【獣医師が本気で伝えたい】犬の散歩マナーが社会問題になる理由🦮

リードは短く、目くばせは遠く

最終更新日:2026年1月20日

― 伸縮リード・スマホ散歩・排泄放置が招く事故と不信 ―

ある日突然、
「犬が飛び出してきて怖かった」
「避けようとして転んだ」
そんな一言が、あなたの愛犬への苦情として突きつけられることがあります。

多くの飼い主さまは、悪気なく散歩をしています。
しかし、“慣れ”と“油断”が積み重なった散歩”は、犬の命、人の安全、そして犬という存在そのものへの信頼を静かに削っていきます。

犬が嫌われる理由は、犬自身ではありません。
ほとんどの場合、コントロールされていない散歩風景が原因なのではないでしょうか。

このブログは、「うちは大丈夫」と思っている飼い主さまほど、ぜひ一度立ち止まって読んでいただきたい内容です。

こんにちは。アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

犬の散歩は、ワンちゃんにとって身体的・精神的な健康を維持するために重要な時間です。
一方で、動物病院で診療を続けていると、「それは散歩ではなく、事故予備軍ではないか」と感じる光景を、日常的に目にします。

ここで問題なのは、飼い主さまご本人に悪意がないケースがほとんどだという点です。
「便利だから」「慣れているから」「うちの子は大丈夫だから」
こうした油断の積み重ねが、犬・人・社会すべてにとって不幸な結果を招いています。

リードは短く、目くばせは遠く


ノーリードが減った今、次の問題は「制御できていない散歩」

確かに、ノーリードでの散歩は以前より減少しました。
しかし、その代わりに増えているのが、名目上はリードを付けているが、実質的には制御できていない散歩です。

特に問題になりやすいケース

  • 伸縮リードを最大限に伸ばして歩かせている
  • 固定リードでも長さいっぱいまで犬を先行させている
  • 曲がり角や路地で犬が先に出てしまう
  • 飼い主さまがワンちゃんより後ろを歩いている

この状態では、突発的な事態に対応できません。


歩道・路地・自転車道は「事故の温床」

人が行き交う歩道には、

  • 子ども
  • 高齢者
  • 犬が苦手な人
  • 疾走する自転車

が混在しています。

犬が急に進路を変えたり、音や匂いに反応して飛び出した場合、

  • 自転車の急ブレーキ
  • 歩行者との接触
  • 犬自身の転倒・轢過事故

につながる可能性があります。

実際、「犬を避けようとして人がケガをした」という相談は、決して珍しくありません。私自身、いまだに覚えていることがあります。大学1年生の時でした。老夫婦が散歩しているところで、すれ違った散歩中のワンちゃんが、急にそのご夫婦に吠えかかったんです。それで、驚かれたのか、おじいちゃんが転倒してしまいました。その後の顛末は分かりませんが、その光景はいまだに鮮明に焼き付いています。


「噛まない」「大人しい」は免罪符にならない

飼い主さまがよく口にされる言葉に、
「うちの子は噛みません」
「人懐っこいだけです」
があります。

しかし、他人にとっては関係ありません。

犬が好きではない人にとって、

  • 突然近づいてくる
  • 吠えながら走ってくる
  • 距離感を無視される

これらは強い恐怖の対象です。

この恐怖体験が積み重なることで、「犬が嫌い」「犬が怖い」人が増えてしまうのです。


犬嫌いを増やすのは、犬ではなく「飼い主の行動」

多くの人は犬そのものではなく、無制御で近づいてくる状況を怖がっています。

マナーを守らない散歩は、

  • 犬への苦情
  • 公園や歩道での犬禁止
  • 地域トラブル

へと発展し、結果的に犬と暮らしにくい社会を作ります。

これも私の経験ですが、当時スタンダードプードルを飼っていました。公園を散歩していたら、急にノーリードの中型犬が近付いてきて、その子が咬まれてしまいました。そしたら、その飼い主は「犬は咬むものだから」と言われました。いまだにそんな方がいらっしゃるとは、悲しくなりました。


スマホを見ながらの散歩が最も危険な理由

近年、特に問題視されているのが、スマートフォンを操作しながらの散歩です。

この状態では、

  • 犬の挙動
  • 周囲の交通
  • 人との距離
  • 排泄の有無

すべてへの注意力が著しく低下します。

排泄を見ていないことの問題

外で排泄させるなら、

  • 便は必ず回収する
  • 尿は周囲に配慮する

これは最低限のマナーであり、社会的責任です。

排泄を見ていなければ、回収も配慮もできません。


排泄物は「健康情報の宝庫」

獣医師の立場から見ると、排泄物は非常に重要な情報源です。

散歩中に確認できること:

  • 便の硬さ・形・色
  • 血便や粘液の有無
  • 排泄時の姿勢や回数
  • 排泄を嫌がっていないか

これらは、

  • 消化器疾患
  • 泌尿器疾患
  • 疼痛
  • 内分泌疾患

の初期サインであることも少なくありません。


歩き方を見ることは「整形外科チェック」

散歩中は、

  • びっこを引いていないか
  • 歩幅が狭くなっていないか
  • 途中で座り込まないか
  • 以前より歩く距離が短くなっていないか

といった循環器、運動器の変化を観察できる貴重な時間です。

スマホを見ていては、こうした変化に気づけません。


狂犬病予防法が求めている本当の意味

狂犬病予防法では、犬の係留が義務付けられています。
重要なのは、リードを付けること自体ではなく、制御できていることです。

リードが付いていても、

  • 指示が通らない
  • 急な動きを止められない

この状態では、法の趣旨を満たしているとは言えません。


正しい散歩マナーの具体例

  • リードは短めに持ち、犬を自分の横か少し前に
  • 人通りの多い場所では伸縮リードをロックして短く
  • 曲がり角では必ず犬を脚側に
  • スマホはしまい、犬と周囲に集中
  • 排泄は必ず確認・回収
  • 歩き方・排泄を健康チェックとして観察

犬の散歩は「自由時間」ではなく「責任ある社会行動」

ワンちゃんの散歩は、ワンちゃんだけの時間ではありません。

公共空間を使わせてもらっている以上、

  • 人への配慮
  • 犬への配慮
  • 社会への配慮

すべてが求められます。

一人ひとりの飼い主さまの意識が、犬と人が安心して共存できる社会を作ります。


Q1. リードを付けていれば、多少長くても問題ないのでは?
A. 問題があります。リードは「付けていること」ではなく「制御できていること」が前提です。急な飛び出しを止められない状態は、実質ノーリードと変わりません。

Q2. 伸縮リードは違法ですか?
A. 違法ではありませんが、人通りの多い場所では事故リスクが非常に高く、トラブルの原因になりやすい道具です。状況に応じて短く固定する配慮が必要です。

Q3. 犬を避けようとして人が転んだ場合、飼い主の責任になりますか?
A. 状況によっては、飼い主の管理責任が問われる可能性があります。直接接触していなくても、犬の行動が原因と判断されることがあります。

Q4. スマホを見ながら散歩するのは、そんなに危険ですか?
A. 非常に危険です。犬の動き、排泄、交通状況への注意力が低下し、事故・苦情・排泄放置の原因になります。

Q5. 排泄物を回収しないと、どんな問題がありますか?
A. 地域苦情の最大要因です。公園や歩道の犬禁止、自治体ルール強化につながり、犬全体の立場を悪くします。

Q6. 散歩中に健康チェックをする意味はありますか?
A. 大いにあります。排泄物や歩き方の変化は、病気や痛みの早期発見につながります。


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