こんにちは、アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニックの院長です。
「うちの子(シマリス)、手術のあとに縫合部分を齧ろうとして…」
そんなとき、選択肢のひとつとして挙がるのが“エリザベスカラー”。でも、シマリスは小さくて繊細、果たして本当に装着しても大丈夫?
結論は、痛み止めなどの内服で効果がないときの、自咬を防ぐ【最終手段】として、エリザベスカラーを付けて、本人にも飼い主さまにも頑張ってもらっています。
以下はエキゾチックアニマルの診療経験が豊富な当院の知見をもとに、「Eカラーを使うべきケース」「よくあるトラブル」「安全な使い方の工夫」について詳しく解説します。

✅ 1. エリザベスカラー(Eカラー)の適応症例
▶ 1)術後の創傷保護
- 去勢・避妊手術後の傷舐め防止
- 腫瘍摘出後の縫合部位の保護
- 皮膚糸状菌症・外傷性皮膚炎・自咬行動への対応
シマリスは非常に器用な前肢を持ち、縫合部位を舐めたり齧ったりするリスクが非常に高いため、術後管理にEカラーが適応となる場面は少なくありません。
▶ 2)自咬行動(Self-mutilation)
とくに繁殖期(春~初夏)にみられる性ホルモンの変化や、環境ストレスに起因する自傷行為は、重度化しやすく、早期の機械的保護が重要です。
▶ 3)皮膚病変(掻痒・感染)
- ダニ・シラミ・ノミの寄生
- 皮膚糸状菌症
- 原因不明の激しい掻痒(アレルギー・栄養障害)
以上のような場合にも病変部の掻爬を防ぐ目的で短期的にEカラーを使用します。

⚠️ 2. シマリスへのEカラー装着に伴うトラブル
❌ A. 拒食・脱水
- 食事ができない
- 水が飲めない
- 回し車にも入れない
❌ B. ストレス反応の強さ
- 強い不安・混乱状態になる
- パニック的な暴れ・ジャンプで顔面や首部の外傷を生じる可能性
❌ C. エリザベスカラーのサイズ・形状ミスによる圧迫や擦過
- 頸部の軟部組織壊死や褥瘡(pressure necrosis)
- 気道圧迫による呼吸困難
- 肩関節の可動制限による廃用性変化
❌ D. 器用さゆえの“脱着”
- 噛みちぎる
- 足で器用に外す
→その結果、創傷悪化

🛠 3. トラブルシューティングと安全な管理法
✅ A. エリザベスカラーの工夫
- 超軽量素材(EVAフォーム、薄手プラスチック)を使用
- ミニチュア・カスタムサイズ(外径3~6cm)で設計
- 開口部のカットで「食事・排泄・運動」への干渉を最小限に
- パラボラ型ではなくドーナツ型(neck brace)も検討
→視野が確保され、ストレスが軽減される場合がある
✅ B. 食餌・水の供給方法を変更
- 給水器は浅皿やシリンジ給水に変更
- 固形ペレット→ふやかしペレットや流動食に変更し、口元に差し出す
✅ C. 管理環境の調整
- 回し車・トンネルなどの干渉物は一時撤去
- 床材は柔らかいペットシーツやフェルトで摩擦を減らす
- 照明や人の出入りなどのストレスを極力回避
✅ D. 装着中の観察体制強化
- 最低でも1日2~3回の観察とカラーのズレ・異常行動のチェック
- 長期装着が必要な場合は、獣医師が定期的に患部とカラー状態を評価する必要あり

愛知のヘソ豊田市周辺の岡崎市、日進市、安城・刈谷市にお住いのシマリスの飼い主さまへ、
当院の獣医師はエキゾチックペット、猫、小型犬などの広範な動物種に対する専門的な知識と豊富な経験を有しております。どんなペットにも信頼できるケアを提供いたします。
つまり、あらゆるペットに対応する総合的な診療を行なうことができます。
どんなお悩みもお気軽にご相談ください。多岐にわたるペットの医療に精通した獣医師が、どのペットにも最適な治療を提供いたします。














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