最終更新日:2026年2月22日
愛犬の視界を守るために。獣医師が教える「目の濁り」の正体と受診の目安
愛犬の目が白く濁る症状について、その原因と適切な対応を専門的な獣医師の視点から解説しています。単なる加齢現象である核硬化症と、視力低下や炎症を招く白内障の違いを明確にし、飼い主さまが注意すべき識別ポイントを提示しています。また、眼の表面の異常である角膜疾患についても触れ、痛みや充血を伴う場合の緊急性を説いています。治療法としては、点眼薬の限界や外科手術による視力回復の可能性についても言及されています。最終的に、愛犬の健康を守るためには早期の眼科受診と正確な診断が不可欠であることを強調する内容です。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。
眼が「白い」と言っても、その白さがどこにあるのかで、意味は大きく異なります。
角膜が白い場合と水晶体が白い場合(核硬化症と白内障)があります。老犬で眼が白い場合には、核硬化症という老化現象がありますが、これで失明することはないでしょう。しかし、白内障の場合には、ただ見えなくなるだけではなく、眼に炎症を起こしてしまうこともあります。これらについて、原因から診断、治療、将来の見通しまで、できるだけわかりやすく解説します。
① 角膜が白い場合 ― 目の“表面”が白く見える
角膜は、黒目の一番外側にある透明な組織です。本来は完全に透明で、光を通す窓の役割をしています。
ここが白く見えるときは、角膜自体に異常が起きている可能性があります。
■ 主な原因
1. 角膜潰瘍(かくまくかいよう)
傷や感染によって角膜が削れたり溶けたりする状態です。
特に短頭種(シーズー、フレンチブルドッグなど)では非常に多くみられます。
症状
- 目をしょぼしょぼする
- 涙が多い
- 目やにが増える
- 光をまぶしがる
- 表面が白く濁る
重症例では角膜が溶解し、緊急手術が必要になることもあります。
2. 角膜浮腫(ふしゅ)
角膜の内側の細胞(内皮)が機能低下を起こすと、水分を含んで白く霞みます。
原因
- 外傷
- 緑内障
角膜全体が青白く曇るのが特徴です。
3. 角膜瘢痕(はんこん)
過去の傷や潰瘍が治ったあと、白い“跡”が残ることがあります。
これは失明とは限りませんが、濁りが瞳孔の中央にあると視力に影響します。
4. 角膜ジストロフィー
脂質やカルシウムが沈着し、白い斑点ができる疾患です。
痛みはないことが多いですが、進行する例もあります。
■ 角膜が白い場合の対処
✔ まずはフルオレセイン染色検査で傷の有無を確認
✔ 眼圧測定で緑内障を除外
✔ 点眼治療(抗生剤、角膜保護剤など)
✔ 重症例では手術
角膜の白さは、痛みを伴うことが多いのが大きな特徴です。
「白い+痛そう」は緊急受診のサインです。

② 水晶体が白い場合 ― 目の“奥”が白く見える
黒目の奥にあるレンズが水晶体です。
ここが白く見えるときには、主に
- 核硬化症
- 白内障
の2つが鑑別に挙がります。
③ 核硬化症(かくこうかしょう)
■ どんな状態?
7歳以上の犬でよく見られる加齢性変化です。
水晶体の中心部が硬くなり、青白く見えます。
人でいう「老眼」に近い現象です。
■ 視力はどうなる?
重要なポイントですが、
核硬化症で失明することはありません。
光は十分に通ります。
飼い主さまが「目が白くなった=見えていない」と心配されるケースが非常に多いですが、核硬化症だけなら視力は保たれています。
■ 治療は必要?
基本的に治療は不要です。
進行を止める薬もありません。
ただし、白内障との鑑別が重要です。

④ 白内障(はくないしょう)
■ 白内障とは?
水晶体が混濁し、光を通さなくなる病気です。
進行すると完全に白くなり、光が入らなくなります。
■ 原因
犬では人よりも若齢で発症することが多く、原因は多岐にわたります。
1. 遺伝性
トイプードル、柴犬、コッカースパニエルなどで多い。
2. 糖尿病
糖尿病性白内障は急速に進行します。
数日〜数週間で失明することもあります。
3. 外傷
打撲や事故
4. ぶどう膜炎
炎症の結果として水晶体が濁ります。
5. 加齢
■ 白内障の進行段階
- 初発期
- 未熟期
- 成熟期
- 過熟期
成熟期になるとほぼ視力はありません。
⑤ 白内障が怖い本当の理由
「見えなくなる」だけが問題ではありません。
進行すると、水晶体蛋白が漏れ出し、水晶体起因性ぶどう膜炎を引き起こします。
これにより
- 強い痛み
- 充血
- 眼圧異常
- 緑内障
- 網膜剥離
が起こる可能性があります。
つまり、放置すると眼球自体を失う危険もあるのです。
⑥ 白内障の治療
■ 点眼で治る?
残念ながら、白内障を治す目薬は存在しません。
サプリメントは進行抑制の可能性はありますが、根治はできません。

■ 根本治療は手術のみ
超音波乳化吸引術+人工レンズ挿入
(人と同じ手術です)
成功率は高く、適応症例では視力回復が期待できます。
ただし、
- 網膜が正常であること
- 緑内障がないこと
- 全身状態が良好であること
が条件です。
そして、動物の場合には、術後に飼い主さまのこまめな点眼ができるか否かにかかっています。
⑦ 飼い主さまが見るべきポイント
✔ 白さは表面か奥か?
✔ 目を痛がっていないか?
✔ 急に見えなくなっていないか?
✔ 糖尿病はないか?
⑧ 緊急受診のサイン
- 急激に白くなった
- 目を強く痛がる
- 赤く充血している
- 元気がない
これらは白内障よりも、緑内障や重度のぶどう膜炎の可能性があります。
⑨ まとめ
「目が白い」という一言の中には、全く異なる病態が含まれています。
| 部位 | 主な原因 | 失明リスク |
|---|---|---|
| 角膜 | 傷・浮腫 | 状況次第 |
| 水晶体(核硬化症) | 老化 | なし |
| 水晶体(白内障) | 遺伝・糖尿病など | あり |
高齢犬で多い核硬化症は心配いらないことがほとんどです。
しかし、白内障は放置すると炎症や緑内障を併発し、視力だけでなく眼球の健康を脅かします。
「年だから仕方ない」ではなく、正確な診断が何より重要です。
眼科検査を受けることで、
- 見えているのか
- 手術適応か
- 経過観察でよいか
が明確になります。
目は一度失われると元に戻りません。
だからこそ、早期評価と適切な判断が愛犬の未来を守ります。
もし「白くなったかも?」と感じたら、それは受診のサインです。

ワンちゃんの白内障について、わかりやすく解説していただいているこちらのサイトをご覧ください。
犬の白内障と緑内障の記事です。
犬の目薬の差し方(点眼方法)についてはこちらをご覧ください。
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