ハムスターが目を閉じる原因とクリニックでの対応

ハムスター

ハムスターは、小さくて愛らしいペットとして世界中で人気があります。ハムスターは目が比較的跳び出しています。その関係からか、眼の症状が多いです。飼い主さまに気付いてもらいやすいというのも受診が多い理由だと思います。彼らの健康を維持するためには、目を閉じるという症状が何を意味するのかを理解し、それに対する適切な対応を知ることが重要です。以下では、ハムスターが目を閉じる主な原因と、その症状に対するクリニックでの対応について説明します。

目を閉じる原因

1. 脱水

たいていは、眼の異常だけではなく、なんらかの体調不良を伴って来院されます。脱水によって、本来のサラサラ涙が、ベトベト涙に変化することで、それが接着剤のようにして、まぶたを閉じさせてしまうのです。これで目が開かなくなってしまっていることが多いです。
これは私の体験談なのですが、薬品が眼に入ってひどい炎症を起こし、目やにがひどかったときのことです。朝起きたら眼が開かずにびっくりしました。瞼を開く筋力というのは意外と弱いのだと分かりました。

2. 感染

結膜炎(ピンクアイ)
結膜炎は、細菌やウイルス、またはアレルギー反応によって引き起こされる目の炎症です。目が赤くなり、涙や目やにが増えることがあります。結膜炎の症状には、目をこする、目が腫れる、光に対して過敏になる(まぶしがることを羞明といいます)などがあります。これらの症状がひどくなると、ハムスターは目を閉じてしまうことがあります。

角膜潰瘍
角膜潰瘍は、角膜に傷や潰瘍ができる状態です。これも細菌感染や外傷、または化学物質への曝露が原因となることがあります。角膜潰瘍が進行すると、痛みを引き起こし、目を閉じる原因となります。

3. 外傷

目の外傷
ハムスターは小さくて敏感な動物であり、ケージの中での活動や他のハムスターとの接触で目に外傷を負うことがあります。目に傷がつくと、痛みや不快感が生じ、目を閉じることがあります。

4. アレルギー

ホコリ、煙、香水、化学物質などが原因で、ハムスターにアレルギー反応が起きることがあります。目のかゆみや炎症、涙が出るなどの症状が現れ、ハムスターが目をこすったり閉じたりすることがあります。症状が長引くと、眼の周囲が濡れて、脱毛が生じてきます。

※上が初日、下が点眼7日目です。ご自宅で点眼していただきますが、目薬のひと雫は、彼らの目より大きいです。それでまた目の周りが濡れます。点眼後はティッシュなどで優しく水けを取ってあげるといいですね。

5. 瞼のできもの

油っぽい涙を作るマイボーム腺という所に分泌物や膿が溜まります。これが原因で目が開かなくなることがあります。手術で小さな穴を開けて絞り出すことが多いです。しかし再発症状を繰り返すことが多いです。

クリニックでの対応

ハムスターの目を閉じる原因を特定し、適切な治療を行なうためには、動物病院での専門的な診断とケアが必要です。以下は、当院での一般的な対応方法です。

1. 診察と診断

視診と問診
獣医師はまず、ハムスターの目の状態を視診します。赤み、腫れ、目やに、涙などの症状を確認します。また、飼い主さまからの詳細な情報を基に、ハムスターの生活環境や行動、症状の経過を把握します。ですので、事前問診票での、ケージ写真は重要なのです。初回に写真を添付していただけないことが多いのですが、診断上とても大切なことなのです。しかし原因はさまざま考えられますが、ほとんど特定できません。

細菌検査と培養
結膜炎や角膜潰瘍が疑われる場合、獣医師は目の分泌物を採取して細菌検査を行ない、感染の有無を確認します。培養を行なうことで、感染の原因となっている細菌に有効な抗生物質の特定が可能です。

染色検査
角膜潰瘍が疑われる場合、フルオレセイン染色を使用して角膜の傷や潰瘍の位置と範囲を確認します。この検査では、特定の染色液を目に滴下し、青い光を当てて傷や潰瘍を見つけます。

2. 治療

抗生物質と抗ウイルス薬
細菌感染が確認された場合、獣医師は抗生物質の点眼薬を処方します。ウイルス感染の場合は、抗ウイルス薬を使用することがあります。これにより、感染の拡大を防ぎ、炎症を抑えます。

抗炎症薬と鎮痛薬
炎症や痛みがひどい場合、抗炎症薬や鎮痛薬を併用することがあります。これにより、ハムスターの快適さを保ち、目を開けやすくします。

人工涙液
乾燥が原因で目を閉じている場合、人工涙液を使用して目の潤いを保ちます。これにより、乾燥による不快感を軽減し、目の健康を維持します。

環境改善
アレルギーが原因の場合、ハムスターの生活環境を見直し、アレルゲンを取り除くことが重要です。ホコリや煙、強い香りのする物質を避けるようにします。

3. フォローアップ

再診と経過観察
治療が始まった後も、定期的な再診と経過観察が必要です。ハムスターの目の状態が改善しているかを確認し、必要に応じて治療を調整します。

飼い主さまへのアドバイス
獣医師は飼い主さまに対して、ハムスターのケア方法や環境管理についてアドバイスを行ないます。例えば、目のケアの方法、清潔な生活環境の維持、ストレスの少ない環境づくりなどです。

日常的なケアと予防

ハムスターが目の健康を保つためには、日常的なケアと予防が重要です。以下は、飼い主さまが実践できるケアの方法です。

1. 清潔な環境の維持

ハムスターのケージを定期的に清掃し、清潔な状態を保ちます。特に、寝床やトイレのエリアは毎日確認し、汚れを取り除きます。換気性、床材の種類、トイレ砂など、様々な要因が眼の疾患に関与していると思われます。

2. アレルゲンの管理

ハムスターがアレルギー反応を起こしにくい環境を整えます。ホコリや煙、強い香りのする物質を避け、換気の良い場所にケージを置きます。まずは、床材の撤去を最低限の対策としていただいております。床材は商品がたくさんありますが、それぞれ一長一短があり、ベストを目指すよりも、ベターを目指す感じです。

3. 目の定期的なチェック

ハムスターの目の健康状態を定期的にチェックし、異常がないか確認します。目の赤みや腫れ、涙や目やにが増えている場合は、早めに獣医師に相談します。

4. ストレスの軽減

ハムスターがストレスを感じないように、静かで安全な環境を提供します。過度な騒音や頻繁な移動、過剰なハンドリングを避けます。

結論

ハムスターが目を閉じる原因は多岐にわたりますが、適切な診断と治療を受けることで多くの問題は解決できます。飼い主さまとしては、ハムスターの健康状態を日常的にチェックし、異常があれば早めに獣医師に相談することが重要です。クリニックでは、専門的な診断と治療が行なわれ、ハムスターの目の健康を回復させるための最善の方法が提供されます。ハムスターが健康で快適に過ごせるよう、日々のケアと環境管理を心掛けましょう。

番外編 ~ハムスターの目が跳び出した~

強く持ったりすると、目が収まっている浅いくぼみ(眼窩)から、目が跳び出して、戻らなくなってしまうことがあります。救急外来で処置しています。

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※現在、初診ハムスターの受付は中止しております。申し訳ございません。

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