安全域

通常の健康診断ではこれよりも少ない量で十分です。

貧血がある場合や脱水がある場合は、さらに慎重に判断します。


採血時の注意点

① 空腹の確認

血糖値や中性脂肪の評価を行う場合など、絶食が必要になることがあります。

② 強い興奮を避ける

興奮すると血糖値や白血球数が一時的に上昇します。できるだけ落ち着いた状態で採血することが望ましいです。

③ 内出血の確認

採血後は必ず圧迫止血を行いますが、特に血小板減少や抗凝固薬使用中の場合は注意が必要です。


採血後、ご自宅で気を付けていただきたいこと

ほとんどの場合、大きな問題は起きませんが、以下をご確認ください。

✔ 1. 採血部位の腫れ

軽度の腫れは問題ありませんが、

  • 急激に腫れる
  • 痛がる
  • 皮下出血が広がる

場合はご連絡ください。

✔ 2. ぐったりする

通常、採血だけで体調が大きく崩れることはありません。
もし帰宅後に元気がない場合は、基礎疾患の影響が考えられます。

✔ 3. 激しい運動は避ける

当日は激しい運動は控えてください。特に頸静脈採血後は強い首輪の圧迫を避けた方が無難かもしれません。


動物の採血は人より大変?

「人でも採血は嫌なのに、動物はもっと大変ですよね」と言われることがあります。

確かに、動物は言葉で説明できません。
「じっとしていてね」と伝えることはできません。

だからこそ、

  • 的確な保定
  • 素早く正確な穿刺
  • 不要なやり直しをしない技術

が重要になります。

私たちは、できる限り「怖くない体験」にする努力をしています。


定期的な血液検査のすすめ

犬猫は人よりも早く年齢を重ねます。

7歳以上は年2回、10歳以上は季節ごとの血液検査をおすすめしています。

症状が出る前に異常を見つけることができれば、治療の選択肢は大きく広がります。


まとめ

採血は決して「ただ血を取る」行為ではありません。

  • 体の内側を知るための重要な情報源
  • 麻酔の安全性を確保する手段
  • 病気の早期発見につながる検査

そしてその成功の鍵を握るのが、保定技術です。

私たちは、できるだけ短時間で、できるだけ負担が少なく、しかし必要な情報は確実に得ることを大切にしています。

不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。

大切なご家族の健康を守るために、採血という小さな一歩が、大きな安心につながります。


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