最終更新日:2026年2月16日
妊婦さん必読:感染経路、リスクの真実、検査・予防・家庭でできる対策を獣医師がわかりやすく解説
トキソプラズマ症の正しい知識と予防法について解説したものです。特に妊婦や胎児へのリスクに焦点を当て、猫などの動物だけでなく加熱不十分な食肉や土壌が主な感染源となることを指摘しています。猫を過剰に忌避するのではなく、適切な衛生管理や調理法を実践することで感染を防ぐ重要性を説いています。また、2018年から日本で導入された保険適用の治療薬についても触れ、早期発見が赤ちゃんの健康を守る鍵であると述べています。専門的な視点から、飼い主さまとペットが安心して共生するための具体的なアドバイスをまとめた内容です。
こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
さてと、ディナーの用意でも始めようかな。
お肉はスーパーで買ってきたけど、野菜はというと、お庭で収穫した新鮮な野菜。
ここ数カ月、水やりや草むしりしながら、ノラちゃんのうんちと格闘しながら、一生懸命育ててきた。美味しいのができそうな予感。
とまあ、エッセイ風に始めてみましたが、こんな何気ない日常の一コマにも注意しなければならないことがあります。
今回は「トキソプラズマ症」について、妊婦さんやこれから妊娠を考えている方にぜひ知っておいていただきたい内容を、少し詳しくお話しします。

トキソプラズマとは何か?
皆さん、トキソプラズマという寄生虫をご存知ですか?
トキソプラズマは Toxoplasma gondii(トキソプラズマ・ゴンディ) という原虫(寄生虫)です。
この原虫の“終宿主”はネコ科動物であり、猫の小腸内でのみ有性生殖を行います。
猫が初めて感染すると、一定期間だけ「オーシスト」と呼ばれる卵のような形態を便中に排出します。このオーシストは環境中で数日かけて感染性を持ち、土壌や水を介して他の動物へ広がります。
猫以外の哺乳類や鳥類では、体内に入ったトキソプラズマは筋肉や脳などの組織内に「シスト」という形で潜みます。ブタ、ヒツジ、シカなどの食肉動物が感染した場合、筋肉内にシストが残るため、加熱不十分な肉を摂取することで人へ感染することがあります。
読売新聞社からの記事をご紹介しますね。
トキソプラズマは妊婦さんの血液検診項目になっていることが多いので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。もともとはネコ科動物の消化管の寄生虫で、便にその寄生虫の卵のようなものが出て来て、それを摂取した動物が感染します。猫以外の動物では筋肉などの臓器に寄生します。何らかの形で感染猫の便を摂取したブタは、その筋肉つまり、食肉となる部分に寄生虫がいて、それを摂取した人に感染、発症の機会があります。この経路がもっとも多いと言われています。
猫の寄生虫なので、猫が悪者扱いされますが、猫の便にこの寄生虫の卵のようなものが出てくるのは感染当初だけだと言われています。
妊婦さんが初めて感染すると、赤ちゃんの脳や目に障害が出たり、流死産を引き起こしたりすることもあります。
2018年9月に妊婦さんが服用できる初の保険適用薬が発売され、これが胎児の感染や重症化を防ぐ効果がある。海外の報告では、重症で生まれてくる赤ちゃんを8割以上減らす効果があった。治療に保険が使えるようになり、検査を受ける妊婦の増加が予想されるという記事でした。

人への主な感染経路
一般に、以下の経路が重要とされています。
- 加熱不十分な食肉の摂取
とくに豚肉や羊肉はリスクが指摘されています。
海外ではこの経路が最も多いと報告されています。 - 生肉からの二次汚染
生肉を切ったまな板や包丁を十分に洗浄せずにサラダや果物を調理することで、間接的に感染する可能性があります。 - 土壌からの感染
屋外で猫が排泄した土壌中のオーシストが野菜や手指を介して口に入るケースです。 - 母子感染(先天性トキソプラズマ症)
妊娠中に初めて感染した場合、胎盤を通じて胎児へ感染することがあります。

「猫が悪い」は正しい理解ではない
トキソプラズマは猫が終宿主であるため、どうしても猫が悪者扱いされがちです。しかし、重要なポイントがあります。
- 猫がオーシストを排出するのは初感染後の短期間のみ
- 室内飼育で生肉を与えていない猫は感染リスクが低い
- すでに感染歴がある猫は通常再排出しない
つまり、適切に飼育されている家庭内の猫から感染するリスクは決して高いとは言えません。むしろ、十分に加熱されていない肉や、土壌からの感染の方が実際には重要です。
妊婦さんとトキソプラズマ
問題となるのは女性が「妊娠中に初めて感染した場合」です。
妊娠初期に感染すると、
- 流産・死産
- 胎児の脳障害
- 水頭症
- 網脈絡膜炎(視力障害)
などが起こる可能性があります。
年間で推計約1000人の妊婦さんが感染し、約100人の赤ちゃんが感染、そのうち約1割が重症という報道もあります。
2018年には妊婦さんが服用可能な保険適用薬が日本で承認されました。海外報告では、胎児の重症化を80%以上減少させたというデータもあります。
つまり、早期発見と早期治療が極めて重要なのです。

「私は大丈夫」と思っていませんか?
「生肉は食べないし、猫も飼っていないから大丈夫」
そう思われる方も多いでしょう。しかし実際には、
- レアに焼いたステーキ
- 生ハム
- バーベキューで中心温度が十分に上がっていない肉
- 生肉を扱った調理器具からの二次汚染
- ガーデニング後の手洗い不足
- 土付き野菜の不十分な洗浄
など、意外なところにリスクがあります。
生肉も食べないし、猫も飼ってないから、大丈夫!ってこともないんです。熱がしっかり通っていなかったり、生肉を置いたまな板でサラダを用意したりすることで、生肉を食べているのと同じことになる訳です。
猫は、耕したばかりの柔らかい土を好んで排泄する傾向があります。家庭菜園や花壇の土いじりをした後は、必ず石鹸で丁寧に手を洗うことが大切です。土付き野菜は流水でしっかり洗浄してください。
具体的な予防策
妊娠中、特に妊娠初期は以下を徹底しましょう。
- 肉は中心まで十分に加熱(中心温度67℃以上が目安)
- 生肉を扱った後の器具は熱湯や洗剤で洗浄
- 調理中は生肉と野菜を完全に分ける
- ガーデニング時は手袋を着用
- 作業後は石鹸で丁寧に手洗い
- 猫のトイレ掃除は可能であれば他の家族が担当
かわいい赤ちゃんを守るための、ほんの少しの意識の違いです。

猫と暮らしている妊婦さんへ
過度に心配する必要はありません。
猫を手放す必要もありません。
室内飼育を徹底し、生肉を与えず、トイレ管理を適切に行えば、リスクは大きく下げられます。
不安な場合は、かかりつけ産婦人科医で抗体検査を受けることも選択肢です。すでに抗体を持っている場合は、新たに感染して胎児へ影響する可能性は低くなります。

最後に
トキソプラズマ症は、正しく理解すれば予防可能な感染症です。
かわいい赤ちゃんのために、とくに妊娠初期では、ガーデニングやお料理をするときに、この病気のことを少しだけ思い出してください。
「知っている」ことが、いちばんの予防です。
正しい知識で、猫も赤ちゃんも守っていきましょう。
掲載されていた参考サイトです。
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