野鳥のヒナを拾う前に|それは本当に保護が必要ですか?獣医師が解説🦜

鳥のひなの保護救護について


最終更新日:2026年1月25日

野鳥のヒナは拾っていい?ダメ?動物病院が伝えたい正しい判断基準

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。


春から初夏に多い「野鳥のヒナの誤認保護」について

―善意が、ヒナの命を脅かしてしまうこともあります―

春から初夏にかけて、当院には「野鳥のヒナを拾ったのですが、診てもらえますか?」というお問い合わせが数多く寄せられます。

しかし、夏が近づくにつれて、こうした相談は徐々に減っていきます。
その理由は、野鳥の子育てのピークが春であること、そしてヒナの行動が誤解されやすい時期が限られていることにあります。

この時期に起きている多くのケースは、実は“ケガ”ではなく、“成長過程の一部”であることが少なくありません。


ヒナが地面にいる=危険、とは限りません

野鳥のヒナは、巣立ちの時期になっても、いきなり上手に飛べるわけではありません。

  • 羽ばたきの練習をする
  • 数メートルだけ飛んで地面に降りる
  • 草むらや植え込みでじっとしている

こうした行動は、正常な発育過程の一環です。

特にスズメやムクドリ、ヒヨドリなどの野鳥では、「まだ飛べないように見えるヒナが地面にいる」という状況は、決して珍しいことではありません。

しかし、これを目にした通行人の方が「かわいそう」「このままでは死んでしまう」と感じ、善意で拾い上げてしまうケースが非常に多いのです。

これが、いわゆる「誤認保護」です。


実は、近くで親鳥が見守っています

多くの場合、ヒナの近くには親鳥が人目につかない場所から見守っていることがほとんどです。

親鳥は、

  • 人が近づくと警戒して姿を消す
  • 鳴き声を出して注意を引く
  • 少し離れた場所から餌を運ぶ

といった行動をとります。

そのため、人の目には「ヒナがひとりぼっちで放置されている」ように見えてしまうのです。

しかし、ここで人が介入してしまうと、

  • 親鳥と引き離される
  • 本来受け取るはずの餌をもらえなくなる
  • 野生で生きるための学習機会を失う

といった、取り返しのつかない事態につながることがあります。


観察が、もっとも重要な「最初の対応」です

ヒナを見かけたとき、まず行っていただきたいのは「すぐに拾わず、しばらく観察すること」です。

以下の点を確認してください。

  • 明らかな外傷(出血、骨折、翼の異常)があるか
  • 車道や人通りの多い場所にいて、避けられない危険があるか
  • 親鳥がまったく現れない状態が長時間続いているか

これらに明確に該当しない場合は、その場でそっと見守ることが、ヒナにとって最善の選択であることが多いのです。

どうしても危険な場所にいる場合は、数メートルだけ安全な草むらや低木の近くへ移動させるという対応に留めてください。


「かわいそう」という気持ちが、命を奪うこともあります

ヒナを拾う方の多くは、「助けたい」「見捨てられない」という、純粋な善意から行動されています。

しかし、野鳥は人が飼育することを前提に進化していません。

  • 人工飼育は非常に難しい
  • 専用の餌・温度管理が必要
  • 誤った給餌で命を落とすことも多い

残念ながら、善意で保護されたヒナの多くが、数日以内に衰弱してしまうという現実があります。

「何もしない勇気」こそが、野生動物にとって最大の思いやりである場合もあるのです。


当院が野鳥診療を限定している理由

たいへん心苦しいのですが、当院では野鳥の診療を限定的に対応しております。

その理由は、

  • 小鳥(飼育下のインコ・文鳥など)の来院が非常に多い
  • 野鳥が持つ病原体が、飼育鳥へ感染するリスク
  • 院内感染を防ぐための隔離体制に限界がある

といった、医療安全上の配慮によるものです。

これは、野鳥を軽視しているわけではなく、守れる命を確実に守るための判断であることをご理解ください。


野鳥は「国のもの」―まず行政へご相談を

日本では、野鳥は鳥獣保護管理法により原則として「国の管理下にある野生動物」とされています。

そのため、

  • 一般の方が自由に飼育することはできません
  • 保護や治療には、行政の判断が必要です

ヒナや野鳥を見つけ、「明らかに命の危険がある」と判断された場合は、まずはお住まいの地域の行政窓口(環境課・自然保護課など)へお問い合わせください。

🪶① 豊田市の窓口(最初の相談先)

  • 豊田市動物愛護センター
     〒471-0002 愛知県豊田市矢並町法沢715-4(鞍ケ池公園内)
     📞 電話:0565-42-2533
     動物の保護・相談全般(犬・猫中心ですが、負傷動物の相談も含む)を受け付けています。市民からの動物関連の相談窓口として機能しています。(豊田市)

※ただし、上記センターは主に犬猫・飼い動物が対象で、 野鳥そのものの保護・リリース判断については専門窓口とは限りません。(豊田市)


🪶② 愛知県の窓口(野鳥の法的管理・保護対応窓口)

豊田・みよしエリアを管轄する愛知県窓口

  • 西三河県民事務所 豊田加茂環境保全課(愛知県)
     📞 0565-32-7494
     野鳥の保護・飼養に関わる法的な相談(鳥獣保護管理法等)や、傷病鳥の対応についての助言・繋ぎ先案内をしてくれます。(愛知県公式サイト)

※野鳥は「自然環境の一部」として法律で保護されており、 勝手な飼育や継続保護は原則禁止されています。(愛知県公式サイト)


🪶③ 補足:その他の相談先(豊田市内)

  • 警察:重大な負傷や交通事故が絡む場合、警察署へ通報も一定の手続きになります(野鳥に限らず動物事故の一次対応窓口として)。
  • 民間の野鳥保護団体:「日本野鳥の会 愛知県支部」など、野鳥の生態・リリースに詳しい団体も情報源として有用ですが、法的保護対応は自治体が基本となります。(日本野鳥の会愛知県支部)

📌 ご相談フロー(目安)

  1. ヒナ・野鳥を発見 → 状況を観察(すぐに捕獲せず)
  2. 危険が明らかな場合 → 豊田市動物愛護センターへ連絡
  3. 野鳥自体の保護・法律的扱い・助言 → 愛知県 環境保全課へ相談
  4. 県の指示・指導に従い処置・リリースへ

最後に ― 本当に助けるということ

野鳥のヒナを前にすると、心が揺さぶられるのは自然なことです。

しかし、

  • 拾わないこと
  • 観察すること
  • 正しい窓口につなぐこと

これらもまた、立派な「保護行動」です。

当院は、「助けたい」というお気持ちを否定することはありません。
その善意が、正しい形で命につながることを、心から願っています。

ご理解とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。


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#動物病院 #豊田市 #小鳥

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