
ヒョウモントカゲモドキの飼い方について
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)は、ヤモリの仲間の爬虫類(イモリは両生類)で、アフガニスタンやパキスタンなどに生息する生き物です。美しい鱗の模様や色彩(モルフ、品種)や性格が様々で、成長と共に変化することも人気が高い理由です。体型が小さいのもおすすめの理由です。販売店で購入の際は価格だけではなく健康状態を比較し、用品をそろえて飼育環境を確保しておくことが大切です。給餌には栄養バランスの良いフードやコオロギなどの昆虫を選び、ピンセットで与えましょう。大がかりな飼育セットは不要で、比較的簡単に飼育を始められるので、初心者向けともいえます。夜行性のため照明より温度管理を重視し、暮らす空間の広さなどの基本を理解してレイアウトしましょう。繁殖を狙って多頭飼いする際には、性別やモルフの特徴、情報を集め、健康管理方法を学び、適切な環境を保つことで、比較的寿命の長いヒョウモントカゲモドキの姿を長く楽しめます。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
ヒョウモントカゲモドキの飼育環境について、獣医学的な観点からお話しさせていただきます。
どの種類にもいえることですが、ベストを目指すより、ベターを目指す感じです。
こちらの飼育ケージについて見てみましょう。

サイズは少し小さめですね。しかし軽くて取り扱いがしやすいのは、大きなメリットです。掃除がしやすいからです。
ヒョウモントカゲモドキにとって理想的なケージのサイズは、探餌や体温調節などの自然な行動を可能にするのに十分な大きさであるべきです。目安としては、ヒョウモントカゲモドキ1頭を飼うのに60cm(縦)×30cm(横)×30cm(高さ)のケージがお勧めです。これくらいのサイズがあると、彼らが動き回り、登り、縄張りを維持するのに十分なスペースを提供します。
本格的な飼育者にとってはこれでは物足りないかもしれません。より多くのエンリッチメントの機会を与え、自然の生息環境をよりよく模倣することができるには90cmくらいあった方が理想的といえるかもしれません。しかし、維持するのが大変なので、個人的にはここまでこだわらない方がいいと思っています。大きいものは重いので、掃除は非常に骨の折れる作業になってしまいますので、面倒になり、衛生管理に不行き届きが生じるのが大きなリスクです。
ヒョウモントカゲモドキの体温調節のニーズに対応するため、適切な換気、隠れ場所、温度勾配(暑い側と涼しい側)があることを確認することが重要です。さらに、掘るための適切な床材を用意し、囲いが脱走防止になっていることを確認してください。
こちらのケージはどうでしょう。

スペースとしては、個人的には十分なような気がします。
床材はどうでしょう?
ここではペットシーツが使われていますね。毎日交換できるのでいいですね。掘って中身が出ないように、使用開始時は注意が必要ですね。

新聞紙やペーパータオルは?
とても経済的ですが、インクで体が汚れるかもしれませんし、もしかしたらインクが毒になるかもしれません。動くとずれてしわくちゃになって、その下に潜り込んで、ケージ底面を直接汚してしまうかもしれません。
じゃあ、人工芝は?
足元が安定しますし、ペットシーツや新聞紙よりも味気なさが軽減されますね。しかし、排泄物がきちんと取れないので、洗い替えが必要ですね。

上記3種がベターな気がします。
野生の棲息環境を模していないので、味気ないですか?
野生では、どのようなところで、ヒョウモントカゲモドキたちは暮らしているのでしょうか?

野生のヒョウモントカゲモドキは、主に岩だらけの砂漠や岩場、乾燥した草原など、乾燥した環境で見られます。これらの地域は非常に乾燥しており、日中の温度は高く、夜間は急激に下がります。彼らは日中は岩の隙間などで避暑し、夜になると餌を求めて活動しているようです。
床材は、自然な環境を模倣するために、砂地、岩、または岩の隙間を模した材料が理想的と言えそうです。
その場合には、床材として石板を敷いてもいいと思います。重くて掃除が大変で、ガラスが割れてしまうかも?

理想的な環境を模倣するといってもお勧めしないのは、「口に入るもの」。土、砂、細かな砂利、人工ソイル、バークチップ、ペレット・・・。食べても大丈夫と書いてあっても、お勧めできません。
誤飲事故が多いことと、衛生状態が保てないからです。

ここで注意していただきたいのは、しっかり検便をしてあるかどうかということです。寄生虫がいる場合には、環境、とくに、排泄物が付着する床材は感染源になります。もし、こまめに取り替えられないものを採用してしまうと、次から次へと寄生虫が増えてしまう恐れがあります。これを濃厚感染といいます。少数であれば症状が出ないかもしれませんが、濃厚感染すると重症化してしまいます。
検便の重要性については、別のブログでお話しさせていただいていますので、そちらをご参照ください。

こんな感じで岩陰に隠れているかも。
シェルターはマストアイテムですね。中に入ったり、上に登ったり。
砂漠地帯では、夜になると急激に気温が下がり、大気中の水分が夜露となって、隠れている岩肌や草木に着いていると思います。そのため、隠れている場所は周囲と比較して湿度が高いと言われています。
これをウェットシェルターが代用してくれると思います。
水はどうやって飲んでいますか?
水入れから飲んでいるのを見たことがありますか?

乾燥昆虫食中心になってしまうと、脱水していることが多いようです。水入れや置物・ケージ壁に霧吹きして、積極的に水分補給をしてあげましょう。
脱水はヒョウモントカゲモドキの致命傷となるかもしれませんので、十分注意してください。
ヒョウモントカゲモドキの致命的となりうる脱水は生活習慣病かもしれません
脱皮対策として、流木や岩石があるとよさそうです。
この脱皮も、脱水が原因で、脱皮不全になってしまうことがあります。

保温器具はとても大事です。ケージ内空気を暖めるのがいいと思います。ライトを使って、その照射野を暖めるのもいいです。
床に置くパネルヒーターはどうでしょう?
保温には力不足で、場所によっては低温火傷を負います。

この写真はヘビの腹部の低温火傷です。
ヒョウモントカゲモドキはシェルターに隠れてじっとしていることが比較的多いので、シェルター直下に設置すると、火傷するかもしれません。
保温灯ライトの真下は完全なホットスポット。石板を置いておくと、それが温まるので、上からも下からも温まることができます。しかも、しばらく居ると、自分の陰で、温度も下がると思います。
温度湿度計も寒暖のある2カ所に設置することをお勧めします。
ベストはありません、ベターを目指しましょう!
問題です!
一番上の飼育ケージの写真、改善ポイントを考えてみてくださいね。
P.S.爬虫類が動物病院を受診するときには、温度管理をしてお連れください。
Q1. ヒョウモントカゲモドキの飼育に必要な基本用品は?
A. 飼育ケージ、パネルヒーターなどの保温器具、ウェット・ドライシェルター、水入れ、サプリメント、床材(キッチンペーパーや爬虫類用マット)を用意します。
Q2. 餌は何を与えればいいですか?
A. 主にコオロギやミールワーム、デュビアなどの昆虫を与えます。カルシウム剤とビタミン剤を定期的に添加することが重要です。人工フードも便利です。
Q3. 適切な温度と湿度はどれくらい?
A. 日中のホットスポットは約32℃、クール側は26℃前後が理想です。湿度は40〜60%を保ち、脱皮前は湿度を高めに調整します。
Q4. オスとメスを一緒に飼っても大丈夫?
A. 基本的には単独飼育が推奨です。オス同士は激しく争い、繁殖期のオスはメスを追いかけ回してストレスを与えることがあります。
Q5. 脱皮不全の原因と対処法は?
A. 主な原因は乾燥と栄養不足です。湿度の確保と栄養バランスの取れた給餌、またはウェットシェルターの設置で予防できます。残った皮はぬるま湯で柔らかくして除去します。
「ヒョウモントカゲモドキを安心して丁寧に診てもらえる病院」を探すあなたへ
小動物専門・エキゾチック対応のエキゾチックアニマル診療科のある当院では、皆さまのご協力のおかげで完全予約制を維持できております。本来最も時間のかかる問診票を、お時間のあるご自宅でゆったり確実に記入していただいています。そのため、本質的なお話の時間を取ることができています。それでもお話・ご質問があるという場合にも、LINEで完全にフォローさせていただいております。大切なご家族(”Ohana”)のことですから、一人の信頼できる獣医師に診てもらいたいですよね。LINE初診予約、ご相談や健康チェックもお気軽にどうぞ。
→【LINE予約はこちら】
→【症例紹介ページを見る】
アロハオハナ動物病院 かもがわ公園小動物クリニック
愛知のヘソ豊田市周辺の岡崎市、日進市、安城・刈谷・名古屋市にお住いのヒョウモントカゲモドキの飼い主さまへ
当院の獣医師はエキゾチックペット、猫、小型犬などの広範な動物種に対する専門的な知識と豊富な経験を有しております。どんなペットにも信頼できるケアを提供いたします。
つまり、あらゆるペットに対応する総合的な診療を行なうことができます。
どんなお悩みもお気軽にご相談ください。多岐にわたるペットの医療に精通した獣医師が、どのペットにも最適な治療を提供いたします。注文は多いけど日本一頼りになるトカゲ病院を目指しています。
かもがわ公園小動物クリニックは愛知県豊田市役所高橋出張所前のかもがわ公園の近くにございます。
#動物病院 #豊田市 #ヒョウモントカゲモドキ
ヒョウモントカゲモドキの病気のことなら、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック
愛知県豊田市東山町の動物病院















この記事へのコメントはありません。