🏠フェレットの雌に多い副腎疾患

フェレットの副腎疾患について

最終更新日:2025年10月28日

―陰部の腫れ・脱毛が見られたら要注意―

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

冒頭の写真は、陰部が腫れ、脱毛もあり、副腎の疾患と思われました。

今回は、フェレットの雌個体に見られる副腎疾患に絞ってお話を進めていきます。

フェレットの雌で「陰部が腫れている」「毛が抜けてきた」と感じたことはありませんか?
それは単なる発情ではなく、副腎疾患(Adrenal Disease)というホルモン異常による病気のサインかもしれません。

この病気は特に避妊手術を受けた雌フェレットに多く、放っておくと重い貧血で命に関わることもあります。


🧬なぜ避妊した雌フェレットに起こるの?

フェレットは避妊して卵巣がなくなることで、女性ホルモンが下垂体にフィードバックしなくなることで、下垂体からの性腺刺激ホルモン(LH・FSH)の分泌が止まりません。
その刺激が長期間、副腎に加わることで、副腎が性ホルモン(エストロゲン、アンドロゲンなど)を作りすぎてしまうようになります。
これが副腎疾患の本質のようです。


⚠️見逃してはいけない症状

副腎疾患の初期は「毛が抜けるだけ」と軽く見られがちですが、進行すると次のような変化が現れます。

  • 陰部の腫大(発情していないのに膨らむ)
  • 尾や背中の対称性脱毛
  • 毛が季節に関係なく生えそろわない
  • 元気がない、体重減少
  • 攻撃的になる
  • 重度では骨髄抑制による貧血・白血球減少・血小板減少

特にエストラジオール(エストロゲン)過剰が進むと、骨髄が正常に働かなくなり、命に関わる貧血を起こします。


🧪診断方法

  1. 超音波検査:副腎の腫大を確認。右副腎は後大静脈と接しているため、熟練した技術が必要です。
  2. ホルモン検査:エストラジオール、アンドロステンジオン、17-OHプロゲステロンの上昇で確定的。
  3. 血液検査:貧血や白血球減少を確認。

💊治療法

治療はホルモン抑制療法外科手術の2つがあります。

●ホルモン抑制療法(内科治療)

最も一般的なのはデスロレリンインプラント(Deslorelin)
副腎への刺激を抑え、数か月~1年効果が持続します。
再発例でも有効で、アメリカでは第一選択薬ですが、日本では未販売です。

●副腎摘出手術(外科治療)

副腎が大きく腫れている場合には、外科的に摘出して根治を目指します。
ただし右側副腎は大血管に接しており、手術リスクは高いです。


🩸輸血が必要になることも

重度の貧血を起こした場合、輸血による救命治療が必要になることがあります。
同居のフェレットから献血を受けるケースもありますが、単頭飼育では難しい現実もあります。


冒頭の写真の個体は、同居のフェレットから献血、輸血をして体調の回復を図り、手術により、腫瘍化した副腎を摘出しました。このような治療ができることは、多頭飼育をしていなければ困難です。

輸血終了後、何とか体調は回復しましたが、一度ダメージを受けた骨髄が完全に元通りになることは残念ながらありません。


💬治療後の注意点と再発

輸血や治療で回復しても、一度ダメージを受けた骨髄は完全には元に戻らないことがあります。
また、デスロレリンの効果が切れると再発することもあるため、半年~1年ごとの再投与と、定期的な検査が勧められます。


❓よくある質問(Q&A)

Q1. 避妊しない方が副腎疾患を防げますか?
A1. いいえ。避妊しないと「持続発情」により別の致命的な貧血が起こります。避妊は必要ですが、早すぎる時期の手術はリスクをより高める可能性があります。

Q2. デスロレリンはどのくらいで再投与しますか?
A2. 効果は6〜12か月続くため、年1回の再投与が目安です。日本では個人輸入するしかありません。

Q3. 手術と薬、どちらがよいのですか?
A3. 腫瘍が片側なら手術で根治も可能。全身状態が悪い場合や両側性では内科治療を選びます。

Q4. 脱毛だけでも病院に行った方がいい?
A4. はい。脱毛が副腎疾患の初期サインであることが多く、早期治療が再発防止につながります。

Q5. 献血フェレットがいない場合は?
A5. フェレットのほかの飼い主さまにご相談してください。輸血で峠を乗り切れば、軽度ならホルモン治療のみで維持できることもあります。


🏥まとめ

フェレットの副腎疾患は「避妊済みの雌で最も多い病気」です。
陰部の腫れや脱毛が見られたら、早めの受診が命を守る第一歩です。
当院では、血液検査・エコー検査・ホルモン治療・外科摘出手術・輸血対応まで一貫して行なっています。


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