ワンちゃんの健康管理:獣医師監修永久保存版🐶

診察台のミックス犬

最終更新日:2025年11月15日

犬における健康診断の重要性

ワンちゃんが健康的に生活できるように、定期的に身体検査・血液検査などの健康診断を受けてください。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

目次:

1.健康診断(健診)年4回が理想的
2.1血液検査:春・秋
2.2検査項目例:フィラリア、肝機能、腎機能、蛋白代謝、ホルモン異常 等

2.混合ワクチン接種(年1回)
2.1 接種の重要性
2.2 抗体価測定と接種判断

3.狂犬病ワクチン接種(年1回、4–6月)
3.1 法令上の義務
3.2 接種手続き・料金

4.フィラリア検査と予防
4.1 感染のリスクと媒介
4.2 検査のタイミング
4.3 予防薬の種類と方法

5.ノミ・マダニ駆除・予防
5.1 予防の必要性
5.2 投薬頻度と方法

6.検便(年4回)
6.1 寄生虫検査の目的
6.2 検便の実施頻度

7.尿検査(年1回)
7.1 尿中蛋白・糖・結晶の検査
7.2 検査方法

8.血液検査(年1–2回)
8.1 中年期以降の定期チェック
8.2 貧血、肝腎機能の評価

9.心臓病検査(8歳以上)
9.1 超音波・X線検査
9.2 小型犬に多い心疾患(僧帽弁閉鎖不全など)

10.肥満の予防・改善
10.1 成長期・避妊去勢後の注意点
10.2 食事療法・生活改善

11.飼育費用(生涯費用の見積もり)
11.1 初期費用
11.2 年間費用項目
11.3 生涯総費用の試算

12.まとめ・当院からのメッセージ


①健康診断 ~混合ワクチン、狂犬病ワクチン、フィラリア検査などについて~

健康診断(健診)は年に4回が理想的です。健診は獣医師があなたのワンちゃんの健康状態を把握し、問題がないかどうかを検討する最良の機会です。1歳児検診、シニア検診など、ライフステージに合わせた検査項目を選択するとよいでしょう。

基本は身体検査です。

血液検査は、春と秋の2回の実施をお勧めしています。

「血液検査などで早期発見していれば、もっと長く健康でいられたのに・・・」という悔しい思いから、1年間に4歳年を取ると言われている、小型犬には、春だけではなく、秋も加えた年2回の定期検診をお勧めすることにしました。

この検診は、血液を検査センターに送り、フィラリア検査を含めた複数項目がたいへんお得な料金でできるサービスなのです。

院内検査では同様の項目をスピーディーにできますが、料金は倍くらいかかります。

この他、ちょい足しセット、シニアセット、ワクチン抗体価など状態に応じた項目を加えることでさらに割安にご利用いただけます。

【検診項目】

 ・フィラリア感染 《血中ミクロフィラリア鏡検、フィラリア成虫抗原》

 ・肝臓胆道疾患 《AST、ALT、ALP、総ビリルビン、γ-GTP》

 ・腎疾患 《BUN、クレアチニン》

 ・蛋白代謝異常 《総蛋白、アルブミン、A/G比》

 ・ホルモン異常など 《血糖値、リパーゼ、総コレステロール、中性脂肪、カルシウム、リン》

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②混合ワクチン接種 ~年1回~

混合ワクチン接種は、ジステンパー、パルボウイルス感染症などの複数の致死性伝染病から、あなたの大切なペットを守ります。年に1度の混合ワクチン接種で、複数の伝染病から、あなたの大切なワンちゃんを守ってくれます。混合ワクチン接種は健康管理の基本中の基本と言ってもよいでしょう。

「人では混合ワクチンは子どもの頃にだけ接種して、その後はしないもの。ペットも同じでしょ!?」というお話をよく耳にします。しかし動物の場合は、毎年の追加接種が推奨されています。感染すれば死亡してしまうような恐ろしい伝染病もあるからです。これがワクチン接種で予防できるのですから。

当院では、毎年接種よりも、毎年抗体価を測定、つまり、ワクチンが効いている状態か否かを調べて、効果がなくなっているようなら接種を実施しています。詳しくはこちらのサイト,そしてもう1つのサイトもご覧ください。

住友ファーマアニマルヘルス社のペットフルライフのサイトでわかりやすく解説してくれています。

ワンちゃんの多くは年齢を問わず、伝染病にかかる可能性をもっています。

とくにレプトスピラ症は人獣共通感染症(ズーノーシス)として公衆衛生上も重要です。

「動物の保護及び管理に関する法律」でも、混合ワクチン接種は飼い主さまの責任の範疇となっています。

また、当院では、残念ながら隔離施設が完備されていないので、混合ワクチンが有効でない場合は、入院加療ができません。

ワクチン未接種ですと、ペットトリミングやペットホテルなどのその他のサービスも受けられなくなると思います。

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③狂犬病ワクチン接種 ~年1回(4-6月)~

狂犬病予防法という法律で、91日齢以上の犬には接種が義務付けられています。はっきりと予防接種が義務化されている唯一のものです。行政上4月1日から6月30日までに接種することが法律で義務付けられています。お隣の中国にも、獣医学先進国のアメリカにも狂犬病は常在化しています。感染発病すれば100%死にいたる恐ろしい病気です。当院では、いつでも接種することができますので、ぜひお声掛けください。狂犬病についてこちらの動画もご覧ください。

当院では接種料金2,200円です。(2025.5月現在)

済票交付に役所に550円納付します。

初めての接種のときに、「畜犬登録」がお済みでなければ、一緒に手続きをしてください。登録手数料として3,000円を役所に納付することになります。

日本国内では50年近く発生していません。これは、空港海港などでの検疫と、過去に野良犬を捕殺してきた辛い経験の賜物です。この先人たちの努力と亡くなったワンちゃんたちの命を無駄にしないように、飼い主さまとして責任を果たしましょう。

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④フィラリア検査&予防 ~年1回検査、5月-12月に毎月予防@愛知県~

蚊が媒介する病気で、心臓にソーメンのような虫が寄生し、そのまま放っておくと重症化し死に至ります。しかし、この怖いフィラリア感染症ですが実は、定期的な予防薬の投与で防ぐことができます。

ここ愛知県では5月GW明け頃から始め、12月中旬で終わるのが理想的でしょう。

お散歩でうつる消化管内寄生虫やノミ・マダニも一緒に駆除できるタイプのお薬では、年間通して投与を続けることも、とてもいいことだと思います。

投薬の前には、血液の中にフィラリア症にかかっている証拠が出て来ていないか、定期的な血液検査をして調べます。院内では15分で結果が出るキットがありますが、検診として検査センターで実施すれば、もっとお得に調べることができます。

寄生していないと判断されたら、蚊の発生する時期あるいは周年に毎月予防薬を投与します。内服薬やスポットオンタイプの製品を用いることで、簡単に予防することができます。

周年予防されていても、飼い主さまの投与したつもりや、投与し忘れなどの理由で、フィラリア症にかかっている例があるようです。ですから年に1度は、必ず、しっかり血液検査でチェックしましょう。

「フィラリア感染症の話をしよう!」

犬のフィラリア症

春の気温の上昇とともに、蚊が活動し始め、それに伴って、フィラリア感染の危険が生じてきます。

住友ファーマアニマルヘルスのサイト「ペットフルライフ」

ゾエティスのサイト「フィラリア.com」

ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社のサイト「ノミダニフィラリア.com」

上記のサイトなどで、詳しく解説されていますので、毎春には 復習を兼ねてぜひご覧になってください。

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⑤ノミ・マダニ駆除&予防 ~毎月1回など~

ノミ・マダニはそれだけでも、ワンちゃんに不快感を与えますし、また、病気を媒介したり、皮膚病の原因になったりもします。月1度の滴下剤や錠剤の投与をお勧めしています。

ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社のサイト「ノミダニフィラリア.com」、「マダニ」および「大切なペットを寄生虫から守ろう(エランコ社)」こちらで詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。さらに、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の防疫・消毒についてもご覧ください。

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⑥検便 

~年4回~

ペットの健康を脅かす消化管内寄生虫をおもに顕微鏡で調べます。定期的に検便することで、症状が現れる前に対処することができます。人に寄生する種類もありますので、とくに1歳齢以下のワンちゃん、そして幼児、高齢者のいるご家庭では重要です。

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⑦尿検査 ~年1回~

尿中の蛋白や糖を調べたり、結晶がないかを検査します。主に膀胱や腎臓の病気を見つけます。ご自宅で尿を採取してきてもらうだけですので、負担が少なくて済みます。

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⑧血液検査 ~年1-2回(春と秋の検診のご利用をお勧めしています)~

中年齢を過ぎると、体のどこかに異常が出ることがあります。貧血の有無や、肝臓・腎臓などの状態をチェックします。

早期発見と適切な治療、食餌療法などで、ワンちゃんの健康を保ち、寿命を延ばすことができます。

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⑨心臓病検査 ~8歳以上では年1回~

とくに小型犬では、加齢にともない心臓の働きが悪くなることがあります。

小型犬に多い慢性僧帽弁閉鎖不全について、住友ファーマアニマルヘルス社のペットフルライフのサイトでわかりやすく解説されています。

食欲不振や疲れやすい、息がつらそうなどの症状が出る前に、定期的にX線検査や超音波(エコー)検査を行ない、早期治療を開始することで、寿命を延ばせることが分かっています。

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⑩肥満防止&改善 ~1歳までの成長期には毎月、避妊去勢手術後は要注意~

肥満はさまざまな病気を引き起こします。食餌療法、生活改善により万病の元を解消しましょう。

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ここで、飼育費用についても触れておきます。

日本でワンちゃんを飼う場合、その生涯にかかる費用についても概算でお伝えします。ワンちゃんの平均寿命は約12年とされていますので、それを基に計算します。

初期費用

  1. 購入費用:犬種や出所によりますが、ペットショップで購入する場合は20万円〜50万円、保護犬を引き取る場合は無料〜1万円程度。
  2. 初期準備費用
    • ドッグフード:1,000〜3,000円
    • キャリーバッグ:5,000〜15,000円
    • トイレとペットシーツ:2,000〜5,000円
    • ベッドやケージ:5,000〜15,000円
    • おもちゃ:1,000〜3,000円
    • 食器:1,000〜2,000円
    • リードと首輪:2,000〜5,000円
    • 合計:17,000〜48,000円

毎年の費用

  1. 食費:ドッグフードやおやつなど
    • 月額:5,000〜15,000円
    • 年額:60,000〜180,000円
  2. トイレ用品:ペットシーツなど
    • 月額:1,000〜3,000円
    • 年額:12,000〜36,000円
  3. 健康管理費用
    • 定期検診:年1回 5,000〜10,000円
    • ワクチン接種:年1回 8,000〜10,000円
    • フィラリア予防、ノミ・ダニ対策:15,000円〜25,000円
    • 合計:28,000円〜45,000円
  4. その他の費用
    • おもちゃ、ベッド、リード、首輪の買い替え:年額3,000〜10,000円
    • トリミング:月1回 5,000〜10,000円(必要な場合)
      • 年額:60,000〜120,000円

生涯費用の合計

上記の費用を元に、生涯(12年間)の総費用を計算します。

  1. 初期費用:17,000円〜48,000円
  2. 年間の費用:160,000円〜400,000円
  3. 生涯の費用:初期費用 + (年間の費用 × 12年)

計算すると:

  • 最小費用
    • 初期費用:17,000円
    • 年間費用:160,000円
    • 生涯費用:17,000円 + (160,000円 × 12年) = 1,937,000円
  • 最大費用
    • 初期費用:48,000円
    • 年間費用:400,000円
    • 生涯費用:48,000円 + (400,000円 × 12年) = 4,848,000円

まとめ

ワンちゃんを飼う際の生涯費用は、おおよそ190万〜485万円程度となりました。これには予期せぬ病気や怪我の治療費などは含まれていないため、実際にはさらに高額になる可能性もあります。また、犬種によってはさらに高額になることもありますので、具体的な犬種や生活スタイルに応じて見積もる必要があります。

🐶 ワンちゃん用チェックリスト

下記に日頃の健康管理に使えるチェックリストを用意しましたので、ぜひご活用いただき、早期発見・早期受診にお役立てください。

1. 食欲・飲水

□ 食欲の有無、ムラ
□ 水を飲む量の増減
□ 好物・おやつへの反応の変化
□ 食べるスピードの変化
□ 食後の吐き戻し
□ 口元の汚れ・よだれ

2. 排泄

□ 排尿回数や量の変化
□ 排便の回数や性状(軟便・硬便)
□ トイレの失敗
□ 血尿・血便の有無
□ 排便・排尿時のいきみ
□ 尿や便の色の変化
□ ニオイの強さ

3. 活動性・行動

□ 散歩や遊びへの意欲
□ 動きがぎこちない・歩き方の変化
□ 寝ている時間の増加
□ 興奮しやすさ・落ち着きのなさ
□ 鳴き方や声の変化
□ 飼い主との関わり方の変化
□ 攻撃性や不安の出現

4. 外見・被毛

□ 被毛のツヤや量
□ 抜け毛の増減
□ 皮膚の赤み・かゆみ・できもの
□ 耳の汚れ・臭い
□ 目やに・涙の量
□ 爪の伸びすぎ・割れ
□ 体重変化(痩せ・肥満)

5. 体調のサイン

□ 咳やくしゃみ
□ 呼吸の速さ・音
□ 嘔吐の有無
□ 下痢の有無
□ 発作様の動き
□ 震え・ふらつき
□ 体を触ったときの痛がり

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かもがわ公園小動物クリニックは愛知県豊田市役所高橋出張所前のかもがわ公園の近くにございます。

#動物病院 #豊田市 #犬

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