最終更新日:2026年5月31日
赤い尿=血尿とは限らないが、放置は危険なこともあります。
この資料は、ウサギやチンチラ、モルモットなどの小動物に見られる赤い尿の原因について、アロハオハナ動物病院が詳しく解説したものです。飼い主さまが驚きやすい尿の変色は、必ずしも病気とは限らず、植物色素の影響による一時的なケースも多々あります。一方で、尿路結石や子宮疾患といった重大な疾患、あるいは過剰なカルシウム排泄が原因である可能性についても言及されています。記事内では、正確な判断のために排尿の頻度や量を記録することの重要性が説かれており、専門的な検査の必要性も強調されています。最終的には、愛玩動物の健康を守るために、早期の獣医師への相談と日頃の管理が不可欠であることを伝えています。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
赤色尿の原因と注意すべきポイント
尿は薄い黄色という印象があると思いますので、ウサギ、モルモット、チンチラ、デグーを飼育していて、赤い色の尿が現れた場合、飼い主の方々が不安に感じるのは当然のことです。しかし、赤色尿が必ずしも病気を示すわけではありません。実際、ウサギやモルモット、チンチラ、デグーなどでは、赤色尿が見られることがありますが、その原因は様々です。

上のような濁った赤茶色の尿が出ると驚かれるかもしれません
まずは、赤色尿が病気のサインである可能性から見ていきましょう。その場合には、その赤い色は血液成分の可能性です。腎臓で作られた尿は尿管、膀胱、尿道を通って外部に排泄されます。その経路を尿路といいます。この尿路からの出血に由来する可能性があります。これ以外にも、特に避妊手術していない雌個体では、子宮からの出血を疑います。むしろ、こちらを疑う場面が多いです。
1.尿路からの出血(本当の血尿)
最も重要なのが、腎臓・尿管・膀胱・尿道といった「尿路」からの出血です。
代表的な原因には、
- 膀胱炎
- 尿路感染症
- 尿路結石
- 尿道閉塞
- 腎障害
- 外傷
などがあります。
特にウサギやモルモットではカルシウム代謝が特殊で、尿中に大量のカルシウムを排泄する性質があります。そのため、膀胱内に“砂状沈殿物(スラッジ)”や結石が形成されやすく、これが膀胱粘膜を傷つけて血尿を起こします。
チンチラでも尿石症は重要な疾患で、特に尿道が細いため閉塞を起こしやすいとされています。排尿障害が長引くと急性腎不全や尿毒症に進行することがあります。
2.子宮からの出血
未避妊の雌個体では、実際には「血尿」ではなく、子宮からの出血が尿に混ざって見えていることがあります。
特に注意が必要なのは、
- 子宮腺癌
- 子宮内膜過形成
- 子宮炎
- 子宮蓄膿症
などです。
ウサギでは高齢未避妊雌の子宮腺癌発生率が高いことがよく知られており、「赤い尿だと思ったら子宮疾患だった」というケースは珍しくありません。外見だけでは区別できないため、超音波検査やレントゲン検査が重要になります。
3.溶血による赤色尿
赤血球が体内で壊れる「溶血」が起こると、ヘモグロビンが尿中へ排泄され、赤色尿になることがあります。
原因としては、
- 中毒
- 重度感染症
- 自己免疫疾患
- タマネギなどによる酸化障害
などが考えられます。
頻度は高くありませんが、全身状態の悪化を伴う重症例では重要な鑑別疾患です。
これらの動物では、過剰なカルシウムがに尿中に排泄されることが特徴ということです。カルシウム尿症として知られるこの状態は、泌尿器系の問題や代謝異常に関連している場合があります。これには、尿路結石や尿路感染症などが含まれます。カルシウム尿症は、尿の色だけでなく、他の症状も引き起こす可能性があります。たとえば、頻尿や排尿時の痛み、尿失禁などがあります。

1枚目の尿を遠心分離すると、白い砂のようなものが沈殿していますが、これがカルシウムです。
こちらもご覧ください→モルモットの赤色尿:雄雌で異なる原因とエキゾチック診療の視点
赤色尿の非病的原因
次に、赤色尿が病気ではない場合も考えていきましょう。 βカロテンやポルフィリン色素 などの植物性の色素が尿中に含まれていることがあり、これが尿を赤色に染めることがあります。例えば、ビーツやニンジン、その他の赤い野菜を食べた場合、その色素が尿に反映され、赤色尿を引き起こすことがあります。この赤色色素は、植物の種類、産地、収穫時期、または、個体の体調(高温、ストレス)によって、様々に変化すると言われています。同様に、染料や他の外部物質が消化器系を通過した後、尿中に排出されることもあるようです。そのような場合、赤色尿は一時的なものであり、健康状態に影響を与えることはありません。
赤色尿の管理と健康維持の重要性
しかし、赤色尿が続く場合や他の異常が見られる場合は、病院で獣医師に診察してもらうことが重要です。
赤色尿の原因を特定するためには、飼い主の方々が注意深く観察することが不可欠です。尿の色や量、排尿頻度などはきちんと記録し、食欲や排便などの状況と併せて、獣医師に提供することで、適切な診断と治療が行われる可能性が高まります。
獣医師は、身体検査に加えて、尿性状の検査、さらにX線検査、超音波検査などを組み合わせて、診断結果を総合的に判断します。

上記の尿に血液が入っていた場合には、「潜血」のベージュ色が緑色に変化します
ご自宅での採尿方法
赤い尿が出た場合、できるだけ早く動物病院を受診することが大切ですが、採取した尿を持参していただくと、より迅速かつ正確な診断につながります。ここでは、ウサギ・モルモット・チンチラ・デグーなどからご自宅で尿を採取する方法をご説明します。
なぜ尿を持参するの?
病院での「カテーテル採尿」や「膀胱穿刺」も診断に有効ですが、自然排尿した尿は、動物への負担なく採取できるという利点があります。特に「赤い尿が出た!」と気づいたタイミングに採取できると、その尿をそのまま検査に活かせます。
採取のタイミング
- 気づいたそのときが最善です。尿は時間が経つと成分が変化するため、できれば排尿後30分以内に採取・冷蔵保存し、当日中にご来院してください。こちらもご覧ください→おしっこ外来
- 朝一番の尿(早朝尿)は濃縮されており検査に適しています。
採取方法
【用意するもの】
- 清潔な容器(蓋つきの小瓶、薬局で売っている尿検査用カップなど)
- ラップ(トレイの底に敷く場合)
- スポイドやシリンジ(100円ショップでも入手可)

【手順】
- ケージのトイレトレイをいつも以上にきれいに洗い、乾燥させておきます。 床材は一時的に外し、トレイの底にラップを敷くと尿が吸収されず採取しやすくなります。
- 動物が排尿するまでこまめに気にして待ちます。 無理に促す必要はありません。ストレスを与えると排尿しにくくなることがあります。
- 排尿したらすぐにスポイドや小さなシリンジでおしっこだまり(下記の写真のようにおしっこがスノコの下に落ちずに残っています)から吸い取り、蓋つき容器に入れます。 最低0.5~1ml程度あれば検査可能です(多いほど望ましい)。
- 容器に採取時刻を書いたメモを貼り、冷蔵庫(冷蔵室)で保存します。 凍らせないようにご注意ください。

注意点
- 床材(牧草・おがくず等)が混入した尿は検査精度が落ちます。 採取の際はできるだけ異物が入らないよう気をつけてください。
- 下記のように、床材に滲み込んでしまった場合には、採取できないのですが、念のためにお持ちください。
- 赤い尿が採取できなかった場合でも、ご来院てください。 道中で排尿するかもしれませんので、キャリー内も採尿できるような床にしてきてください。
- 雌個体では、外陰部周囲に血液が付着していないかも併せて確認しておくと、子宮疾患との鑑別に役立ちます。


持参前の記録もお忘れなく
採取した尿に加えて、以下をメモしてお持ちいただくとより正確な診断につながります。
- 赤い尿に気づいた日時・回数
- 最後に食べた食材(特に赤・橙色の野菜:ニンジン、パプリカ等)
- 排尿の頻度・量(多い・少ない・ほとんど出ていない)
- 食欲・元気の有無
尿が「まったく出ていない」「排尿姿勢をとるが出ない」場合は緊急性が高いです。採尿を試みる前に、すぐにご連絡ください。
最後に、ウサギやモルモット、チンチラ、デグーなどの小動物の場合、健康管理の重要性も強調しておきたいと思います。定期的な健康チェックやバランスの取れた食餌、適切な運動などは、これらの動物の健康状態を維持する上で不可欠です。健康問題が発生した場合は、早めに専門の獣医師に相談し、適切なケアを受けることが大切です。
まとめると、赤色尿が現れた場合は、まずは動物病院を受診して獣医師の指示に従い、適切な対処を行うことが重要です。赤色尿が一時的なものであれば安心ですが、病気のサインである可能性もあるため、早めの対応が重要なのです。
よくあるQ&A
Q1.赤い尿が1回だけ出ました。様子見でも大丈夫?
1回のみでも、初回は動物病院で確認することを推奨します。
Q2.赤い尿=血尿ですか?
違います。草食小動物では色素尿も非常に多いです。
Q3.ウサギで特に多い原因は?
色素尿と子宮疾患、カルシウムスラッジが重要です。
Q4.チンチラでも血尿はありますか?
あります。尿石症や膀胱炎は重要疾患です。
Q5.モルモットでも結石になりますか?
はい。カルシウム結石が問題になります。
Q6.家で血尿か確認できますか?
完全には困難です。尿試験紙でも誤判定があります。
Q7.避妊していない雌は危険ですか?
高齢になるほど子宮疾患リスクが上昇します。
Q8.赤い野菜を食べると尿が赤くなりますか?
なることがあります。特にウサギでは有名です。
Q9.尿が白く濁るのは異常ですか?
草食小動物ではカルシウム尿で白濁することがあります。
Q10.すぐ受診すべき症状は?
「尿が出ない」「食欲低下」「元気消失」は緊急性があります。
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