水をたくさん飲む、脱毛、ブツブツが見られる犬について

ミニチュアピンシャーを抱えて悩む飼い主

こんにちは!アロハオハナ動物病院かもがわ公園小動物クリニック院長です。

ワンちゃんが大量に水を飲み、脱毛や皮膚にブツブツ(発疹や腫れ)が見られる場合、これらの症状はさまざまな健康問題の兆候である可能性があります。動物病院として、飼い主さまにお伝えするべき情報を詳しく説明し、考えられる原因や対処法、次に取るべきステップを分かりやすくご案内していきます。

1. 多飲多尿の背景にある問題

ワンちゃんが水を多く飲み、その結果、尿量が増えている場合、それを「多飲多尿」と言います。これは身体が正常に機能していない可能性があるサインです。

a. 糖尿病の可能性

まず考えられるのが糖尿病です。糖尿病は、インスリンというホルモンがうまく働かず、体内の血糖値を調整できなくなる病気です。その結果、体は余分な糖分を尿として排出しなければならず、それに伴って水分が過剰に排泄されるので、のどが渇いて、頻繁に水を飲む原因となります。また、糖尿病は犬のエネルギー代謝に影響を与え、皮膚や毛の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。

糖尿病の初期症状には次のようなものがあります。

  • 多飲多尿:普段よりも多くの水を飲み、排尿量が増えます(少量を頻繁にする、頻尿とは違います)。
  • 体重減少:食欲が変わらない、または増えているにもかかわらず、体重が減少する。
  • 疲れやすい:通常よりも疲れやすく、元気がない様子を見せる。

糖尿病が疑われる場合、早急に血液検査や尿検査を行ない、診断を確定することが必要です。診断が確定すれば、インスリン注射や食事療法を通じて管理することになります。

b. クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

もう一つの可能性として、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)が考えられます。この病気は副腎が過剰にコルチゾールというホルモンを分泌することで起こり、多飲多尿、脱毛、皮膚の問題などが一般的な症状として現れます。クッシング症候群では以下のような症状が見られます。

  • 脱毛:対称性の脱毛が見られることが多く、とくにお腹や背中に顕著です。
  • 皮膚の薄さ:皮膚が薄くなり、簡単に傷つきやすくなることがあります。
  • 腹部の膨張:腹部がたるみ、体が丸く見えるようになることがあります。
  • 筋肉の弱化:筋力が低下し、運動や歩行が困難になることがあります。

クッシング症候群は一般的に高齢の犬に見られ、診断には血液検査や超音波検査が必要です。治療は薬物療法が主で、場合によっては外科的な処置が必要になることもあります。

c. 腎臓疾患

腎臓疾患もワンちゃんが水を多く飲む原因として挙げられます。腎臓が正常に機能しない場合、体は老廃物を通常の尿量では排出しきれず、もっと多くの尿を必要とします。それを補うために自然にワンちゃんは大量の水を飲むようになります。腎臓疾患の症状には以下のようなものがあります。

  • 多飲多尿:尿が薄くなり、多量の水を摂取するようになる。
  • 食欲不振:食欲が低下し、体重が減少することがある。
  • 嘔吐や下痢:進行した場合、嘔吐や下痢が見られることがある。

腎臓の機能を評価するためには血液検査と尿検査が必要です。腎臓疾患は慢性のことが多いため、早期発見と適切な食事療法や薬物治療が重要です。

d. その他のホルモン性疾患

ホルモンに関連する疾患としては、甲状腺機能低下症も考えられます。この病気は甲状腺ホルモンの不足により代謝が低下し、脱毛や皮膚の状態が悪化することがあります。また、甲状腺機能低下症のワンちゃんでも水を多く飲むことがあります。

2. 脱毛と皮膚の問題の原因

脱毛や皮膚の異常は、多くの異なる要因で引き起こされる可能性があります。ワンちゃんの皮膚は健康状態を反映しやすいため、皮膚トラブルが見られる場合、体内で何かしらの問題が進行している可能性があります。昔から、「皮膚は内臓の鏡」なんて言われてきました。

a. アレルギー

皮膚の問題の一つの大きな原因として考えられるのがアレルギーです。時として、食べ物や環境中のアレルゲンに敏感であり、アレルギー反応として皮膚に発疹や脱毛が見られるワンちゃんがいます。アレルギーによる皮膚トラブルには以下のような症状が見られます。

  • かゆみ:しきりに体をかいたり舐めたりする。
  • 発疹:皮膚に赤い発疹や腫れが現れる。
  • 脱毛:かゆみが強い部分の毛が抜ける。

アレルギーの原因としては、以下のものが挙げられます。

  • 食物アレルギー:特定の食材に対するアレルギー反応。
  • 環境アレルギー:花粉、ダニ、カビなど環境中のアレルゲンに反応。
  • 接触性アレルギー:化学物質やシャンプー、掃除用具などに対するアレルギー反応。

アレルギーの特定には、アレルギーテストや食事の制限試験が役立ちます。また、治療には免疫調整剤、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、アレルゲンを避けるための環境改善が必要です。

b. 感染症

犬の皮膚に見られるブツブツや発疹は、細菌などの感染症が原因である可能性があります。皮膚感染症は、傷口や免疫力の低下などが引き金となり、皮膚のトラブルを引き起こします。一般的な皮膚感染症には以下のようなものがあります。

  • 細菌性皮膚炎(膿皮症):細菌が皮膚に感染し、炎症や膿が見られる。
  • 真菌感染症(リングワーム):円形の脱毛が特徴で、真菌が皮膚に感染することで発症する。
  • 疥癬:寄生虫(ヒゼンダニ)が皮膚に寄生し、強いかゆみと脱毛が見られる。

皮膚感染症は、適切な治療が必要です。抗生物質、抗真菌薬駆虫剤を使用し、症状が複雑化する前に早期に対処することが大切です。

c. ホルモンの異常

先に述べたように、ホルモンの異常も皮膚に問題を引き起こす要因です。とくに甲状腺機能低下症クッシング症候群では、脱毛や皮膚の異常が見られます。これらの疾患は適切なホルモン治療が必要です。

3. 飼い主さまへのアドバイス

症状が見られる場合、まずお伝えするべきことは「獣医師の診察を早急に受けてください」という点です。いわゆる、こじれてしまうと、最初に、どんな問題から始まって、どのように経過してきたのかが、複雑化してしまうからです。


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