ユリは猫に危険!中毒症状と今すぐ動物病院を受診すべきサイン🐱

ゆり中毒とは

猫のユリ中毒とは?|花粉だけでも危険な理由と腎不全の初期症状【獣医師解説】

最終更新日:2026年1月1日

猫とユリ中毒について、症状チェックと動物病院に相談するタイミングを獣医師が解説します。
猫にとってユリは、少量でも急性腎不全を起こし得る非常に危険な植物です。花粉を舐めるだけでも中毒を起こす可能性があり、早期対応が予後を左右します。
嘔吐や元気消失、尿量の変化などの症状が見られたら、時間を空けず動物病院への連絡が必要です。
日常からユリを室内に置かない工夫と、万一のときにすぐ相談できる動物病院を把握しておくことが大切です。

こんにちは。アロハオハナ動物病院 かもがわ公園小動物クリニック院長です。

「ユリとネコ」──少し文芸的で、どこかやさしい響きのある言葉ですが、獣医師の立場から見ると、この組み合わせほど危険なものはありません。特に夏から初秋にかけては、街中やご家庭、贈答用の花束など、ユリを目にする機会が一気に増えます。猫ちゃんと暮らしている飼い主様には、ぜひ“命を守る知識”として知っておいていただきたい重要なテーマです。

■ ユリは猫にとって「猛毒」です

結論からお伝えします。ユリ科植物(Lilium属、Hemerocallis属など)は、猫にとって極めて強い毒性を持ちます。これは「少量なら大丈夫」「花だけ避ければいい」といったレベルの話ではありません。花、葉、茎、花粉、さらには花瓶の水に至るまで、ユリに由来するものはすべてが危険です。

アメリカの獣医内科学分野では、このユリ中毒は急性腎障害(Acute Kidney Injury: AKI)を引き起こす代表的中毒として広く知られています。摂取量がごく微量であっても、数時間から24時間以内に腎機能が急激に低下し、適切な初期治療が行われなければ、不可逆的な腎不全や死亡に至ることがあります。

■ 「食べなくても中毒になる」怖さ

ユリ中毒の特に恐ろしい点は、「猫がユリを食べたとは限らない」ということです。

・花粉が被毛に付着する
・猫が通常の毛づくろい(グルーミング)をする
・結果として花粉を舐め取り、体内に取り込んでしまう

このような経路でも、中毒が成立します。つまり、花瓶に活けたユリの近くを通っただけ、あるいは部屋に飾ってあっただけでも、猫ちゃんの行動次第で命に関わる事態が起こり得るのです。

実際、北米の症例報告では「飼い主は一切ユリを食べていないと証言しているが、花粉曝露のみが原因と考えられる腎不全例」が複数報告されています。

■ 症状は初期ほど分かりにくい

ユリ中毒の初期症状は、決して劇的ではありません。

・元気がない
・食欲が落ちる
・嘔吐(1〜2回程度)
・少し隠れて寝ている時間が増える

こうした症状は、夏場であれば「暑さのせいかな」「ちょっと胃腸の調子が悪いのかな」と見過ごされがちです。しかし、その裏では腎臓の尿細管が急速に障害され、回復不能なダメージが進行している可能性があります。

24〜48時間が経過すると、
・尿量の低下(乏尿〜無尿)
・脱水
・口腔内潰瘍
・重度の沈鬱
といった、明らかに深刻な症状が現れます。この段階では、集中治療を行っても救命が難しくなるケースが少なくありません。

■ 室内飼育でも「安全」とは言えません

当院に通院されている猫ちゃんの多くは室内飼育ですが、それでもユリ中毒のリスクはゼロではありません。

・お祝いの花束
・仏花
・来客が持参した生花
・飼い主様ご自身が「猫に危険とは知らずに」購入した切り花

こうした形で、意図せずユリが室内に持ち込まれるケースは非常に多いのです。特に花屋さんでは、ユリは「華やかで長持ちする花」として頻繁に使われるため、注意が必要です。

■ 外に出る猫ちゃんでは、診断がさらに難しくなります

一方、外出する猫ちゃんの場合、問題はさらに複雑になります。

公園や空き地、民家の庭先などで、低い位置に咲いているユリの横をすり抜けた際に、花粉が被毛に付着する可能性があります。その後、自宅に戻ってから通常通りグルーミングを行い、結果として中毒が成立する──これは十分に起こり得るシナリオです。

しかし、
・どこで
・何に触れ
・いつ曝露したのか
を飼い主様が把握することはほぼ不可能です。そのため、来院時にはすでに腎障害が進行しており、「原因不明の急性腎不全」として発見されるケースも少なくありません。

■ 治療は“時間との戦い”です

ユリ中毒に対する特効解毒薬は存在しません。治療の中心は、

・できるだけ早期の催吐(摂取直後の場合)
・活性炭投与
・大量かつ持続的な静脈輸液による腎保護

です。アメリカの内科専門医の間では、「曝露から18時間以内に適切な静脈輸液を開始できたかどうか」が予後を大きく左右すると考えられています。

逆に言えば、時間が経ってからでは、どれだけ高度な医療を行っても救えないことがある──それがユリ中毒の現実です。

■ 飼い主様にお願いしたい、たった一つの予防策

予防は非常にシンプルです。

猫ちゃんのいるご家庭では、生花のユリを置かない。

これに尽きます。

「少しだけなら」「高い場所に置けば大丈夫」「見ている時だけ飾る」──こうした考えは、猫の行動特性を考えると安全とは言えません。猫は静かに、そして人の想像以上に素早く行動します。

■ 最後に

ユリ中毒は、「知っていれば防げた事故」の代表例です。獣医師として、そして猫を深く理解している立場から言えるのは、これは運の問題ではなく、情報の問題だということです。

このブログが、一頭でも多くの猫ちゃんの命を守るきっかけになれば幸いです。少しでも「もしかして」と思うことがあれば、迷わず早めに動物病院へご相談ください。

猫ちゃんの腎臓は、一度壊れると元には戻りません。だからこそ、“何も起こらない選択”を、ぜひ飼い主様がしてあげてください。


■ 飼い主様からよくある質問(Q&A)

Q1. ユリを少し舐めただけでも本当に危険ですか?
A. はい、危険です。北米の獣医内科領域では「摂取量と重症度が比例しない中毒」として知られています。花粉を少量舐めただけ、あるいは被毛に付着した花粉をグルーミングで取り込んだだけでも、急性腎障害を起こした症例が報告されています。

Q2. ユリの花をかじらなければ安全では?
A. 安全ではありません。花・葉・茎だけでなく、花粉や花瓶の水もリスクになります。「食べていないから大丈夫」という判断は非常に危険です。

Q3. ユリを置いた部屋に猫を入れなければ問題ありませんか?
A. 推奨されません。花粉は空気中に落下し、人の衣服や手指に付着することもあります。完全に隔離することは現実的に困難です。

Q4. もし触れたかもしれない場合、家で様子を見てもいいですか?
A. いいえ。症状がなくても、できるだけ早く動物病院へ連絡してください。ユリ中毒は「症状が出る前」に治療を開始できるかどうかが予後を左右します。

Q5. 犬や人には問題ないのに、なぜ猫だけ危険なのですか?
A. 正確な毒性物質はいまだ特定されていませんが、猫特有の代謝・解毒機構の違いが関与していると考えられています。これは欧米でも研究が続いている分野です。


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