犬のアトピーと食物アレルギーの違いを徹底解説|原因・症状・正しい治療法を獣医師が解説🐶

チワワのアトピー性皮膚炎

最終更新日:2025年12月25日

似ているけれど違う ― 愛犬の皮膚トラブルを正しく見分けるために

犬のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、どちらも「かゆみ」を伴う皮膚疾患ですが、原因や対応方法は異なります。アトピーは環境中のアレルゲンや皮膚バリアの弱さが関係し、食物アレルギーは摂取した成分に対する免疫反応が原因です。見た目や症状が似ているため、正しい診断と長期的なケアが必要になります。当院では問診・検査・食事管理を通じ、それぞれのワンちゃんに合った治療を行っています。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックです。

ワンちゃんの皮膚トラブルの中でも、「アレルギー性皮膚炎」は非常に多く、かゆみや赤みなどの症状がなかなか治らず、飼い主さまも困って当院皮膚科にご来院されます。

しかも、病院を受診される飼い主さまの期待は、「病院に行けば治る」、「病院で薬をもらえばすぐ治る」というものが圧倒的に多いのですが、残念ながら、不正解なのです。

今回は、アレルギーの基本と、「なぜ検査で陰性なのにアレルギー症状があるのか?」という疑問を解くために、免疫学的な仕組みを、できるだけ分かりやすくお話しします。


🧩 アレルギーとは?

本来、免疫はウイルスや細菌など「敵」から体を守るための防御システムです。
しかしアレルギー体質の子では、この免疫が本来無害なもの(食べ物・ノミ・花粉など)に過剰反応してしまうことがあります。
その反応の仕方によって、アレルギーは4つのタイプ(Ⅰ〜Ⅳ型)に分けられます。


🩸 アレルギーの4つのタイプ(Ⅰ型〜Ⅳ型)

起こる速さ主なしくみよくある例
Ⅰ型数分〜数時間IgE抗体とヒスタミンアトピー、ノミ、食物、アナフィラキシー
Ⅱ型数時間〜数日抗体が自分の細胞を攻撃自己免疫性貧血など
Ⅲ型数時間〜数日免疫のかたまりが炎症を起こす腎炎、血管炎、SLE
Ⅳ型1〜3日後Tリンパ球による炎症接触性皮膚炎、薬剤反応

🩺Ⅰ型アレルギー(即時型)

ノミや花粉、食べ物などのアレルゲンに反応して、IgE抗体が作られ、肥満細胞からヒスタミンが放出されます。
数分〜数時間のうちに「かゆい!赤くなってる!」といった症状が出るタイプです。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの一部、ワクチンや薬で起こるアナフィラキシーもここに含まれます。


🧬Ⅳ型アレルギー(遅延型)

こちらはTリンパ球(免疫細胞)が中心になって起こる反応です。
症状が出るまでに1〜3日ほどかかるのが特徴です。

たとえば首輪やシャンプーの成分に反応して起こる接触性皮膚炎が代表例。
赤みやかゆみがゆっくり出てくるのが特徴です。


🍖 食物アレルギーにはⅠ型だけでなくⅣ型もある!

「食物アレルギー=食べてすぐ反応する」と思われがちですが、実際は、Ⅰ型(即時型)とⅣ型(遅延型)の両方が関係していることが分かっています。

タイプ起こる時間関与する免疫症状の特徴
Ⅰ型数分〜数時間IgE抗体、ヒスタミン急なかゆみ、じんましん、嘔吐、下痢
Ⅳ型1〜3日後Tリンパ球慢性的な皮膚炎、外耳炎、軟便や下痢

🧠 食物アレルギーの仕組みを簡単に言うと…

  • Ⅰ型:食べてすぐ反応する「即時型」。血液検査(IgE測定)で検出できることが多い。
  • Ⅳ型:食べて数日後に悪化する「遅延型」。リンパ球が反応するため、一般的なアレルギー血液検査では分からないことが多い。

つまり、「IgE抗体測定検査は陰性だったけれど、食事を変えたら治った」という子は、リンパ球が関わるⅣ型アレルギーである可能性が高いのです。


🧬 獣医学的な裏づけ

最新の獣医学文献では、犬や猫の食物アレルギーにおけるTリンパ球(Ⅳ型)の関与が明確にされています。

  • Olivry T et al., Vet Dermatol, 2017(ICADA報告)
     犬猫の食物アレルギーは、IgE陰性でもT細胞が関与する遅延型アレルギーが存在すると報告。
  • Hall EJ et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract, 2019
     犬の食物アレルギーでは、Ⅰ型とⅣ型が複合的に働くとされる。
  • Allenspach K, J Vet Intern Med, 2015
     慢性腸炎(食事反応性腸炎)は主にⅣ型アレルギー機序(リンパ球活性化)によるものと考えられている。

🐕 アトピー性皮膚炎との関係

アトピー性皮膚炎も、実は「Ⅰ型」だけで説明できません。
遺伝的な背景のある皮膚のバリア機能低下(「俗に言う、皮膚が弱い」)や、常在菌の異常増殖、そしてリンパ球による慢性炎症(Ⅳ型的要素)が組み合わさって起こります。

そのため、治療でも「抗ヒスタミン薬」や「ステロイド」だけでなく、免疫調整薬(アポキル®、サイトポイント®、シクロスポリンなど)が有効なのは、この“細胞性免疫=Ⅳ型アレルギー”に働くためです。


🩺 飼い主さまへのメッセージ

「アレルギー」と一言で言っても、すぐ反応するものもあれば、数日かけて出てくるものもあります。
食べ物の影響で皮膚や耳、消化器の調子が崩れる場合、リンパ球が関与する遅延型アレルギーのことも多いです。
だからこそ、除去食試験(食餌療法)が最も確実な診断方法になります。

焦らず、ワンちゃんに合った食餌・環境・治療法を一緒に見つけていきましょう。


🐾 まとめ

  • アレルギーは4タイプに分類され、Ⅰ型とⅣ型が皮膚疾患で特に重要
  • 食物アレルギーにはリンパ球が関与するⅣ型(遅延型)も多い
  • 血液検査(IgE抗体測定)で陰性でも、除去食で改善すればアレルギーの可能性あり
  • アトピー性皮膚炎もⅠ+Ⅳ型の複合的な病態
  • 治療は、原因の特定と皮膚バリアのケア、免疫のバランス調整がカギ

    アレルギーのかゆみは0(まったくかゆくない)から10(めちゃくちゃかゆい)までのスケールで表すことが多いのですが、通常は6~7あたりのかゆみが多いです。これを、0を目指すのではなく、2~3を目標に、多面的な方法で対処していきます。これは、症状は残っているが、生活に支障があるほどではなく、薬などによる負担が少ない状態をキープするような感覚です。

    必ず、そこそこいいときと、なぜか悪くなってしまうときとの波があるという特徴もあります。途中で治療を止めたり、諦めたりせずに、飼い主さまのなかで、やれる範囲でやっていきましょう。

「失敗」ではなく、「途中」なだけかもしれません💡

「うまくいかなかった」
「思ったほど良くならなかった」

治療やケアを続けている中で、
そんなふうに感じたことはありませんか?

でも実は、それは失敗ではないことが多いのです。

本当の失敗とは、結果が出なかったことではなく、「もうダメだ」と思ってそこでやめてしまうこと。

治療や体調管理は、一直線に良くなるとは限りません。
良くなったと思ったら、少し戻る。
効いているか分からない時期が続く。
そんな“足踏みの時間”があるのは、とても自然なことです。

けれど、その一つ一つの経過は、次の治療方針を考えるための大切な情報になります。無駄になることは、何一つありません。

成功と失敗を分けているのは、特別な治療や奇跡のような方法ではなく、「続けたかどうか」という、とてもシンプルな違いです。

私たち獣医師の仕事は、魔法のように一瞬で治すことではありません。飼い主さまと一緒に悩み、考え、調整しながら、その子にとって一番良い状態を目指していくことです。

もし今、
「この治療で合っているのかな」
「意味があるのかな」
と不安に感じていたら、ぜひ一度ご相談ください。

成功するまで、やめない。
その気持ちを、私たちは全力で支えます。


🏥 アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック皮膚科では
アトピーやアレルギーのワンちゃんに対して、食餌・環境・薬の3方向から、飼い主さまと一緒に最適な治療方針を立てています。
気になる皮膚トラブルがあれば、いつでもご相談ください。


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