獣医師が解説|犬をビーチに連れて行くリスクと、あえて勧めない医学的理由🐶

砂浜の飼い主と犬

最終更新日:2026年1月6日

犬の海水浴~「楽しそう」の裏側にある、見過ごされがちな命のリスク~

犬をビーチに連れて行くことは一見楽しそうに見えますが、実際には海水摂取による高ナトリウム血症、砂の誤飲による消化管閉塞、死骸や異物の誤食など、命に関わるリスクが数多く潜んでいます。十分な管理のもとで楽しめるケースがあることも事実ですが、興奮状態では事故を完全に防ぐことは困難です。獣医師の立場から見ると、得られる楽しさに比べて健康上の代償が大きく、あえて選択すべき環境とは言えません。愛犬の安全を最優先に考えるなら、管理されたドッグランなど、より安全な場所が望ましいでしょう。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

お子様のいらっしゃるご家庭では、夏休みの計画に海水浴って、ありますよね。私も海は大好きで、子供のころはよく、知多半島の内海の海水浴場まで連れて行ってもらってました。

楽しかった~!

泳ぐよりも磯で魚取りがメインでした!

運転者にしてみれば、渋滞が大変だったろうなぁ~と、大人になった今、思う。

ところで、ワンちゃんを海水浴場に連れていかれる時には、公衆衛生上のマナーを守ってくださいね。
少しでもマナーの悪い飼い主様がいると、また、犬嫌いの人を増やしてしまいますからね。


犬をビーチに連れて行くこと、本当に安全ですか?

夏になると、
「愛犬と一緒に海へ行きたい」
「ビーチを走り回る姿を写真に残したい」
そんなお話をよく耳にします。

たしかに、青い海、白い砂浜、開放感あふれる景色は魅力的です。
しかし――ワンちゃん自身にとって、その環境は本当に安全でしょうか?

実は、ビーチには犬の健康や命に関わるリスクが数多く潜んでいます。
今回は、獣医師の立場から、犬をビーチに連れて行くことの危険性を、少し詳しく掘り下げてお話しします。


① 海水を飲んでしまう危険性

― 塩水が引き起こす「中毒性脱水」

犬は遊びに夢中になると、
・泳ぎながら
・ボールを追いかけながら
・喉が渇いた勢いで

海水を大量に飲んでしまうことがあります。

海水には高濃度の塩分(ナトリウム)が含まれており、体内に入ると、

  • 激しい下痢・嘔吐
  • 高ナトリウム血症
  • 進行性の脱水
  • 神経症状(ふらつき、痙攣、意識障害)

を引き起こします。

重症例では、脳障害や急性腎不全に至るケースも報告されています。

「ちょっと飲んだだけだから大丈夫」と思われがちですが、体の小さな犬ほど影響は深刻です。


② 砂の誤飲による消化管トラブル

― 見えないうちに進行する「砂の閉塞」

ビーチ遊びで意外に多いのが、砂の飲み込みです。

  • 砂浜に落ちたボール
  • 海水で濡れたフリスビー
  • 砂だらけの枝や貝殻

これらを咥えて遊ぶうちに、少量ずつ砂を飲み込み、それが胃や腸に蓄積していきます。

結果として起こるのが、

  • 嘔吐が続く
  • 食欲不振
  • 排便困難
  • 腸閉塞(手術が必要になることも)

特に若い犬・興奮しやすい犬では、短時間でも大量に摂取してしまう危険があります。


③ 誤食・中毒のリスク

― 海辺ならではの「危険物」

ビーチには、人が想像する以上に危険なものが落ちています。

  • 死んだ魚や甲殻類
  • ウニやヒトデの死骸
  • 腐敗した海藻
  • 釣り針・釣り糸
  • バーベキューの残骸(串、骨)

これらを口にすると、

  • 細菌性食中毒
  • 消化管穿孔
  • 中毒症状
  • 重度の閉塞

といった、命に関わる事態を招くことがあります。

特に、「普段は拾い食いをしない子」でも、非日常の環境では行動が変わることを忘れてはいけません。


④ その他の見落とされがちなリスク

ビーチでは、以下のような問題も起こり得ます。

  • 直射日光による熱中症
  • 肉球の火傷(真夏の砂浜は非常に高温)
  • 海水中の細菌・寄生虫
  • 波にさらわれる事故
  • 他の犬や人とのトラブル

「犬が楽しそうにしている」
その裏で、体は確実に負担を受けていることが少なくありません。


それでも「ビーチ派」の意見も理解できます

もちろん、「ビーチに連れて行くのは絶対にダメ」と言いたいわけではありません。

実際には、

  • 水遊びが大好き
  • 飼い主さまの管理が徹底している
  • ライフジャケットを着用
  • 真水をこまめに与えている

といった条件下で、問題なく楽しめているワンちゃんもいるのも事実でしょう。

また、「犬と一緒に思い出を作りたい」という気持ちは、とても自然で大切なものです。


それでも、私はビーチをお勧めしません

ただし、獣医師として、リスクとメリットを天秤にかけたとき、

  • 危険性が多く
  • トラブル発生時の対応が遅れやすく
  • 防ぎきれない事故が存在する

この点を考えると、あえてビーチを選ぶ必要はないというのが、私の結論です。

面白みに欠けるかもしれませんが、安全に管理されたドッグランや日陰と真水が確保できる場所の方が、ワンちゃんにとっては、はるかに安心です。

「人が楽しい場所=犬にとって安全な場所」とは限りません。

大切な家族であるワンちゃんを守るために、楽しい思い出より、無事に帰れる一日を。

それが、獣医師である私からの、率直なメッセージです。


人の場合の海水浴のリスク


こんな報告もあります。
サーファーの腸内には抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が住み着いている確率が通常の3 倍に上ることが、英国における調査で明らかにな りました。
最近、世界各地で採取された海水から薬剤耐性菌が見つかったとの報告が相次いでいる ようです が、サーファーは海水を飲み込んでしまう機会が多いことが分かっています 。
「因果関係が証明されたわけではないが、このようなリスクがあることは認識しておくべき」としてい ます 。

感染症のリスクのある方や手術を控えている方がご家族にいらっしゃる場合には、海へのレジャーは避けた方がいいかもしれませんね。


犬の海水浴に関するよくある質問(FAQ)

Q1.犬が海水を飲んでしまいました。様子見で大丈夫ですか?

少量で元気があり、嘔吐や下痢がなければ経過観察で済む場合もありますが、安全とは言い切れません。海水には高濃度の塩分が含まれており、大量に摂取すると高ナトリウム血症を起こし、嘔吐・下痢・ふらつき・痙攣などの神経症状につながることがあります。特に小型犬や短時間で何度も飲んだ場合は、早めの受診をお勧めします。


Q2.犬が砂浜で遊びましたが、砂を食べてしまうことはありますか?

はい、非常によくあります。砂浜に落ちたボールやおもちゃを咥えることで、気づかないうちに大量の砂を飲み込んでしまうケースがあります。砂は体内で固まり、胃や腸に詰まる「砂による消化管閉塞」を起こすことがあり、嘔吐や食欲不振が続く場合は手術が必要になることもあります。


Q3.犬が海で拾い食いをしてしまいました。どんなものが危険ですか?

海辺には死んだ魚や甲殻類、ウニやヒトデの死骸、腐敗した海藻、釣り針や釣り糸など、多くの危険物があります。これらを口にすると、細菌性食中毒、消化管穿孔、中毒、腸閉塞など命に関わるトラブルを引き起こす可能性があります。拾い食いをした直後や、その後に体調変化が見られた場合は、すぐに動物病院へ相談してください。


Q4.犬の海水浴で下痢や嘔吐が起こるのはなぜですか?

主な原因は、海水の摂取、砂の誤飲、海水中の細菌や異物の影響です。特に遊びに夢中になった犬は、短時間でこれらを複合的に摂取してしまいがちです。一時的な胃腸炎で済むこともありますが、症状が半日以上続く場合や元気がない場合は、単なる「疲れ」ではない可能性があります。


Q5.犬を海に連れて行くのはやはり危険なのでしょうか?

十分な管理のもとで問題なく楽しめる犬がいることも事実ですが、興奮状態では海水摂取や誤食を完全に防ぐことは困難です。獣医師の立場から見ると、ビーチは予測不能なリスクが多く、得られるメリットに比べて健康上の危険性が高い環境です。愛犬の安全を最優先に考えるなら、管理されたドッグランなど、より安全な場所を選ぶことをお勧めします。


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