犬の認知症(認知機能不全)とは?|夜鳴き・徘徊・ぼんやり…治療薬とサプリの最新対策を獣医師が解説🐶

高齢犬の認知症には

最終更新日:2026年1月13日

犬の認知機能不全は治療できる?お薬・サプリ・食事を解説

高齢犬の認知症(認知機能不全)に悩む飼い主さまに向けて、獣医師が最新の治療法やケアのあり方を解説したものです。加齢による衰えと諦めず、投薬やサプリメント、療法食を組み合わせることで、症状の進行を遅らせ生活の質を維持できるというお話です。具体的には、脳を活性化するセレギリンという薬や、脳の健康を支えるSAMe(エスアデノシルメチオニン)、抗酸化成分の活用を紹介しています。さらに、医学的なアプローチだけでなく、昼夜のメリハリをつけた生活環境の整備が、愛犬の安心感に繋がる重要な要素の1つです。早期発見と多角的なサポートによって、シニア犬との穏やかな毎日を守ることが可能です。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

ワンちゃんの認知症は、何もできない病気ではありません。近年は、お薬・サプリメント・食事の工夫によって、症状の進行を緩やかにできるようになってきました。本記事では、その選択肢を分かりやすく解説します。


シニア犬の「認知機能不全」

― お薬・サプリメントでできるサポートとは ―

「最近、夜にウロウロするようになった」
「名前を呼んでも反応が鈍い」
「トイレを失敗することが増えた」

こうした変化は、単なる老化ではなく「犬の認知機能不全」が関係していることがあります。

近年は、お薬やサプリメントによって症状の進行を緩やかにし、生活の質を保つことが可能になってきました。


犬の認知機能不全とは?

犬の認知機能不全(Canine Cognitive Dysfunction)は、人の認知症に似た脳の老化による病気です。

主に次のような症状が見られます。

  • 夜鳴き・昼夜逆転
  • ぼんやりして反応が鈍い
  • 同じ場所をぐるぐる回る
  • トイレの失敗が増える
  • 飼い主さんとの関わりが減る

大切なのは、
👉 「年のせいだから仕方ない」と決めつけないことです。


認知機能不全の治療は「組み合わせ」が基本です

犬の認知機能不全では、

  • 脳内の神経伝達物質の低下
  • 酸化ストレス(脳の「サビ」)
  • 脳のエネルギー不足

などが同時に起こっています。

そのため、治療は、「お薬+食事+サプリメント+生活環境の工夫」を組み合わせて行います。

① 獣医師が処方するお薬

● セレギリン(代表的なお薬)

現在、認知機能不全に対して最も実績のあるお薬です。

期待される効果

  • ぼんやり感の改善
  • 活動性の向上
  • 夜鳴きや昼夜逆転の軽減

特徴

  • 脳内の「やる気」や「覚醒」に関わる物質を保つ働き
  • 効果が出るまで2~4週間ほどかかることがあります

※すべてのワンちゃんに同じ効果が出るわけではありませんが、最初に検討されることが多い治療薬です。


② サプリメントによるサポート

● SAMe(エスアデノシルメチオニン)

脳や肝臓の健康を支える成分で、シニア犬の認知機能サポートとして注目されています。

期待されるサポート

  • 活発さの維持
  • 反応性・意識のクリアさの改善
  • 脳の酸化ストレス軽減

ポイント

  • 即効性より「じわじわ支える」タイプ
  • お薬と併用されることが多い

動物医薬品メーカー大手ビルバック社は、犬の加齢に関連した認知機能障害の改善に、S-アデノシルメチオニン(SAMe)経口投与が有効ではないかという報告を発表しました。

最低でも1カ月以上認知機能障害を示している犬を対象に、SAMeを体重1kgあたり18mg経口投与した犬17頭と、SAMeではないタブレットを与えられた19頭(プラシーボ群)に分けて、2カ月間の実験が実施されました。認知機能改善の効果判定は、14項目の行動と運動に関するアンケートを飼い主に記入してもらう形で実施。

その結果、プラシーボ群に対して、投与群では活発性が増すということが分かりました。4週間後では投与群41.7%、プラシーボ群の2.6%に活発性が増し、8週間後では投与群57.1%、プラシーボ群の9.0%で活発性の向上がみられたのです。

意識がはっきりしているかの評価でも同じ傾向がみられ、4週間後では投与群33.3%、プラシーボ群の7.9%、8週間後では投与群59.5%、プラシーボ群21.4%で改善がみられました。

アンケート結果の総計では、投与群の41.2%とプラシーボ群の15.8%で、認知機能障害が以前と比べて50%以上減少したと報告されています。

認知機能改善の効果判定は飼い主様の自己申告をもとに行なわれたため、「薬を飲んでいるから良くなった」と思い込むプラシーボ効果の影響が考えられます。その影響を減らすため、今回の実験ではSAMeが入ったタブレットとそれが入っていない偽のタブレットを与えています。飼い主様は、自分が与えているのが有効成分入りか、そうでないか知らされていません。SAMeを与えられていない群でも改善効果がみられたのは、プラシーボ効果によるものと考えることができます。

もともと、肝臓機能改善のサプリメントですが、こういう効果も期待できます。

● 抗酸化サプリメント(ビタミンEなど)

脳の老化の原因の一つである、「酸化(サビ)」を抑える目的で使われます。

期待される役割

  • 認知機能低下の進行を緩やかにする
  • 他の治療の土台を支える

● オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)

脳の細胞膜を構成する重要な成分です。

期待される役割

  • 脳の情報伝達をサポート
  • 神経の健康維持

③ 認知機能ケア用の食事

近年は、脳のエネルギー不足に着目した療法食も使われています。

特徴

  • 脳が使いやすいエネルギー源を配合
  • 抗酸化成分を強化

食事を変えるだけで、「少し元気になった」「反応が良くなった」と感じる飼い主さまもいらっしゃいます。


④ 薬やサプリと同じくらい大切な「生活環境」

どんな治療でも、生活環境の工夫が効果を大きく左右します。

  • 昼間はできるだけ声掛け・散歩
  • 夜は照明を落として安心できる環境
  • 家具の配置を固定する
  • 急な模様替えは避ける

👉 「混乱させない」「安心させる」ことが最大の治療です。


できることは、思っている以上にあります

犬の認知機能不全は、

❌ 何もできない老化現象
ではなく
⭕ 早く気づき、適切にサポートすることで生活の質を保てる病気です。

  • お薬
  • サプリメント
  • 食事
  • 環境づくり

を組み合わせることで、「その子らしい穏やかな毎日」を守ることができます。

「これって認知症?」と感じたら

高齢犬といっしょに暮していて、「もう年かなぁ」と感じていらっしゃる飼い主様、当院にご相談くださいね。

早めの対応が、その後の生活を大きく左右します。

その後ですが、SAMe 単独で犬の認知機能障害に対する有効性を確立した大規模・高品質な欧米 RCT は、2026年1月の現時点では存在しません。既存報告は小規模・主観評価中心であり、「有用性の可能性あり」とするに留まっています。専門家の一部は補助的に使用していますが、標準治療としては他の薬剤・介入(例:Selegiline や食餌・生活環境戦略)と組み合わせたマルチモーダルアプローチが主流です。

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#動物病院 #豊田市 #高齢犬

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