こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
独居者においてペットの有無がうつ症状に与える影響の論文がありました。
一人暮らしの人はうつ病リスクが高いとしても、ペットを飼育している人は、それが減弱されるのではないかとの仮説を立て、同居家族やペットの有無別に、うつ症状のある人の割合を比較検討したそうです。
対象者は大手企業5社の従業員で、健診受診者1万人強のアンケート調査の回答からの研究ということです。この大手企業に「トヨタ」は入っているのか、私としては気になるところです。
ペット飼育している独居者のうつ病リスクは高い!
結果として、独居者は同居者がいる人に比べて、うつ症状の有病割合が高いことが確認されました。そしてなんと、ペットを飼っている独居者においても、うつ症状の有病割合が高くなることが報告され、仮説とは逆にペット飼育がうつ症状に対する抑制効果を示唆する結果ではありませんでした。
夜間のペットの行動が睡眠に及ぼす影響
著者らは、この結果から、ペット飼育がメンタルヘルスに対して逆にマイナスに働いてしまうメカニズムについて、先行研究を基に、「夜間のペットの行動によって睡眠が妨げられることなどが関係しているのではないか」と考察し、それがうつ症状に関連している可能性があると仮説を立てています。
ペットを飼われている皆さまはどんなふうに感じましたか~?
心身ともに疲れて帰宅して、大好きなペットの顔を見れば、「癒される~っ」となりそうですが...
実際のところは、
「ごめんね~、お腹空いたよね~、すぐごはん用意するからねぇ~」、
「あらあら、うんち踏んじゃったの~?今からきれいにしなくちゃねぇ~」
と癒されるどころか、「やらなきゃいけないこと」のオンパレードで、
義務感・責任感がまず先にあり、癒されるどころではないって感じなのではないでしょうか?
全部済んでから、ようやくほっとできる癒しタイムが来そうですね。
さらに、病気で治療中の場合には、経過を観察したり、お薬を与えたりと、さらにやらなきゃいけないことが目白押しですよね!
いかがでしょうか?
「夜間の動物の行動」について、研究者の方は、何を想定しているのかも気になりますね。
かまってちゃんだったり、ワンちゃんなら吠えたりということでしょうか?
獣医師からの介入できる場面もありそうですね。
私個人としては、「夜間の動物の行動」よりも、飼い主さまの飼育・ケアへの義務感が、脳を疲労させてしまうのではないかと想像します。
孤独感とペット飼育の因果関係:うつ症状のある独居者がペットを求める可能性
うつ症状のある独居者が孤独感を紛らわすためにペットを飼っているという、因果の逆転を見ている可能性もあることにも言及しています。
これも大いにあり得ますよね。癒しのために飼育したのはいいけど、「意外とやることたくさんあるじゃん」、「こんなはずじゃなかったのに...」という感じ。
これがケアをしてくれる同居者がいれば、いいとこどりで、心底癒されるのではないかと思います。
独居者のメンタルヘルス研究:限界と未来への展望
研究には限界があり、因果関係が不明瞭であることや解析対象者の女性比率が低いこと、ペットの種類や対象者本人が世話に関わる程度を評価していないことなどの詳細な情報が不足していることが指摘されています。
研究者たちは、今後の研究が必要であるとし、特に独居者のうつ病リスクを低減するための介入方法を探る必要性を強調しています。
自殺大国である日本では、このうつ病は看過できませんので、ぜひ問題解決に、動物たちが一役買えるように、獣医師としてできることがないか、考えていかなければなりませんね。
今後の研究が楽しみです。
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